一回目。あーなんか嫌な予感。
駄文ですがよろしくお願いします
一回目
「ふぁあ…眠いなぁ…どうしよう」
この世界に来てからもう1年が過ぎようとしている。
あの後、俺は気が付いたら草原のど真ん中で寝ていた。
空を見上げれば雲ひとつ無く、風は穏やかでとても気持ちがいい…
起き上がってみて周りを見回しても見えるのは草っぱらとその間を通る道くらいだ。
人も居なければ生き物も…居た。
今までに見た中では一番のデカさを誇るイノシシにじっと見られていた。
思わずそのまま見つめ返してしまったらまぁ大変でしたよ。
…デカいイノシシに追いかけられて全力で逃げていた所を冒険者に助けてもらったのはいい思い出だ。
そして田舎から出てきたばかりの者だと言う事で適当に誤魔化して冒険者ギルドの登録までしてもらったなぁ。
アレからもうそんなに経つのかぁ…
「"プレートオープン"」
『名前《ソウマ=フルカワ》
性別《男》
種族《※ヴァンパイア》
Lv《※67》
職業《銃剣士》
専属ギルド《無し》
スキル《※A4 C8 R5》
・冒険者ギルド登録 Cランク』
この世界における絶対的な身分証明書。
それがこのマジックプレートだ。
個人情報が全て記載されたこれは如何なる方法をとっても偽造出来ない代物らしい。
※の付いている物は非表示となっている為、他の人から見えない。
って話だったから大丈夫なはず…
うーん。
そろそろ定住とかした方がいいかなぁ…
専属のギルドとかにも入りたいし。
何よりもフラッと色んな街を彷徨うのも飽きたからなぁ…
宿で生活するのも楽だけど。
そこそこ強くなったと思うし掲示板貼り出しとけば声かかるか?
「あーまぁいいか…今のままでも全然生活出来るし」
もう帰ることが出来ない以上、ここで暮らすしかないのだから焦る必要が無い。
と言うか不老不死だし焦っても意味ないし。
依頼もそれなりにこなしているので金銭的にもかなりの余裕がある。
今はやっぱりのんびり過ごそう。
「あ、そう言えば今日ギルドに呼び出されたっけ」
昨日ギルドから使いの人が来たんだよね。
別に何もしてないと思うんだけどなぁ…
まぁ呼ばれたんだから行くしかないか。
ベットから起き上がり、装備を確認して荷物を纏める。
武器、防具、アイテムバック…よし。
「さてと、行こうかな」
宿を出て少し歩くと周りと比べても一際大きな建物が見えてきた。
何時来ても思うが此処までの大きさは要らないだろうに…
そんな事を思いつつ扉を潜り受付に向かう。
「いかがなさいましたか?」
「支部長に呼ばれたんですけど…」
「あ、えっと…ソウマ=フルカワ様でいらっしゃいますか?ご身分の確認をお願いします」
「あー"プレートオープン"」
「はい、ありがとうございます。それでは支部長室までご案内いたします」
受付のお姉さんに続いて関係者通路を歩いていく。
一般の冒険者なら通ることはまず無い。
専属のギルドに所属するか俺のような状況にならない限りは。
先程までの喧騒が嘘のように静まり返った通路を歩いていく。
「支部長、ソウマ様がお見えになりました」
「入って」
「失礼します」
観音開きの扉を潜り支部長室に入る。
ここに来たのも久しぶりだなぁ…
「やぁソーマ君、随分久しぶりじゃないか」
「支部長、お久しぶりです」
「辞めてくれソーマ君、キミと僕の仲じゃないか」
「まぁ…そうですね…ミュリエルさん」
目の前で椅子に座り笑みを浮かべながら俺を見るかr…彼女はミュリエル=ヴァンガード。
この王都エクステリアの冒険者ギルドで支部長を勤めている人だ。
現在Rランクの冒険者の中でも三本の指に入る超人だ。
なんでも一人で魔界に乗り込んで1万の軍勢を消滅させたとか何とか…
人かよマジで。
…そして俺を助けてくれたのも彼女だ。
「ふむ、失礼な事を考えなかったかい?」
「い、いえ…ソンナコトナイデスヨ」
「まあいいさ。それよりも今日は少し頼みがあってキミを呼んだのだよ。」
「あーえっと…何ですか?」
あ、何か嫌な予感…
凄い笑みで…いや、ニヤニヤしながらこっち見てるし。
「…帰っていいd「ダメに決まっているだろう」
「…はい」
「それでだね。頼みというのは…」
奴隷を一人、貰って欲しい。
支部長もといミュリエルさんの口から出た言葉に俺は固まってしまった。
奴隷を一人貰えって…何?
「えーなんてー?」
素で聞き返してしまった。
「そのままの意味だが分からなかったかい?」
「あ、いや分かるけど…分かりますけどわからないです」
「とにかくだ。キミに拒否権は無いよ」
「…はい」
奴隷ってやっぱり…奴隷だよなぁ…
どうしろっていうんだよそんなの。
「奴隷を貰えって言われてもどうすればいいんですか?」
「そうだね…ご想像にお任せするよ」
あー凄いいい笑顔でこっち見てるし。
もうホントこの人苦手だ。
「…はぁ分かりました。頼みというのはそれだけですよね?」
「ああ、お願いするよ。ああそれと…」
キミの奴隷になったら解放するも使役するも殺すも自由にするといい。
ミュリエルさんが出て行こうとした俺の背中にそんな言葉を投げ掛けた。
なら初めから開放すれば良いのに…
そんな事を思いながら支部長室を出るために扉を開ける。
「…失礼しました」
「わざわざ足を運んでもらってすまなかったね」
「次は普通の要件で呼んで下さい。それでは」
「ふむ、検討しておくよ」
そうして俺は支部長室を後にした。
通路を歩いて行き、受付に向かう。
支部長に言われた事を言うと受付の方曰く、既に宿に居るらしい。
準備が良いなホント。
仕方無いが諦めて宿の自室へと戻る。
「はぁ…もうどうにでもなれ」
部屋の扉を開け放つ。
するとするとどうでしょう!
ベットの上には支部長の言っていた奴隷と思われる…何だろう?
耳は長いし髪は金髪だし…んーあれか。
「…エルフ?」
「そうだけど?」
「あ、そうっすか」
これが俺と彼女のファーストコンタクトとなった。
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