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肆ノ道ー冷ー④
クラスのみんなはいつの間にかどこかに行ってしまっていた。
紲も屋上に向かおうと教室を出たとき誰かに肩を叩かれた。
久津和だった。
「おいっ!一緒に行くぞ!」
そう言うと階段に向かって走って行く。
地下には上に行く階段が二つある。
一方は非常階段でまっすぐに屋上に行ける。
しかし、久津和はそれとは真逆の、別の階段に行ってしまった。
それに、立花に彼女以外信じるなと言われている。
その言葉の真意は測りかねるが、久津和は例外と見て良いだろう。
「早く行くぞ!ここから逃げ出すぞ!」
屋上に行くよりは逃げる方がいくらか賢い気がする。
三十六計逃げるに如かず。
立花には悪いがにげ、ここは逃げの一手をとらせてもらおう。
しかし、これは。
最大の悪手となった。
それは唐突に、割と早くやってきた。
裏切りと言う名の怪物は。