7、体をねじる運動をしても、悪役令嬢は逃げられない。
美しき死亡フラグが私に迫ってくる。
「今すぐ、医務室へ……」
「大丈夫ですから!」
私がベンチに座ってから既に三分経過しています。
こんなに大丈夫って言ってるのに、全然聞く耳を持たない。
ジョワロフ君、しつこい男はモテんぞ!!
いや、モテるからまずいんだ。
こいつに運ばれた日にゃ、学園中の女子を敵に回しそう。
真面目に、それぐらいのイケメンなのだ。
はり倒しても良いけど、それはそれでやばい(死亡フラグ)しなぁ。
迫ってくるイケメンから目をそらし、ため息を吐く。
「やっぱり、疲れていますよね?」
ええ、あんたの所為でな。
「だいじょう…のぉっ!!」
いつもの浮遊感。
「僭越ながら……いくら婚約者と言えど、嫌がっている相手に無理矢理はどうかと思いますが?」
「セバスチャン!」
ナイスタイミング!! 後光がさしてみえるよ!!
抱き上げたのは私を目の前の死亡フラグに売り払った従者、セバスチャン。
あれ? そもそもこいつの所為だったんじゃね?
一気に感謝の気持ちが抜けて行く。
「お嬢様は、私が医務室までお運びします」
「しかしっ……」
「失礼致します」
何かを言いかけたジョワロフ君を置いて、歩き出すセバスチャン。
うん、どうでもいいが、何故お姫様抱っこなのだろう。
お前のアイデンティティは俵担ぎだろう??
心無しか、乙女の視線がザックザック刺さるのだが。
ああ、そう言えばセバスチャンもイケメンの部類に入る……
私、死亡フラグ回避したよね??
「セバスチャン、そろそろ降ろして」
「自業自得だ、医務室まで耐えろ」
なぬ、羞恥プレイ、だと?
裏切られた気分だぜ!
「はなしなs「黙れ」
……おうふ」
敬語と敬意をどこかに忘れ去ったセバスチャン。
そっちがそのつもりなら。
「うおりゃぁぁぁぁ!!!!!」
全力で体を捻って暴れる私。
セバスチャンに『こんなに私元気だから降ろしてね?』というボディーランゲージを発信しているのだ。
「うりゃぁああああぁぁ!」
「……」
「ごふっ、のごぉぉぉいだだだだだ」
無言で締め付けられてる気がするよ?
コルセットが食い込んで痛い!!
「すいません、ほんの出来心だったんです」
「分かればいいのです……本当に分かっていれば」
もの凄く馬鹿にされてるyo!
メイドといい、令嬢扱いじゃなく子ども扱いされてる気がする。
「どちらかというと幼児扱いの方が近いかと」
「エスパーか!」
そんな事を喋っているうちに、どっかの部屋に着いた。
「明日に備えてさっさと寝て下さい」
「お嬢様はお預かり致します」
「任せて下さい!」
「明日までになんとかみれるようにしておきます!」
あれ? 医務室になんでABC子?
「ここはお嬢様のお部屋です。 医務室よりこっちの方が良かったので」
「そうなんだ」
「明日の入学式は、しくじらないで下さいね」
ん?入学式今日じゃないのん??
なんか勘違いしてたのか、私よ。
本命の死亡フラグはまだ来てない、だと!??
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