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グチグチグチルサンデー!  作者: 青鬼
自分に対してではない愚痴
7/12

怪我の調子はどうかしら?…そう、心配して損したわ。それにしても私に助けて貰ったっていうのに礼の一つもないワケ?…い、言っておくけど!アンタがどうなっても私は別にどうでも良かったんだから!

「『ツンデレ』が持つ力とは?」


「ツ…ツンデレじゃと?」


「まあ、今回はヒロインに関する話ですので、僕たちはさっさと退散して、特別ゲストの方々に任せましょう」


「特別ゲスト?聞いておらんぞ、そんな話…」


「良いから退散するって言ってんだろうが!チンタラしてんじゃねえぞクソジジイ!?」


「なんでキレ気味なんじゃ…?」


「モタモタしてたら、あの人に何をされるか…想像しただけでも恐ろしい!早く行きましょう、彼等が来る前に!」



「…」


卓袱台に着いた二人の男女。男は冷や汗を垂らしながら、女と目を合わせないように視線をあちこちに彷徨わせていた。その様子に痺れを切らした女…安藤恵美あんどうめぐみは、男…赤松明あかまつあきらに話しかけた。


「ねえ赤松君。どうして黙っているのかしら?」


「え…えっとですね…その…」


言葉を濁す彼の態度に、恵美は眉根を寄せる。


「主人公と言う立場でありながら大した活躍も見せていない、戦闘力でも知略でも全く使えない、唯一の特徴が全身タイツの赤松君?あなたはどうして黙っているの?」


「…」


苛立ちを隠せない口調で明を非難するが、彼の答えは沈黙であった。

その態度にまたしても苛立ちが募り、彼女は目を吊り上げる。


「黙っているだけじゃ話は進まないのよ?自分にとって都合の悪い事から目を背けてばかりいて、本当にあなたは愚劣で最低な男ね?」


サラサラの長髪を揺らしながら、恵美は明の顔を覗き込むように見つめ、更に厳しく詰問する。


「『悪の組織の正義の味方』(以下『悪正義』)のキャラクターの能力は、あなたの能力を除いて全て決定されていたわよね?『カッコイイ能力にしたいけど、主人公が無双する話とか吐き気がする…』という作者の意向に沿って、あなたの能力の出番は随分と先延ばしにされていたわね」


泣きそうになりながらも、明は必死に弁明する。


「で、でも…ちゃんと決まったじゃないですか…俺の能力、ちゃんと決まったじゃないですかぁ…」


明の弁明に恵美は首肯する。

しかし、その反応とは裏腹に、恵美の態度は冷ややかな物だった。


「そうね、ちゃんと決まったわね。戦闘力でも機能性でも他のキャラと比べるとイマイチな、読者に『もう主人公は五十嵐さんで良いんじゃね?』とまで思われそうなほど地味な能力よね?」


「五十嵐先輩も安藤先輩も、まだ『悪正義』には出てませんよ…?」


「あら、そうだったわね。まあ別に貴方の話なんてどうでも良いのよ。そろそろツンデレの話を始めましょう?」


「俺の心に傷を付けた理由はいったい…?」



「ツンデレとは、特定の性格を表すの形容語のひとつよ。

主に、「ツンツン」している時と「デレデレ」する時を併せ持つ性格やそういう性格の人間そのものを指すの。


「ツンツン」とは他人への接し方にトゲがある様子を指す言葉で、「デレデレ」は恋人等にだらしなく甘える様子を表す言葉よ。

一見相反するこの2つの要素を持つキャラクターに多くのファンが付いたことで、自然発生した言葉なの。


主にツンデレは以下のように分類されているのよ。

1.本当は好きでデレデレしたいのに、その人の前だとなぜかツンツンした態度を取ってしまう

2.周囲にはツンツンとお高く留まっているが、特定の人物には隙を見せてデレデレする

3.初対面ではツンツンしているが、やがて時間の経過とともに相手を意識し始め、デレデレしてゆく

4.普段は言葉遣いが荒くきつい性格なのに、たまに優しくなる人


「自分だけを特別扱いしてくれる」という優越感や、「最初はツンツンしているけれど、親しくなっていくと甘えてくる」というギャップ、達成感なんかが人気の秘密かも。(以下略)


(ニコニコ大百科より抜粋)」


「俺がこの人にツッコミを入れるのか…?嫌だ、絶対やりたくない!」


「勘違いしないでよね。別に、明くんを罵倒することに快感を感じてなんかないんだから」


「じゃあ罵倒するのを止めろよ!?」


「それにしても、ツンデレと言うのは本当に謎よね。そう思わないかしら、明くん?」


「謎…ですか?」


「ツンツン…つまり、刺々しいセリフを吐く少女が、

 デレデレ…つまり、粘液状の物体に変化…」


「しねえよ!なんでヒロインが次第に人じゃなくなるんだよ!?それツンデレじゃなくてツンドロだよ!?」


「そういえば、『悪正義』のヒロインの黒内美香。彼女の父親は、連載が始まった頃は『怪人スライムマン』として登場する予定だったかしら?」


「それ、没ネタじゃないですか…」


「話を戻すと、ツンデレというのは極めて理解しがたい存在であるという事よ」


「理解しがたい…?いや、普通に可愛いと思いますが?」


「例え話をするなら…そうね、仮にA子とB子がいたとするわ。A子はお淑やかな少女であり、主人公に対していつも優しく接してくれているの。それに対して、B子は主人公を罵倒したり、鞭を振るったりしている…という設定よ」


「…何を振るっているって!?」


「ある日、B子が何らかの理由で突然優しくなったとき、つまりデレた時に、B子のヒロイン力が増大するの」


「典型的なツンデレですね」


「普段から主人公に対して優しく接するヒロインの評価を差し置いて、突然優しくなったツンデレ少女の人気が出るというのは、私としては凄く不可解なのよ」


「まあ、確かに…」


「評価マイナスから始まって、ようやくプラマイ0の地点へと到達しただけなのに、どうしてそこまで人気が出るのかしら?」


「そういう物なんでしょう…?」


「ツンデレが悪いとは言わないから、もう少し清純系ヒロインに優しくしてほしい所よね?という愚痴よ」

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