第2話 モア・ギルド
無数の流れ星が流れた夜空は時間が経つにつれ、薄明るくなり、静けさを破るように数匹の小鳥が鳴いた。
「もう、こんな時間か・・・」
カインは目を覚ますと、すぐに身支度をして、誰もいない我が家を出てある場所に向かった。
ラドクリフ国に数十件あるギルドでもっとも、依頼を確実にこなしている
「モア・ギルド」だ。
「モア・ギルド」では早朝のラドクリフ国全域の見回りから1日が始まる。
見回りが始まるのは午前5時。よってモア・ギルドの人々は4時30分にはギルドに到着していなければならない。
第2話 モア・ギルド
「おはようございます。」
カインが、ギルドの入口のドアを開けてそっけない挨拶をすると、ギルドの中には既に五人の人がそれぞれの仕事をしていた。
「あら、おはようカイン!」
入口の手前でテーブルを拭いていた、ピンク髪の顔立ちの整った女性が、カインを見て、にっこりと微笑んだ。
この女性が
「モア・ギルド」リーダーのモア。通称
「蛍」
彼女の剣から繰り出される技が光のようにまばゆいため、ついた名前が
「蛍」だ。
「今日も1日しっくりと働いてもらうからね。覚悟しときなさいよ?」
「・・・・・」
「まぁまぁ、そんなに固くなるな、新米!冗談に決まってるだろ?軽い冗談!」
気がつくとカインの背後には少し太っているが大柄で、がたいの良い男が立っていた。
彼の名前はマック。
通称
「剛腕」。
武器を持たずにその腕っ節の強さだけで、岩をも砕く力の強さから付けられた名前が
「剛腕だ」。
「そうだよカイン」
「そうよカイン」
また、今度は上から声をかけられた。
カインが上を見ると、二人・・・少女と少年がさかさまに柱にぶらさがっていた。
「だいたい、モアが大きな声をだす時は冗談を言う時って決まっているんだから・・・」
そういうと少女の方がシュタッという音をたててカインの目の前で着地した。
「本気にしちゃ駄目よ?」
彼女の名前はホーク。
通称
「瞬神」
その顔には似合わない戦いになると冷酷さを持ち、例え相手が人間であろうと持ち前のスピードで瞬殺してしまうことかな名付けられた名前だ。
そして、相変わらず柱にぶら下がっているのが、ホークの兄、バス。通称
「岩蟹」
どんな、攻撃をも無としてしまう最強の盾を持っていることから名付けられた名前だ。
「こうやってると、なんか嫌な事全部忘れるんだよな―。」
「なんだ、能天気なお前にも悩みはあるのか、岩蟹?」
そして、最後の一人、離れた所で何かを作っているのが、ナユ。通称
「毒蛇」
毒の調合を専門にしていて、彼の作る毒液は史上最強とまで言われるほどの物だ。
「ナユ!」
言い過ぎだというような顔でマックが睨んだ。
「ああ?悪かった、悪かった!言い過ぎだ。」
そう言って、ナユは奥の部屋へと姿を消した。
「でも、これで六人みんなそろったみたいね。じゃあ今日のメインギルドを発表するわ」
こうして、カイン達の1日が始まろとしていた。平凡で退屈なはずの1日が。