3、腕を回す運動して悪役令嬢が考察していると、とんでもない事を告げられた
よし、第一回死亡フラグを折るための会議と言う名の暇つぶしを始めます! どんどんひゅーひゅーぱふばふ。
議長、発言者エトセトラは、さっきまで家にいるのにちょっとホームシックになりかけていた私です。
覚えてるあらすじは、平民のヒロインは学園に入って攻略対象者ときゃははうふふな学園生活を送るらしいということ。
らしいって、ざっくりにもすぎるだろう。
兄貴とテレビのチャンネル権で掴み合いの大げんかしたとか、お父さんのお土産が何かビミョーだけど捨てられないとか、お母さんのコミュ力に感動したとか犬が可愛いしか思い出せない。
うん、そのうち自然に分かるかも知れないし思い出すのは諦めよう。 無駄な努力はしない主義だ。
それよりも、転生チートのラジオ体操だ。
何がどうなってるのか、実際に踊って検証してみよう。
「ちゃーんちゃっら、ちゃちゃちゃちゃ、ちゃーんちゃっら、ちゃちゃちゃちゃ、ちゃらららららららららららたら~ん。はい……」
最初から踊ってみると、腕を回す所であの音が聞こえた。
「はい! 腕をまわ『パラン、レベルが上がりました』……やっぱり」
前よりも確実にレベルが上がるのが遅くなってる。
「しかしレベルが上がっても確認出来ないのは、どうにかなんないかなぁ?」
ステータスが見れないのは痛い。
オープンウィンドウや開けごま、挙げ句の果てにはバルスとか言ってみたけど全く効果はなかった。
たまにスキルゲットしてもどんな物なのか全く覚えてないし、自分が何レベなのかも分からない。
せめてどのぐらい上がったか言ってほしいよ。
「まぁ、どっちにしろ鍛えといた方がいいっしょ。はい!ちゃーんちゃら……」
逃げられる可能性が上がるからやっといた方がいいよね。
ラジオ体操の考察らしき物を終え、私はベッドに大の字になった。
死亡フラグは今んとこ無いから、そこまで心配しなくても良いよね。
そうだ!
前世を思い出したのが一ヶ月くらい前。
死んだ記憶無いから、転生じゃないパターンとかあり得るかも。
そういえばヴィクトリーヌは親に甘えて物を貰って使用人を虐めてたんだっけ?
「さぁ、跪きなさい!」とか?
うわ〜、私にはできないわぁ〜
虐められたら嫌だし虐めるのも嫌だよ。
だめだ、眠すぎてよく分からん。
そう思っていると、部屋にセバスチャンが入って来た。
ノックぐらいしろよセバスチャン。
「お嬢様、旦那様がお呼びです」
だんなさまー? って父か。
「面倒くさ……のぐぇっ!」
「そうでしょうね」
セバスチャン、いつの間にか側に来て、躊躇無く私を担ぎました。
私は物か!
せめて俵担ぎはやめてよ、お腹がぐえぐえする。
で、
「お父様こんな夜中になんですか?」
「ヴィーはいくつになったかい?」
質問に質問で返してはいけないと教わらなかったのかい、父よ。
私はあくびをかみ殺しながら答える。
「十二でふ」
「ヴィーはあさってが誕生日で十三になるから、学校に入学する事になるんだ」
ふんふん、入学……
パアドゥーン?
「びっくりさせようと思って言わなかったんだ。驚いたかい?」
ええ、ガチでびっくらぽんであじゃぱーですよ。
学校の存在自体忘れてましたよ。 そう言えばありましたね、学校。
「楽しみだろう?」
最大級の死亡フラグに恐怖しかありませんね。
それでも私は笑って言った。
「うん!」
……もうどーでもいいけどセバスチャン、私をそろそろ降ろしてくれないかなぁ。