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2、腕を振って足を曲げ伸ばす運動を忘れた悪役令嬢は悪夢を見る。

残酷描写有り


前回、超かわゆすジョワロフ君と二人っきりになったが特に何もなく終わり、帰ってしまった。

ベッドに寝転んだ私は心の中で叫んだ。


あの悩みまくって気ぃ使った時間を返せ!!! こんちくしょう! 死亡フラグの気配すら無かったよ!


そのままふて寝しようと布団をかぶり眠りに落ちながら思った。

ああまずい、今日ラジオ体操やってないじゃん。と。






俺は姫に呼ばれてガイルと一緒に大広間に行った。

重厚な扉を開けると、姫が一人で立っている。

姫はゆっくりと俺達の方を見て。


「中に入って」


と言った。


彼女がそう言ったので俺達は部屋に入った。

背後でガイルが扉を閉める大きな音を訊きながら、俺は姫に尋ねた。


「どうした? また何かあった?」


俺がそう言うと彼女は、長い耳を触りながら翡翠色の目でじっと見つめてきた。


「アルト貴方、最近の調子はどう?」


「ああ、もうちょいで新しい魔法ができるよ。それよりアーリアより大丈夫? 王位継承する為の試練? みたいなもんが出たんだよね」


「ええ、すぐに終わるわ」


彼女は悲しそうに微笑んだ。


「その試練は……」


彼女が喋り始めた次の瞬間、体に衝撃が走った。


「ごぶっ」


俺の口から血が出る。

腹を見ると、剣が突き出ていた。

俺の最高傑作で、ガイルの愛刀。


彼女はそんな俺を見て微笑みながら語り続ける。


「我が国の機密を知っていて、我が国に属さず、我が国の利益にならない、邪魔者を……」


「ぐわあぁぁぁあああっ!!」


剣を捻られ叫ぶ。


「始末する事」


彼女は悲しそうな顔をしたまま。


俺の後ろのアイツ、誰よりも信じてたガイルが俺にこう言った。


「アルト、すまない」


ああ、ラウル、ほんとは分かってたんだ、おれは知りすぎた。

いつかこうなると分かっていたよ、だからその前にこのくにから逃げようと思っていたんだ。

でもここにはラウルという、親友がいた。

それにアーリア、きみのことが好きだった。

だから少しだけ、もうすこしだけ。



真っ赤だ、何もかも。

ああ、

「ああああああぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁあぁあぁあ!!」


今までの思い出が走馬灯のように頭を過る。


「おまっ、シルバードラゴンを一人で倒したのか!??」

「ラウルにとってここは狭すぎる、父さんの代わりに世界を見てこい」

「転生者ってなにかしら?」

「お前はお前だ」

「エルフの国に行ってみたらどうだ?」

「ニッポンのカタナという異世界の武器か」

「べ、別にラウルの事が好きって訳じゃないのよ!!」

「無名の鍛冶屋か」

「人間のくせに!」

「ば、化け物だぁぁ」

「魔剣をたった一週間で造ったのか!?」

「弱っちいな、俺が戦い方を教えてやるよ」

「ダークエルフは虐げられているの、だから王になったら彼らを助けたいのよ」


冷たい床を感じながら意識が遠のいて行く……




「うわぁっ!!!」


かかっている布団をはねのけ俺は起き上げる。

俺は、おれ、おれじゃない。


「はぁ、はぁ、はぁ」


私は、鶴間千夏だ。


「はぁーすぅー、はぁー」


深呼吸をして自分を落ち着かせた。

そして私は顔に手を当てた。


久々にリアルでストーリーじたてな夢だった。

転生してから、見てなかったのに。

小学生の頃からだ、こんな夢を見るようになったのは。

学校にあまり行かなくなって、運動もしなくなったんだよね。

やっぱりラジオ体操しなきゃ駄目だ。


顔に当てていた小さな手を外し、見つめてため息を附く。


夢ではいつも主人公が自分じゃなかった。

どこかの天才の科学者や、国に使える聖騎士だったり。

平凡で退屈な自分じゃなくなって、起きた瞬間自分が誰だか分からない。


この現実も夢だったらいいのにな、そうしたら戻れるのに。


そう思ったら喉がツーンとしてきた。

あ、やばい。泣きそう。

こんな時はお母さんのあの言葉だ。


ベッドから降りて鏡の前に立ち私は呟く。


「悲劇のヒロインにならない、悲劇に酔ってちゃいけない……」


この言葉を言うと、なんだか真面目に泣くのがバカバカしくなってくる、それに鏡に映ってる顔がすごい事になってるからますます泣けなくなる。


「よしっ」


泣く事もいいけど、泣いてばかりじゃいられないしね。


さて、眠気もぶっ飛んでしまった事だし朝までどうしよう。

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