二回目。謝罪。
駄文ですがよろしくお願いします
二回目
王都エクステリア。
人口300万人、内人外50万人。
この世界にある7王都の一つだ。
7王都あるという事は国も7つある訳だが…あくまでも地上界での話し。
魔界や天界を合わせれば…いくつだろ?
とりあえず20くらいだったかな?
まぁそんなことはいい。
とりあえずエクステリアは他国と比べてかなりの平和さを誇っている。
地上界は基本的に何処も平和だけど…一番の理由は天界、魔界と最も距離があるから。
んでそんな平和な王都の大通りに面した所に俺は宿をとっているわけだ。
窓から外を見れば活気に溢れているのが一目で分かる。
治安の良さは最高峰…近くに冒険者ギルドもあるし。
それほど安全が確保されている中、俺は死ぬ寸前まで追い込まれている。
「貴方…魔族でしょ?」
ギルドから戻り、部屋のドアを開け放つとそこにはエルフさんが居たわけだ。
服装は奴隷装束、綿生地のワンピースみたいな感じのだな。
因みにエルフはこの辺りではよく見掛ける種族だ。
意外な事に人間は敵!っていう概念は無く、むしろかなり友好的だ。
どちらかと言えば人間と同じで魔族は敵!って感じで。
それでこの状況…
俺は今、腕を取られ床とちゅーをしながら首元にナイフを当てられている。
うん、ちゃんと掃除してあるっぽいな…埃の味はしないや。
と言うか…
「…俺、部屋間違えたっけ?奴隷が居るとか何とか聞いてたのに」
「いいえ、合ってるわよ?私は奴隷エルフですもの」
…ど う し て こ う な っ た !
彼女が奴隷ならご主人様は俺だよね?そうだよね?
「質問に答えて!貴方は魔族なんでしょ!?」
「…」
「答えなさい!」
首元のナイフが少し食い込んで血が垂れていくのが分かる。
素直に答えたほうがいいかなこれ?
…答えた所で首を掻っ切られるのは変わらない気がするけど。
「…違う」
「そ、じゃあしn「ごめん嘘です魔族ですよこれでいいd!?」
言いかけたところでコイツ首を落とし…やがった…
そこで俺の意識が飛んだ…
「…訳ねぇだろアホっ!痛ぇんだよ馬鹿っ!」
「きゃあ!」
きゃあ!だって可愛い叫び声だなおい!
まぁ首だけで喋ったら流石に誰でもビビるか。
手を伸ばして自分の頭を拾って立ち上がる。
「ったく…これ二回目だよ」
首を胴体とくっつけるとヴァンパイアとしてのアビリティー"超回復"が発動して瞬く間に傷口が繋がった。
左右に動かしてみるが支障はない、いつも通りだな。
エルフさんはベッドを背にして物凄く怖い視線をぶつけてきている。
「で?魔族の俺の首落として満足したエルフさん?」
「ば…化け物め!」
「…はぁ」
それ言われると結構ショックなんだよね。
俺の美しいガラスのハートが木っ端微塵だよ…一応人間として普段生きてるわけだから。
立っているのもなんなので近くにあった椅子に座り、腰を落ちつける。
「化け物かもしれないけど口に出すのは辞めてくれ結構心にくる。とりあえず座りなよ」
「うるさい!私に指図するな化け物!」
「あーもーヤダこの娘ーてか何で魔族って分かったんだよ?…ん?」
あれ?
今更だけどこのエルフさんはミュリエルさんから何も聞いてないのか?
…あの人なら大いに有り得るな。
「えっと…俺の事ミュリエルさんから聞いてない?」
「あんたみたいなのがあの方の名前を口にしないで!」
そう言い放ってナイフ構え直し俺に向かって突っ込んで…
「きゃあ!」
…来なかった。
てか二回目のきゃあ!頂きました!
エルフさんは俺の首を落とした時の血で滑って目の前で転んでいる。
それはもう盛大に顔面から…可愛い顔してんだから傷が付いたらどうすんの?
「あー大丈夫か?」
「触らないで!穢らわしい魔族が!」
「…」
随分ガッツリと抉ってきますね。
もうやめて!俺のライフはry
とりあえず面倒なのでナイフは回収した。
這いつくばってすごい睨んでくるけど…あ、涙目でちょっと可愛い。
「とりあえず俺はどうこうする気ないから…あ、あれ出してよ。"服従のリング"」
「どうするつもりよ!私を性奴隷にでもする気!?」
「あーめんどくさいなぁ!…"俺に服従のリングを渡せ"」
「ひっ…」
血のように赤く染まった瞳で睨みながら静かに命令を下す。
エルフさんは怯え切った顔で震えながらポケットを弄りリングを差し出してきた。
簡素なシルバーリングに魔法石が埋め込まれたこれが"服従のリング"
奴隷としては一番多く見られる物だ。
奴隷の種類には3つのものがある。
一つはこのエルフさんの様に"服従のリング"で奴隷となるアイン級。
アイン級の奴隷は言ってしまえば只の従者みたいなものだ。
人権等はしっかりしているので給料等も払わなければならない。
まぁ奴隷法で決まっているのだから当たり前か。
主人の命令は基本的に絶対だが、理不尽なものや人権、生命に関わる命令は拒否出来る。
あとは主人が相応しくない、又は犯罪を犯した場合などは殺すことも出来るな。
まぁそんな奴隷だけど奴隷っぽくない感じのものだ。
二つ目はツヴァイ級。
"服属のチョーカー"で奴隷になるものだ。
これはアイン級と比べるとかなり制限がキツくなる。
人権は無いし勿論違法奴隷だ。
扱いとしてはモノみたいな感じだろうか?
まず命令は絶対、ここに変わりが無いがツヴァイ級には拒否権がない。
やれと言われたら全て実行しなければならないのだ。
そうなれば勿論主人に手を上げることだって出来ない。
そんな事をしようものならチョーカーからの魔力で首が弾け飛ぶ。
まさに奴隷って奴だな。
三つ目はドライ級。
これは相当に特殊なものだ。
ドライ級の奴隷は主人に魂の一部を渡す。
そうすることで不老不死になるとか何とか…
正直詳しい事は知らない。
なんでも複雑な魔法陣がいるし、魂の一部を受け取ったとしても波長が合わずに術者が廃人となる事が殆どだということだ。
それで、目の前にいるエルフさんなのだが。
「リングくらいなら…っしゃあ!」
気合と共にリングを握りしめて粉砕する。
リングを破壊すれば奴隷の契約は解除だし。
「はい、これでエルフさんは自由ね」
「…な、何で壊したの?」
「いやなんでって…俺は元々こうするもりだったから…とにかくもう自由だし好きにすると良いよ。何処かに行くのもよし、実家に帰るもよし、ここに留まるのは…まぁありか」
そう言って俺は手持ちの硬貨袋から金貨を5枚出してエルフさんに渡す。
これだけあれば暫く生活に困らないだろうし。
「ど、どうしてここまでするの?私は貴方を殺そうとしたのよ!?」
「まぁ痛かったけど死んでないし。一応奴隷だったんだから給料払わないとダメでしょ。あ、後ここの部屋は好きに使うといいよ。俺は他の部屋借りるから。」
「な…なんで…」
「とりあえず風呂入ってきなよ。その間に荷物まとめて片付けとくから。あ、覗かないから大丈夫だよ!」
「なんで貴方は!魔族なんでしょ!私は貴方を殺そうとした!憎くないの!?殺してやりたいとは思わないの!?」
「ぇ…思わないけど」
「どうして…どうしてよ…私を殺してよ…なんで殺してくれないのよ…」
そう言って泣き始めてしまった。
何故…そんな事を思う?
何故…死にたいだなんて言うんだ?
「そんな悲しい事…言うなよ…」
「だって私には…家族が…居ないのよ…魔族に…殺されてもう…」
「…ゴメンな」
目の前のエルフさんを優しく抱き締める。
服が自分の血で汚れる。
「今まで辛かったよな、悲しかったよな…俺も家族が居ないから分かるよ…ゴメンな」
「…ぅぅ…グスッ…」
「ホント…ゴメン…俺達のせいで…」
そうだよな…魔族に家族を殺されてしまったんだから当然だよな。
俺がされた事なんて大したことねぇな…
きっと、ミュリエルさんは事情を知ってて俺にこの娘を託したんだろう。
だったら俺が責任をもってこの娘の面倒を見てやるしかない。
「俺は絶対に…キミの味方だから」
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