第5話
「···いつから気づいてたんですか?」
「最初っからだよ、言っただろ?特徴で調べれば個人情報なんてすぐ出てくるって。ロボットも同じだ。言う必要がなかったから言わなかったのか、それとも意図して隠してたのか···まあ、校舎だろうな」
「やっぱりかいさんには気づかれちゃいますか···いつかはって思ってましたけど、そんなにはやかったなんて」
「なにか理由があるんだろ、話せ」
「···」
「別に話したくないなら話さなくてもいい。だが、俺にはあんたは話を聞いてほしそうに見えるけどな」
「···かいさんの言う通り私はヒューマノイドです。ただ1つ付け加えるなら私は旧型タイプなんです。」
私が作られたのは20XX年。その当時はロボットなんて、夢のよう
な存在で、いろいろなところで私は欲しがられていました。私も
ある家庭に買われ仲良く暮らしていました。ですが、ある日また
新しいロボットがつくられました。私なんかよりずっと優秀なロ
ボット。私は用済みになり、売られていきました。今はないでし
ょうけど、昔はリサイクルショップっていうのがありまして。そ
こで私も売られてたんです。でも、そこは今日でつぶれる。でも、私は売れない。そんなときに、私を買ってくれたのが今の主
人、ともちゃんです。ともちゃんは本当に優しくて、私をいろん
な場所に連れて行ってくれたり、いろんなことを教えてくれたり、私はそんなともちゃんと一緒に過ごす時間が、いやともちゃ
んが大好きでした。でも、ある日ともちゃんと一緒に遊んでいた
らケガをしたんです。今のロボットだったら、通信機能があるそ
うですぐに連絡できるそうなんですけど、私にはそんなものはな
い。かといって、呼ぶための通信機器の使い方も分からなくて、
壊してしまった。結局他の人が来るまで私は何も出来ませんでした。
「大好きな人ですら助けられない私は役たたずなんです。ともちゃんは優しいから、私を捨てたりなんか出来ない。でも、私がい
なくなれば新しいロボットが来れて幸せになれる。だから、あの日空から落ちて死のうと、いえ壊れようとしたんです。」
「で、俺と出会い、万屋をすることになったと。」
キイはうなずく。
「あんたに言いたいことは山ほどあるがまずは1つ。やっぱりあんたバカだな」
「···え?今それ言います?」
「ああ、大バカ野郎だよ。今まであんたが俺と万屋やってきて、依頼人に言ったこと全部あんた自身のことじゃないか。自分が出来てないのにあんたは人に言ってたのか」
「私が言ってたこと?」
「ああ、ニードのときに言っていた言葉だ。必要ないわけない、あんたのこと家族って思ってるって言葉。それに、ハボリテの言葉も。」
「ともちゃんが私を大好きで、私がともちゃんを大好きだったらそれだけで幸せ?」
「ああ。それにあんたはともさんのためになることを考えてる。頑張って機械使えるように頑張ってただろ?」
「はい···」
「それで十分なんだよ。確かに、役に立つとか立たないとかも大切かもしれない。だが、1番大事なのは相手のことをどれくらい想っているか···じゃないのか?」
キイの目からしずくが1滴。
「あれ?おかしいな?汗なんて出ないはずなのに···それに私が言った言葉そのまんまじゃないですか」
かいはうるさいと言い、ハンカチを渡す。そして、1枚の紙切れも。
「これは?」
「万屋に依頼だ。あんたもだいぶ慣れてきたからな。その場所に1
人でいってこい。そして、2人で帰ってこい。分かったな?」
「はい!!」
キイは思いっきり、外へ駆け出した。