肆ノ道ー冷ー③
電気が消えて辺りが暗闇に包まれた。
クラス内はパニックになった。
泣き出す者、暴れる者、逃げ出す者がいた。
しかし、その全ては
「黙れ!!」
その一言で静まり返った。
鈴木だった。
「たった今、高等部のプレイヤーが全滅したと、その『オルトロス』自信から連絡がありました。まったく粋なことをしてくれます。ここからの指揮は私が執ります。指示はケータイでのメールで送ります。ケータイを持っていない人、私のアドレスを持っていない人は、持っている人と行動を共にするようにして下さい。『オルトロス』は見つけ次第私に連絡を。冷島、立花は私と一緒に来て下さい」
解散!
その一言で皆一斉に動き出した。
しかし、紲は一向に立ち上がることができなかった。
思考が完全に停止してしまったのである。
動けない。
その時、誰かに後ろから抱きつかれた。
言うまでも無く立花だ。
立花は耳に口を近づけてきた。
そして小声でこう言った。
必要以上に小声で・・・。
「『オルトロス』は二人組の殺し屋だ。一方は黒髪、一方は茶髪の外人の女だ。見たらすぐに分かる。見つけたら胸ポケットに入れてあるケータイで私に連絡しろ」
胸ポケットにケータイ?
そう言われてみると、確かに左胸に違和感があった。
「この後はさっき行った屋上にまっすぐ迎え。私以外は絶対に信じるな。それじゃあ私はもう行く。絶対に無事でいろよ。ハムゥゥゥ!」
最後に耳を噛まれた。
果たしてそれは必要だったのだろうか。
まあ必要だったのだろう。
いくらか緊張がほぐれた。
しかし、彼女自身気付いていなかったようだが、一人称が“私”になっていた。
それほど切迫した状況だったのだろうか。
とりあえず言われたとおり屋上に向かおう。
まっすぐに。