愚痴の洞窟…高濃度の作者の愚痴が蔓延している洞窟だ。そんなところに行くってのか?どうなっても知らねえぜ?
「プロットとは、小説、劇、長詩などの筋立て、構成のこと。普通、ストーリー(物語)の展開の意に用いられるが、ストーリーが内容の時間的経過による発展、展開を表すのに対し、プロットは主題を中心とする登場人物の性格、心理など内面的展開が加わる。アリストテレス以来、プロットは描写に先だつ重要な要素と考えられてきたが、一般には筋書き、梗概と同一視され、なかでも推理小説はプロットの意外性に負うところが大きい。(ヤフー百科事典より抜粋)」
「今回はプロットの話か?何をするつもりなんじゃ?」
「作者は今、『悪正義』のプロットをどうしようかと悩んでいるのです」
「ちゃんと考えておけば良いのに…というか、考えておらんかったのか?」
「まあ一応、シリアス展開を始めた当初は大まかな流れは考えていたんですよ。ただ…」
「ただ?」
「流れは考えてあるけど、このままじゃクオリティが低いと作者が…」
「…つまり、あまり考えずにシリアス展開を始めたというワケじゃな?」
「…全部、作者のせいです」
「短編ならば、こんなことで悩まずに出来るんじゃがのう…」
「本格的な愚痴になってきましたね、これからどうするか考えますよ」
「一応、大まかな流れは出来ておると言っておったの?どんな話なんじゃ?」
「ネタバレになるのでその質問に答えることは出来ません。ただ…」
「ただ?」
「後から考えたら、これは酷いって自覚しました」
「…そこまでか?」
「いや、なんというか…現在考えている限り、ヒーロー陣営がチートすぎるんですよね。だから、結局ギャグに落ち着けないと収拾がつかないというか…」
「悪の組織の戦力も強化すればいいのではないか?」
「まあ、それもありでしょう。怪人を数百人登場させるとか、その怪人を全員巨大化するとか、街を一つ吹き飛ばすほどの爆弾を開発させるとか。ただ…」
「ただ!?そこまでして、まだ何かあるのか?」
「主人公が計画の存在を知ってしまったせいで、色々と対策を練ってますよね?」
「そうじゃな」
「三日という期間なら、十分短いだろうと思っていました」
「…どういう事じゃ?」
「三日も時間を与えて明たちに準備をさせたら、悪の組織を圧倒できる戦力が揃ってしまうんですよ…三日後ではなく、明日にしておけばそこそこ盛り上がったかもです。展開が速いし」
「ヒーロー陣営を弱体化させろっ!戦闘系の能力者は登場していないからまだ間に合う!」
「『能力次第では軍隊すら圧倒する』と書かれていましてね?訂正しようかとも考えましたが…訂正を重ねると物語が継ぎ接ぎだらけになって、そのうち辻褄が合わなくなってしまいそうな気がしまして。これは作り直した方が、スッキリするんじゃないかと思うんです」
「ムムム…」
「物語にも複数の穴が存在するんですよ。
情報を扱うような組織がそんな簡単にバイトに重要書類を見せるものか?
(悪の組織の社員は警戒心が薄い事にしていたが、無理があると思う)とか、
どうして正義の組織は動かないんだ?
(証拠不十分なため子供の悪戯と思われたと描写している。しかし、ヒーロー学園の生徒である主人公に対し、その反応は流石におかしい。また、このまま物語が進行すれば証拠を獲得するため、正義の組織も動き始める。そうなれば悪の組織を圧倒してしまい、物語の面白味が無くなる。ただし、証拠を獲得しないルートに変更する事で回避可能)とか、
校長が不在の理由
(出張と言われているが、その理由が明確ではない)とか、
主人公がわざわざ危険を冒して悪の組織で働く理由
(十分な生活費を稼ぐためと言われている。しかし、まともな考え方をすれば、普通のバイトをする筈。それが出来ない理由としては、貧乏と言うだけでは納得しがたい)とか…
詰めが甘いのなんのって、違和感ありまくりの序盤ですよ。違和感しかありませんよ」
「…それで、作り直そうと?」
「まあ、そうなります。ただ、エタる事だけは無いと思いますよ?今度はちゃんとプロットを組み立てるつもりなので。骨組みだけならば、ギャグパターンで二つ、シリアスパターンで二つ考えています」
「骨組みだけなんじゃのう…」
「い、今の連載は止めずに、とりあえず進めておきます。打ち切り臭の漂う終わり方を期待しておいてください」
「俺たちの戦いはこれからだっ!」
「ではおまけに、『悪の組織の正義の味方』九正義の没になった話を流して終わりにします」
悪の組織の正義の味方(九正義・没ver)
「え?」
美香が信じられないといった目で、こちらを見てくる。
少しその頬が紅潮しているところを見て、つい可愛らしい反応だと思ってしまう。
よくよく見れば、その顔立ちは整っていて、おそらくタケシ以上の美形だろう。
(待て、なんでタケシと比べてるんだ俺は…?)
その顔立ちは整っていて、おそらく亜美以上の美形だろう。
(いや、タケシと亜美ならどちらかと言えばタケシの方が顔立ち整って…じゃねえよバカ!?)
最悪だ、前話まで一生懸命組み立てていたシリアスが、たった一言でラブコメに変換された!
小学生時代までしか恋愛経験の無い作者がラブコメなんて書ける訳が無いのに!
俺の作者がこんなラブコメを書ける訳が無い
そんなことを考えているうちに、美香の顔は見る見るうちに真っ赤になり…
「ご、ごめんなさい!」
逃げるように走り去ろうとした。
(ここで逃げられるのはマズイっ!)
「待てっ!待ってくれ!」
慌てて美香の腕を掴む。
「いやっ!離してっ!まさか、私の体が目的っ!?」
なんかこのセリフだけ聞くと俺がすごくヤラシイコトをしているみたいだ。
「聞いてくれ、美香」
俺は真剣な眼差しで彼女を見つめる。
彼女も俺を見つめ返してくれる。
「俺、お前のことが…」
その瞬間、廊下の窓が開いた。
「ぉぇあぁぅぁぃぁきぃぇぃっぃらぁぉぁぃぁ?」
呪詛を吐きながら窓の外からタケシが這い出てきた。
もしコイツの髪の色が黒だったなら、その姿はまるで貞子の様になっていたことだろう。
「た、タケシ?」
「ぉぇこぅぃぁのぉぇぃリォゥィアィゥェ獣ぉぃぅがぇぃぉ、ぇぃぅ俺ぉぅぇがぁぁぇ頑ぇぃぅ張っぅぃぃてぇぃぉいぇぃぉるぅぁぁ中ぇぁぃでぇぃぉ女ぇぃぁのぅぉぉ事ぇぃぉしぃぇぉかぁぅぉ考ぁぇぃえぁぃぉえぇぃぅてぅっぇなぇぃぅいぇぃぅよぉぃぅうぅぇぉなぅぁぉケゥェィダェィォモォゥィノォィゥがぇぃぅ」
そう言って、俺の腰を掴み、窓の外へと放り投げた
「いや、まて、ここ三階…」