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拝啓、終末の僕らへ  作者: 仁乃 戀
第一章
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始まりの終わり

 「じゃあ、今日はもう解散な!」


 澤谷先生がホームルームを終えて解散の指示を飛ばす。

 あの後、無事に……というわけではなかったが、クラスの委員はひとまず決定し、先生に学校を案内してもらって教室に帰ってきた。

 今日は色々と疲れたことだし、家に帰ってゆっくり本を読むとしよう。


 そういえば、上坂さんはどうするんだろう。

 彼女に視線を送ると、既に4・5人の女子の輪の中に入って楽しく談笑する彼女の姿が見えた。

 やっぱり、彼女は僕と住む世界が違うのだろう。

 すぐに友達を作って、食事にまで誘われている。

 僕も誰かを誘えば良かったのだろうけど、あいにくそこまでのコミュニケーション能力は備わっていない。

 それに、みんな緊張していて、それどころじゃなさそうだ。

 実際、1人でいることが好きな僕にとっては好都合だ。


 てきぱきと帰る支度を済ませ、荷物を持って外に出ようとする。

 上坂さんが僕に声を掛けようとしているのが見えたので、先程と同じように口元で指を立てた後、手を振ってすぐに教室を出る。

 きっと僕のことも誘おうとしたのだろうが、たくさんの女子に囲まれて過ごすなんて、僕には無理だ。

 入学式初日から女子にモテモテで、ハーレムを作るという、ライトノベルのような展開は現実には存在しない。

 仮に誘いに乗って一緒に食事に行くとなったら、きっとまともに会話できない。

 調子に乗らずに、少しずつ人と接していく必要がある。


 特に何事もなく駅に着き、電車に乗る。

 周りにはたくさんの生徒。

 1人でぼーっとしている人や、今日仲良くなった人と帰る人、これから遊びに行く人など様々だ。

 イヤホンをつけ、自分だけの世界に入る。


 僕が普段使ってるのは、ちょっと値段が高めのブルートゥースのイヤホンだ。

 付属のイヤホンはコードがよく絡まるので、ストレスが溜まる。

 ワイヤレスのイヤホンは、値段は高いしそもそも無くすのが怖くて手を出していない。

 またこのイヤホンは、コードが絡まる心配はないし、値段は普通のよりは高いが僕でも少しお金を貯めれば買える額だ。

 だから僕も気兼ねなく買えた。

 それに、音の遮断性が高いことが1番の決め手だ。

 イヤホンをつけると、外の音が大体遮断されて、自分の世界に入ることができる。

 毎日、イヤホンをつけて音楽を聴いている時が1番落ち着くことができる時間だ。

 早い時間に学校が終わったので、席も空いていた。

 席について、目を閉じる。

 本当に今日は密度の濃い1日だった。

 まずここから1年。

 楽しみではあるが、不安でもある。

 ぼんやりと1日を振り返っているうちに、僕は眠りに落ちた。

いつも読んでくださりありがとうございます!

面白いと思っていただけたら、是非ブックマークや評価をしたり、感想を送ってくださるとすごく嬉しいです!


また、アルファポリスにて恋愛小説大賞に参加中です!

良かったらそちらもよろしくお願いします!

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