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殺鬼道  作者: 明 治
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初ノ道―夢―

夢野紲ゆめのせつは夢を見ていた。

最近よく見る夢。人を殺す夢だ。

いや、正確に言うと人を殺しているかどうかは定かではない。

辛うじて人の形をした赤黒い塊である。

それは見方によっては肉の塊のようでもあるし、また、無機質なマネキンのようでもあった。

ただ一つ言える事は、彼は目の前のそれを異常なまでに恐れていた。

彼はそれを何度も何度もナイフで刺した。

赤黒いナイフで。

何度も何度も。

何度も何度も何度も。

刺した。

刺して刺して刺して刺した。

そこで突然変化が起きた。

目の前のそれからいきなり何かが噴き出した。

血だ。

赤黒い血だ。

彼は慌て血を止めようとした。

しかし、一向に血は止まらなかった。

気付くと彼は肩まで血に浸かっていた。

彼は泳げなかった。

体が浮き、地に足が着かなくなった。

彼はパニックになった。

彼は必死に泳いだ。

足を不格好にばたつかせ、掴めないものを掴もうとした。

そんな彼の足掻きとは対照的に、彼の体は血の海に引き摺り込まれていく。

助けを呼ぼうと声を発するが、血が喉に侵入しそれを阻む。

彼の胃や肺は血によって満たされ、呼吸が困難になった。

(死ぬ!)

彼は思った。

それと同時に死にたくないとも思った。

(死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない)

”死にたくない!“

最期にそう思った瞬間。

彼の意識は途切れた。

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