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十五回目。撤退。

こんにちわ

ここ最近リアルが忙しいため不定期感が凄いです

今日も駄文ですがよろしくお願いします

十五回目








「まったくもう!」


「本当に申し訳無い」




現在俺達は人通りの無くなった大通りを歩いて地下街を目指しているところだ。


メルに謝罪しながら少し後ろを歩く光景。


…最近切に思うが俺ってメルの主人なんだよな?立ち位置おかしい気がするんだよ。


まぁ大抵は俺が一人で何かをするから悪いんだろうけど。


主人の悪を正すのも奴隷の仕事だもんね!


俺の場合は素行の悪さだろうな…間違いない。




「それで?何人の女から血を啜ってきたわけ?」


「…一人です」


「ふーん。私が居るのに他の女のほうがいいんだ?」


「だってなぁ…メルに負担掛けたくないし」


「その気遣いが私は気に入らないの!私は奴隷でありソーマのこ、こ…婚約者なんだから…」


「え?」


「とにかくよ!吸血が必要なら私を頼ってって言ってるの!」


「あーうん、分かった」




ここは場を収めるために素直に頷いておくことにしよう。


こんな感じで今日も平常運転だ。


メルと話しながら地下街に向かって歩く事一時間ほどだろうか?


段々と入り口の階段が見えてきた。


日本でなら何処でもお目にかかれそうな感じの階段が地下へと向かって続いているだけ。


地下鉄の入り口ってまさにこんな感じだろう。




「ここだよな?」


「そうね、行きましょう」




づかづかと歩いていってしまうメル。


いやいや、ちょっとは危機感持って下さいよ。


あくまでも傭兵が全滅するような相手がいる場所に乗り込むんだからさ…




「まぁ…気合入れていくか」




そのままメルの後に続いて地下街へと降りていった。



____________




王都と何が違うのかと聞かれても空が見えないとしか言いようがない…とりあえずそんな感じ。


魔法石によって灯りが灯されている街灯が在るため昼夜を問わずにここは明るい。


人もそこそこ歩いているし店も開いている所がちょくちょくある。


まぁ一階層は住宅区だしこんなものだろうな。


通りを抜けて行きさらに下を目指す階段へと向かう。


俺的にはもう少しゆっくり見ながら行きたかったのだがメルはどんどんと先に行ってしまうので追いかけるのが大変なんだが。


先程から焦っているのか緊張しているのか一言も話さずに歩いている。


やはり自分が奴隷として売られいたような場所に行くのだから無理もないか。




「なぁメル…もう少しゆっくり歩いたらどうだ?焦るのは良くないぞ」


「焦ってなんか…ないわよ」


「いーや、行動に出てるから分かるよ」




メルの手を取って横に並ばせる。


その手を強く握り返してきているのだから不安やら何かあるのは間違いない。


少しでもそのような感情がなくなるようにこちらも握り返す。




「…ごめんなさい」


「仕方ないよ」




こういう時に気を使った言葉が出てこないのが自分の残念な所だとちょっと思う。


いくら頭を捻っても全く思いつかず気が付いたら既に三階層まで降りて来てしまった。


ここまで来ると雰囲気はガラッと変わって薄暗くどんよりとしたものになっていた。


人の影も見当たらず辺りの建物は閉まっているものばかりだ。




「…流石におかしくないか?」


「そうね」




悠長に手を繋いでいるわけにもいかないので手を離して武器を手に取る。


一瞬メルが残念そうな顔をしたが仕方がない。


渋々と言った感じて武器を取り警戒を始めると先程とは打って変わって真剣だ。


そのまま歩みを進めていき問題の屋敷に到達したのだが…デカい。


大きさだけで言えばマジで東京ドームに近いぐらいでは無いだろうか?


周りは高めの壁で覆われているから屋敷と言うよりは刑務所みたいだけど。


そして何よりも…危険な香りしかしない。


それも今までの中でも一番だと思うくらい危険なものだ。




「メル、絶対に離れるな」


「分かってる」




もう一度武器を構え直して俺達は屋敷の中へと足を踏み入れていった。


扉を開けた瞬間に視界に飛び込んできたのはそこら中に散らばった肉片と骨…原型を留めているものなど一つも無さそうだ。




「これは…」


「ソーマ、ちょっと無理かも…」




そのまま外へ走り出していくメル。


うん、俺も普通に無理かなこれは。




~しばらくお待ち下さい~




「…行くぞメル」


「…うん」




いきなりテンションが下がるような状態だが仕方が無い。


そのまま奥へと進んで近場のドアをそっと開ける。


長いテーブルに椅子か並べられ清潔感あふれるここは…食堂だろうか?


玄関先とは違いここは全く汚れていないというか…生活感があるというか…


暖炉には火が灯っているし何よりも先程まで食事をしていたかのような…




「やばい!伏せろ!」




メルの頭を押さえつけて無理やり屈ませる。


その刹那、先程まで頭があった位置を横切る槍が見えた。


屈んだままメルを抱えて玄関先まで転がり出る。


血やら何やらで汚れるがそんなものに構っている場合ではない。


メルをそのまま放り投げて飛び出してきた影の振り下ろした槍をカドラで受け止める。




「…っぐ!?」




受け止めた瞬間、床がメキメキと音を立てて沈んだ。


たった一撃で腕が悲鳴を上げている。


もう一撃防いだら次は俺の腕が使い物にならなくなるな。


少しだけ顔を上げて敵の顔を見る。


その顔には…なんの表情も無い。


冷たい視線でこちらを見ているが何一つ表情がない。


コレが…精神暴走(アストラムバースト)状態なのか?




「なぁアンタ、話が通じ…っちぃ!」




話しかけた途端、槍が薙ぎ払うように振られたので飛び退いてそれを避ける。


どうやら武力でのみコミュニケーションを取ってくれるようだ。


カドラを構えて牽制の魔法弾を撃ち込みながら次の一手を考える…暇は無かった。


相手は撃ち込まれた魔法弾を槍で斬り払いながらコチラへと向かって来るではないか。




「んな馬鹿な…」




勢いに乗った状態で突き出された高速の槍をサイドステップで交わす。


横ががら空きとなったところに全力で銃突きを叩き込んだのだが腕で払われてしまう。


逆に隙が出来た俺には相手の攻撃を避けれる訳もなくそのまま石突で殴り飛ばされてしまった。


壁に叩きつけられて肺の空気が一気に吐き出される。


相手は俺に向かって追撃を仕掛けようと飛び込んでくるが横から飛んで来た魔導弾によって後ろに飛び退いた。




「ソーマ、援護するわ」


「あぁ…殺るつもりで行くぞメル」




身体の節々が痛むが暫くすれば回復するだろう。


それにしてもこの防具であれだけのダメージを叩き込んでくるとなると…メルじゃ耐え切れない。


もし目標がメルに変わったら庇う他ないだろうな。


立ち上がって武器を持ち直して再度構えをとる。


わざわざこちらから攻め込まなくても相手から来てくれるのならカウンター狙いで一発お見舞いしてやろう。


相手を誘い込む為に間合いを計って少しずつ前進、逆にメルは後ろへと下がっていく。


様子を見ていた相手は間をおいてこちらに再び突撃して来た。


距離が詰まり相手が槍を引き絞った時、俺も腕を弓の様に後ろに引く。


そして同じタイミングで突き出される腕。




「"焔錐!"」




"ガキン"という金属音が響き渡り二人の動きが止まる。


それも束の間、二人同時に後ろに飛び退き今の状況を一瞬で把握する。


相手の槍は中程からポッキリと折れもはやただの棒とかしている。


一方ソーマは…相手の折れた槍が肩に突き刺さっていた。


あの一瞬の撃ち合いでソーマは攻撃を逸らされていたのだ。


同時に打ち出したかのように見えたが一瞬早かったソーマの銃剣を逸らす様に突き出された槍は焔錐の起動を変えて肩口へと突き刺さった。


だが焔錐を逸らした反動で槍が折れてしまったのは相手にとっては誤算であっただろう。


槍のリーチが無くなれば近接格闘を得意とする銃剣のソーマにも武が上がる。




「ってぇ…っぐ!」




肩に刺さった槍を引き抜き後ろへと投げ捨てる。




「これでリードが無くなったなアンタ。ここからは俺の得意分野だ」


「いっけえ!」




メルが連続して撃ち出している魔導弾を素手で弾くという暴挙に出ている相手に向かって地面を蹴り込みありったけのスピードを出して向かっていく。


それに気が付き器用に魔導弾を避けながらこちらへと突っ込んでくる相手。


これは…好都合だ!


技を最大限に発揮できる状況をわざわざ作り出してくれるとは!




「こいつで…"桜花!"」




身体のスピードと音速を超える突きに迷わず突っ込んでくる相手。


そして先程とは違った衝突音…辺りを風で揺らすほどのぶつかり合いだったが…




「冗談…キツイって」




相手を立った状態で10m程突き飛ばしたのだがクロスガードによって必殺の一撃とも言える攻撃が防がれた。


相手の右腕が血に染まりだらりと下がっているところを見ると完全に防がれたわけではないことが見てわかるが…


こちらも今の一撃で右腕が悲鳴を上げている。


すかさず後退して体制を立て直すためにメルが牽制に魔導弾を撃ち込んでくれる間に次の手を考える。




「正面からじゃ勝てる気がしないぞあんなの…」




俺もヴァンパイアなのだからその辺りの奴と比べればそれなりに強い方なのだがアレはそれを更に凌駕している。


現状の戦力ではかなり勝機は薄いだろう。




「…一旦引くぞメル。牽制するから先に逃げろ!」


「牽制なら私がするわ」


「いや、先に行ってくれ!もしこちらに突っ込んで来て一撃でも貰ったらマズイ」


「…分かった」




渋々といった感じで了承したメルは下がりながら魔導弾を撃ち出して玄関口へと後退していく。


俺はカドラを左だけ構えて出来るだけ高威力の魔法弾を撃ち出すべく魔力を込めながら重い一発をこれでもかという程撃ち込んだ。


メルが離脱したのを見届けると同時に俺も玄関口へと向かって走り出し外へと飛び出した。


幸い後を追って来る気配はないので諦めてくれた事を願いたいところだ。


そのまま前を走っているメルと二階層へ続く階段まで走り抜けた。




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