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十二回目。慌ただしい一日。

こんばんわ。


案外アクセスが伸びていてビックリです

読んでくれる方がいるのは嬉しいですね


駄文ですがよろしくお願いします

十二回目








「…」


「…」


「…あの」


「…ギロッ」


「…ごめんなさい」




現在、俺は椅子に座っているメルの前で正座をさせられいる。


まぁ原因は昨日の訓練場でぶっ飛ばしたのだろうが…うん、間違いなく俺が悪い。


こんな感じで朝から謝ってはいるのだが一向にお許しが出ない。


そろそろ足が痛くなってきちゃったなぁ…なんて言えるはずもなく永遠と正座。


畳に正座ならまだよかったものの…フローリングというか木は痛いです。


かれこれ二時間近くこの状態ではないだろうか?




「…ねえソーマ」


「あっ、はい」




不意にメルから声を掛けられた。


そっぽを向いているせいで顔色は伺えないが声からして何となくもう怒ってはない気がする。




「はぁ…もう許してあげるわ。その代わりひっ、一つだけお、おお願いを聞いて…くれない…かしら?」


「…何でしょうか?」


「私達って…その…ふ、夫婦になるわけじゃない?だから…えっと…その…ね?」


「…?」




恥ずかしそうに身体をモジモジさせながら人差し指を合わせてツンツンしながら何かを訴えようとしている…が、全くわからん。


確かにそうなる?…はずだが何を言いたいのだろうか?




「毎日おは、おはようのき、キス…していい?」


「…」




あまりにもメルが可愛いことを言い始めるものだから反射的に抱きしめてしまった。


なんと健気なんだろうかこの娘は…一瞬ちょっと違うこと考えてしまった俺を許してくれ!


抱き締めたまま頭を撫でつつ耳元で返答をしてあげる。




「もちろんいいよ。むしろしてください」


「わかった…エヘヘ」




あーもぉー何だ何だどうしちゃったんですか!?


先程までとは打って変わって今は上機嫌の真っ最中だ。


それにすごくいい匂いもするし…女の子って不思議だよなぁ…


ずっとこうしているのも少し恥ずかしくなってきたので一度離れてから手を差し出してメルを立たせる。




「とりあえず許して頂いたわけだし飯にでも行きませんかね?」


「そうね…朝から何も食べてないし行きましょう」




とまぁこんな感じで揉めていたのが朝から昼までの間にあった出来事だ。


んで昼を食いに外に出てから夕方まで。


た ま た ま 表に用があって出てきていたエマさんにぐ う ぜ ん 遭遇した俺達は一緒に飯を食った後、裏ギルドに呼ばれていた。




「それで偶然出逢ったエマさん、俺に何か用ですかね?」


「偶然じゃなく必然だ。仕方が無いだろう?ソーマ宛に届いた依頼なんだから」


「まぁ特に何があるわけではないんで良いんですけどね…どんな内容ですか?」




エマさんの部屋でソファーに座り対面している状態なので割と真面目な依頼っぽい。


メルも何となく分かったのか緊張した顔をして話を聞いている。




「…正直な話、今回の依頼は断ってくれてもいい…少し嫌な予感がするんだ」


「内容次第では考えますよ」


「そうか…」




依頼はとある人間からのものだ。


内容は…一番多い殺害の依頼なんだけどな…相手に問題がある。


対象となっているのがその依頼主の奴隷なんだ。


奴隷なら開放すれば良いはずなのだが何故ここまでして消したいのかな?


しかもその奴隷…どうやら竜人族らしいんだ…


どうやって奴隷にしたのかは分からない。


確実に法に触れる様な方法を取ったのは間違いないだろう。


報酬は魔金貨5枚…どう考えても異常な額だ。


そして対象としたのが血塗れの銃剣士…ソーマ、お前だよ。




「なるほど…確かにヤバそうだ」


「ならこの依頼は断るか?」


「いいえ、受けますよ。それに少し気になりますからね…」




竜人族と言えばこの地上界で相当強い種族だ。


自分の負けた相手くらいにしか従わないと思うが…そんな人間なら自分で殺るだろうな。


とすれば考えられるのは…




「強制的に服従…チョーカーだろうなぁ…」


「ソーマ…何を考えているのかは知らないけど辞めておけ」


「いーや無理です。もう決めましたからね。手続き踏んどいてください。後、期限はどのくらいですか?」


「二週間だけど早いほうがいいと言っていたな」


「分かりました。じゃあちょっとしたら行きますんで依頼表も一緒に出してください」


「…分かった。そこまで言うならもう止めないよ。ただ…危ないと思ったらすぐに放棄するんだよ?」


「勿論ですよ…死にたくありませんからね」




まぁ死なないんですけどね。


そして対象を殺す気も無い…竜人族に貸しを作っておくのも悪くないし。


なにより竜人族はコミュ障というか殆ど里から出ないのでちょっと見てみたい。


エマさん曰く"人間にツノと尻尾が生えただけ"とのこと。


大雑把だがだいたいイメージは固まったかな?


そんな感じで時間が過ぎていき夕方になると今度はゲッソリとしたシェリーに出会して工房に連れて行かれた。




「主様に頼まれていた物ですが出来上がったので見てください」




早すぎるだろうと思ったけれどこのシェリーの状態を見ればそうなるのも頷ける。


殆ど不眠不休で作り続けたんだろうなこれは…目の下の隈が酷すぎて怖い。


まぁとりあえず自分で指定した期間の半分くらいで仕上げてるんだからこうなるわ。




「こちらになります」




そう言って工房の机の上に鎮座していた物から布を取る。




「これは…ヤバイな」


「すっごいわね…」




全体的な色は黒だが所々に赤いラインの入っている上半身の鎧。


下は同じく同色の腰当てなのだが…手にとってみると驚くほど軽い。


そしてそのどちらも背後から黒いオーラの様なものが漂っているように見えて仕方が無い。




「一体何を使ったんだ?」


「素材ですか?ドラゴンの鱗、ミスリル、濃魔力結晶…etc」




スラスラとシェリーの口から出てくるのはとんでもないレア素材のオンパレードだ。


普通に手入れたらそりゃあ幾らするのか検討もつかない。




「どっから出てきたんだそんな素材が…」


「それはですね…一族の者に自慢したら寄ってたかって持って来ました。後は店にある物からを剥ぎ取ったりしたりもしました」


「…あーそうか」




まぁもう気にしない事にしよう。


どうせマトモなルートではないのは間違いないだろうし。


それに店にあるものから剥ぎ取ったって…この店呪いの掛かったものばかりじゃなかったっけ?


嫌な予感しかしなかったが真実の瞳で防具の特性を見てひっくり返りそうになった。


・上半身《Sランク:黒く染まった覇王鎧(呪)》

(被物理,被魔法半減、変形、不壊)

主への思いを籠めて不眠不休で仕上げられた逸品。

その鎧は主以外の者を使用者として認めない。


・下半身《Sランク:常闇の王の腰当て(呪)》

(全装備軽量化、種族強化、変形、不壊)

常闇の王が使用する腰当て。

その姿に決まった形はない。


なんとも言い辛い恐ろしいものだった。


何故製作したばかりの装備品なのに呪いがかかっているのか分からないが強さで言えば大変なものだろう。


呪いは店の物を使ったせいだろうか?




「…これ俺以外装備したらどうなるの?」


「そんな輩は殺します。死を持って主様の物を使用した罰を受けるべきです」


「…あー分かった」




どう考えてもこいつのせいだ!


私情がバリバリに入っている呪いでちょっとビビったよ!


まぁ呪いといっても(どちらにしても)俺関係ないからいいけど。


そんなわけでシェリーが急速に仕上げた装備を受け取り宿へ帰ってきたのが既に日が落ちてからだった。




「今日ってさぁ…何か時間すぎるの早かったな」


「そうね…私はちょっと疲れたわよ…」


「それは俺も変わらないわ。マジで」


「分かったのはソーマの知り合いはマトモな人が居ないって事ね」


「それな…まぁ人ではないけど」




二人でベッドに寝転がりながら話をする。


既に夕食は済ませたので後は自室で篭るだけだ。




「ソーマ?なんで貴方は私を選んでくれたの?貴方の周りには綺麗な人がたくさんいるのに」


「何で…かぁ…」




唐突にそんなことを聞いてくるメル。


実はその指輪には大した意味が無くただのプレゼントのつもりでした。


とは到底言えないので他に理由を考えるが…




「みんな可愛いし綺麗な人たちだけど俺には勿体無いよ。もっと良い人が見つかるに決まってる」


「…鈍感ね」


「えっ?何だって?」


「なんでもないわよ。それよりも私は周りと比べたら大した事ないって言ってるように聞こえたのだけど?」


「あ、いや、そういう事じゃなくてだな…何か一緒に居て落ち着くんだよ。境遇とか似てるし歳も…近いからさ」


「…今の間は何かしら?」


「…ごめんなさい」


「まったく…しって………みて………今………だし」


「えっ?」




何を言ったのか微妙に聞き取れなかったがメルが抱き着いて顔を埋めてしまったので聞き返せそうにないな。


聞き返しても教えてくれないような気がするし気にしないのが一番かな?


そういえば明日からは依頼に行かないといけないな…報酬が入ったらそろそろ違う街に行こうかな?


色々と考えながらメルの頭をゆっくり撫で眠りに落ちるのを待つソーマだった。




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