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真ん中は君だよ。

――ハチミツ、いっぱいかけてえ。


三歳のメアリが金髪の巻き毛を揺らして甘え声を出す。


――はいはい。


七歳のフランは妹のホットケーキにたっぷりとオレンジ色の蜜を垂らした。

金髪の巻き毛、空色の瞳、薔薇色の頬。

お揃いのネイビーブルーのワンピースを纏った二人は拡大図と縮小図のように似ている。


――ケイトはメイプルシロップだったね。


僕の言葉に五歳のケイトは伏せていた黒の瞳を上げた。

そうすると、真っ直ぐな黒髪が重たげに垂れた。

グレーのハイネックを着た顔は雪のように白く、小さな唇だけが血のように赤い。


――ありがとう、パパ。


静かに低い声が答えた。

小さな白い手が透き通った琥珀色の蜜を器用に自分のホットケーキに掛ける。

三姉妹なのに、真ん中のこの子だけは似ていない。



――ただいま。

――お帰りなさい、ママ!


金髪の二人が駆け寄る。

戻ってきた妻は僕らを目にすると、切り揃えたばかりの黒髪をかきあげて笑った。


――貴方とケイトはいつもメイプルシロップね。


真ん中の娘は姿は妻と生き写しなのに、味の好みは僕そっくり。


――不思議ね。


僕と同じ金髪の娘二人が笑った。(了)

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