七回目。その赤はなんの赤?
こんばんわ。
正直戦闘描写ごみ過ぎて見れたものではないかもしれません。
七回目
「メル!俺が出るから援護を頼む!」
「わ、分かったわ!少し時間を稼いでくれないかしら?」
「おう、その間に決めてやるよ!」
俺達の初陣を飾るべく現れたのはデスマンティス。
全長は6m近く、全身が黒い甲殻で覆われていて堅さは鋼鉄並というとんでも野郎だ。
依頼ランクで言えばBランクのチームで出されるクラスの討伐になる。
Cランクのペアで狩るなど無謀もいいところだろう。
だけどそんなのを討伐することになるんだから…やっぱ燃えてくるよな!
地面を蹴って駆け出した俺は二丁の銃剣"カドラ"による魔法弾を雨のように浴びせながら距離を詰めていく。
あくまで牽制用で放っているだけだから威力もほとんど上げいない。
どちらかというと目隠し、の意味合いが強いかな?
既に魔法弾の雨を浴びたデスマンティスの周りには着弾時の爆発によって砂埃が舞い上がっている。
その中に飛び込んで行き、微動だにしない標的へ近距離での格闘を試みる。
俺の戦闘スタイルは銃剣士の中でも極めて珍しいらしいがこれが一番合っている。
自身の機動性と攻撃力を考えた結果故に辿り着いたものだ。
まぁ銃剣での戦闘の話だけど。
「オラオラオラオラァッ!」
目の前に見えた胴体部分へ今度は銃剣のラッシュを浴びせていく。
ただひたすらカドラによる連打を入れて行く。
虫を殴っている筈なのだが辺りには金属同士が打ち付けあった音が鳴り響いている。
…マズい、思っていた以上に堅い。
もっと楽に甲殻を砕けるかと思ったがそんな事はさせてくれないらしい。
「一点突破でついていkやべっあっぶね!?」
ヒュンという風切り音と共に今の一瞬前まで胴体のあった場所を何かが通り過ぎる。
…何となく不穏な雰囲気というか何というか何かをを感じたので飛び退いたのだが正解だった。
胴体がくっついているのを確認しようとお腹周りを触ると服が裂けている。
いくらBランクと言っても一応は魔法強化を施したものだったのに…コレは間違いなく全力で殺らないと何度か(俺以外なら)死ぬヤツや。
今まで微動だにしないデスマンティスだったが砂埃が晴れ始めて反撃に入ってくるらしく思いっきり威嚇のポーズを取っている。
様に見えたのも束の間、掲げていた鎌が一瞬にしてブレた。
「やべっ」
横に飛んで咄嗟に回避を取る…が着地に失敗してそのまま転がってしまう。
もちろん、そんな事をしていれば格好の的になるだけだ。
急いで態勢を整えようとするのだが左腕が動かない。
「っく!ちくしょう!腕がっ!」
あるはずの左腕の肘から下が綺麗に無くなっていた。
どうやら先程の一瞬で斬り落とされいたようだ…気付くまで痛みが無いとかどれだけ鋭いんだあの鎌は。
「ったく腕再生するの割と時間掛かるんだぞ!」
とりあえず文句を言ってみるが何も変わらないというかむしろ悪い。
「これはいわゆる所のピンチってやつじゃないのか…?」
「ソーマ大丈夫!?準備が出来たから下がって!…"我が名と契約し風の精よ…今その力をここに示し刃となる暴風を吹き荒らせ…荒れ吹く大太刀!"」
俺が後ろに飛び退いてる間に精霊魔法の詠唱を終え、メルの周りに発生した魔法陣の辺りからは一直線にデスマンティスへ向かって切り裂いたかの様な跡が地面にが入っていた。
そのせいで辺りには砂埃が立ち込めている。
姿は見えないが精霊魔法を真正面から食らったのだから流石に無傷という訳にはいかないだろう。
「見てたソーマ?私の事少しは見直したかしら?」
「そうだなぁ…今のでアレを真っ二つにしてくれてたら抱きしめてたかも」
「だったら嬉しいなあ。それより腕はどう?…って結構再生してる場面は気持ち悪いわね」
「まぁ…慣れてくれ。これからは下手すると上半身の復活を見る事もあるはずだから」
「それは遠慮したいわ…」
腕はもう指の辺りまで急速に再生をしている。
後10秒もあれば完全復活するだろう。
無駄話をしてる間に砂埃が晴れてきて黒い影がだんだんと見えてきた。
「…やっぱり真っ二つにはならなかったか」
「でも私的には上々だと思うけど?ソーマの仇はとったわ!」
「いやまだ俺死んでないから…」
まぁ至る所に切り傷が入り、鎌を片方切り飛ばしたのだから上出来だ。
後は俺が頑張らないと…いけないよな?
「さーて俺もちょっとカッコイイとこ見せないとな」
「あれ?その銃さっきは無かったはずじゃ…」
「あーコイツは色々あってな。まぁまた今度話すよ。とりあえず後は俺がやるから巻き込まれないようにメルは下がって」
再生しきった左腕に先程逸れたカドラを構え直し地面を蹴ってデスマンティスへと肉薄する。
「さっきのお返しだ糞虫野郎が!銃剣式突の型"焔錐!"」
腕をまっすぐと弓を引くように引いていき、踏み込んだ脚に全体重を乗せてその腕を突き出す。
スピードとパワーが申し分無く乗ったカドラによる突きはデスマンティスの甲殻を突き破り、腹部に50cm程の穴をブチ空けた。
もちろん、それだけでは倒れてくれない事など分かっている。
うでを一本落とされて腹に穴を開けられたのが不満だったのか、無闇やたらにカマを振り回しているが二度目を食らうつもりはない。
カマを避けつつ次の一撃の為の隙を伺う。
「ここだ!銃剣式斬の型"衝月!"」
一瞬出来た隙でもう一度懐へと潜り込み、身体を捻りながら腕を下から弧を描くように振り上げて切り裂いた。
感触としてはいい線いってると思うけど。
「っらあ!」
微動だにしなくなったデスマンティスを蹴る。
瞬間、デスマンティスが斬られた部分から体液を噴き出しながらパックリと割れて左右に倒れた。
「ふぅーこれで終わったな…おえぇコイツもまっずいなぁ」
「やったわねソーマ!まあ私達なら当然よね!」
「まぁちょーっとヤバい場面あったけどね。とりあえずこのデカイ鎌でも持ち帰るか」
メルによって斬り落とされた鎌を拾い上げ、纏めて置いてあったアイテムバッグに詰め込む。
今日もだけど…またものすっごい血塗れだなぁ…
「あーまた汚れちまったよ…メル、もう一回水浴びしてくるわ」
「じゃあ私もー!」
「あ、どうぞどうぞ…」
「もー何よ!一緒に行こうよー!ソーマぁー」
メルが腕に抱きついてくるのと同時に感じるこの堅い感触は…あー分かった!
「血、メチャメチャついてんぞ…てかそんなに強く抱きつかれたらメイルで結構痛い」
「あ、ごめんなさい。チョット待ってね」
そう言っておもむろに胸当てを外して、下に着ていたラフな服装で再度腕を絡めてくる。
あー何と言うか感触がモロというか…この娘は下着ツケテルノ?
「…おい馬鹿やめろ当たってんだよどうせ当てんのよとか言うのかも知れないけどさっきも言ったがお前の身体付きはエロいんだよ結構危ないからマジでやめてくださいお願いします」
「…え?何?一緒に入らせて下さい?」
「分かった分かりました一緒に入らせて下さいお願いしますだからそれ以上プニプニ押し付けないで息子が起きちゃう前屈みで歩くの恥ずかしいだろ!ちょっとどこ触ってマジでカンベ…アッー!」
その後、湖の付近を散策していた名も知らない冒険者が赤く染まった水を飲みそうになってビックリしたそうだ。
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「グスン…もうお婿に行けない…」
「何言ってるのよソーマ?私がもう既に居るじゃない♪」
あの後、無事に王都まで戻ってきた俺達はギルドへの報告を済ませ宿へと戻ってきたところだ。
すでに外は日が沈み、辺りは黒に染まっている。
デスマンティスの鎌をお土産として持ち帰って来たら追加報酬で金貨40枚が上乗せされた。
行ってみて数や出現するモンスターが違うのはよくあることなのだがここまで報酬が上乗せされるとは思っていなかった。
思わぬ報酬だったけど正直それどころじゃなかった。
あの時湖での水浴び中ナニが行われていたのか…気にするな。
とりあえず分かったのはメル絶対にドSだ。
それで俺はベッドの上で隅の方に身体を寄せ体育座りで落ち込んでいるいるわけだ
「…(メルって最初からこんなヤツだったっけ?)」
「…ん?どうしたのソーマ?そんなに見つめちゃって」
「あ、えぁ…んーメルの顔に見惚れてた」
「へー私の顔に見惚れ…なっ!?何言ってるのよもう!…恥ずかしいでしょ」
うーんおかしい…この反応はやっぱり俺が知っているメルだ。
あの時なんであんなに積極的だったんだこの娘は?
…まぁもういいか。
過ぎた事は仕方無い、今を向いて次に進もう。
「なぁメル…あー何というかまぁ…一緒に寝ようぜ」
「ふぇ!?あのそれって…」
「深い意味はないよ。まぁそうだな…頑張ったご褒美かな?」
「そ、そういうことね!分かった」
天井に点いているランタンを消してメルが布団へと潜り込んでくる。
暗くても俺にはわかるんだよね…メル顔ふやけすぎでしょ。
たかだか一緒のベッドで寝てるだけなのに何が楽しいんだか?
って思ってた時期が僕にもありました。
いまならなんとなくだけど分かるよ…俺も多分相当ニヤニヤしてるし。
これがアレか…幸せってやつだな。
「ずっとこんな時間が続くようにしないとな」
「急にどうしたのソーマ?」
「何でもないよ。ただふとそう思っただけ」
もう、家族を失いたくなんてないからさ。
そうだろうメル?
「おやすみメル…いい夢を」
感想評価改善点等よろしくお願いします。