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十回目。夕暮れの一時。

こんばんわ。


メルの出番少なめです

駄文ですがよろしくお願いします。

十回目







「あーまさかここまでかかるとか」




日付は変わって既に次の日の昼過ぎ。


結局あの後、近場の酒場へと赴き散々飲み食いしていたエマさんとメルをギルドに連れ帰って寝たのが朝日が出始めた頃。


そして起きたのがつい先ほど…


そのまま未だに寝ているメルを背負ってギルドを抜け出してきた次第である。




「それにしても意外だったな…メルがあんなに呑むなんて」




イメージでは呑んだら一瞬で酔っ払って絡んで来るかと思ったがエマさんと同じくらい強いらしく二人でガンガン煽っていた。


どちらも初めのうちは静かに呑んでいたのだが、量が進むに連れ周りの奴らを巻き込んでどんちゃん騒ぎを始めやがって…


マスターは"みんなソーマさんが来てくれたのが嬉しいのですよ"とか言ってたけど絶対に雰囲気に飲まれいただけだったと思う。


結局それが朝方の店仕舞いまで続きみんな床で雑魚寝状態だった。


片付けを手伝おうかと思ったのだけれど"彼女達を連れて行くのが仕事ですよ"と言われしまったのでギルド宛に請求書を回すように伝えて帰ってきてしまった。




「…やっぱり手伝っておけばよかったなぁ」




そんなことを思いつつ昨日行けなかった店へ向かって脚を運ぶ。


メルはまだまだ起きそうに無いし向こうに着いたら寝かせてもらおう。


そうして歩くこと30分くらいでやっと店の前に辿り着いた。


店の中に入るとまだ昼間だというのに薄暗く、本当にやっているのかすら怪しい雰囲気だ。




「シェリー!居ないかー?ソーマだけど装備を整えて欲しいんだ!」




…返事が無い。


いや、いつも通りって言えばそうなんだけどたまには店番していて欲しいね。


まぁ店番は居るには居るけど苦手なんだよなぁアイツ…




「えーと…居ないならでて来なくていいけどかr「お兄ちゃん久しぶりですー!」


「おぐっ!?」




何処からともなく現れた小柄な女の子の腹ダイブをモロにくらいメルを落としそうになる。


このままでは危険だと思ったので一度女の子を引き剥がしてメルを近くのソファーに横にした。


あーチクショウ…こうなると思ってたんだよな…


ニコニコと後ろで手を組んでコチラを見ていた女の子の方に歩いていき目線を同じくらいにして話をする。




「カレン…久々だからはしゃぎたいのは分かるけどもう少し落ち着いてくれ…」


「分かったですよ!」


「はぁ…とりあえずお母さんは居る?」


「お母さんなら奥の工房に籠って居るです!」


「やっぱりか…しゃーない行くか」


「はいです!」




そう言って奥へと走って行くカレン。


その後に続いて俺も奥へと進んでいく。


店の奥に進むと何やら怪しげな武器や防具、薬品がそこら中に積まれており本当にいつも何をしているのか気になって仕方が無い。


そのまま道なりに通路を歩いて行った一番奥、ここの店主であるシェリルが何時も引き籠っている工房へと辿り着いた。




「シェリー?お前居るならってあっついなおい!?」


「んー?あっ主様!?お久しぶりです!」


「あぁ…久しぶりだなシェリー」


「ああ!?大変申し訳ございません!すぐに片付けますので!」




そう言ってテキパキと片づけを始めたシェリー。


別にこのままでも良いのに…かなり暑いけど。


台の上にあった物に布を被せ、暖炉の火を落として俺の前で被っていた帽子を取り膝を付く。




「申し訳ございません…主様が足を運んでくださったのにもかかわらずこのような場所まで赴かせしまって…」


「いや問題ないっていうか…その態度やめてくれないかな?最初の時みたいにしてくれると嬉しいんだけど」


「そ、そんな事出来ません!常闇の王である主様に向かってタメ口をきくなど…あの時など何も知らずに主様に依頼までさせてしまって」


「ああうん。もういいから。とりあえず話があってきたんだよ。ほら、椅子に座って?」


「は、はい」




やっと話が出来そうだ…目の前に座っている彼女はシェリー。


種族は鬼人族で身長は俺よりも少し低いくらいで体型はスレンダーな感じ。


髪は俺と同じく黒色でショート、頭には角が生えている。


んで鬼なだけあってマジで力が強いし意外に魔法に長けている。


そして何故か俺がヴァンパイアだと知ったその時からこんな感じだ。


どうやらここでは妖怪も物の怪も魔族であるためヴァンパイアの俺が王となるらしい。


じゃあ魔王はどうなるんだよ?って聞いたら信仰する対象がそれぞれ違うらしく、魔物の王である魔王派と常闇の王であるヴァンパイアで分かれるらしい。


他にも何か居るって言ってたけど興味が無かったから聞き流していたので覚えいない。




「それで本日はどの様な要件でしょうか?」


「あーこの前の防具裂けちゃってさ。それで直そうかと思ったんだけどメル…えーとうちの奴隷…いや、婚約者g「こ、ここ婚約者!?ご結婚なさるんですか主様!?」


「…あまり深く聞かないでくれると助かる。色々とあるんだよ」


「すみません…それで装備ですがいかがいたしましょうか?」


「あーそうそう、上下だけで良いからAランク級の物を揃えて欲しいんだ。かなり無理があるかもしれないけど出来るかな?」


「もちろんですよ!主様の頼みと有らばこのシェリル=ウィンターの名と命にかけてSランク級ですら作って見せます!」


「あー無理だけはしないでくれよ?因みにいくら位に「お代なんていりません!」


「金貨50枚で何とかな「お代なんて頂けません!」


「…」


「今までの非礼をお許し頂くだけでもありがたいのにお代を頂くなんて出来ません。それに私は主様の装備品を作れるなんて名誉なことで嬉しいですから」


「…分かった。じゃあ今回はそうしてもらうよ。だけど次からはちゃんと受け取って貰うからね?」


「分かりました。それでは早速取り掛からせて頂きますね。期間は1ヶ月程頂きたいのですがよろしいですか?」


「あーうん、特に急いで無いから。それ位にまた来るよ」


「はい、お任せください」




そう言って早速作業に取り掛かりはじめたので俺はカレンと一緒に店まで戻ってきた。


相変わらずメルはソファーで眠ったままだ。


因みにカレンだがシェリルの本当の娘ではない。


シェリルが拾って来た捨て子だ。


カレンはワーキャット族で身長は俺の腰くらいまでしかなく年齢も小学生くらいだな。


まぁワーキャット族は大人になっても精々140cm程だからかなり小さい。




「カレン、とりあえずの装備が欲しいんだけど何かいいの無いかな?」


「あるですよ!お兄ちゃんにピッタリだと思うです!」




ゴソゴソと近場にあったロッカーのような場所を漁り、取り出してきたのは真っ黒なマント。


見た感じは普通なのだが…スキルの真実の瞳でこのマントのステータスを見てみると…やっぱりか。




「呪われてるな…"断罪者の外套"か」


「お母さんがお兄ちゃんにピッタリだって言ってたですよ」


「まぁ確かにな…」




俺は呪いが掛かっていたとしても無効化出来るので大して問題ない、っていうか呪いのかかった装備品は割と強いのでリスクなく装備ができてかなりお得だ。


それにしてもこのマント…結構ヤバそうだ。


・首《Aランク:断罪者の外套(呪)》

(闇魔法強化,闇魔法無効,不壊)

数多くの死刑囚の首を切り落とした断罪者の外套。

死刑囚の血が飛び、その外套に膨大な怨念を蓄えた。


呪いの内容は分からないが多分バーサーカーのような状態になって処構わず殺戮をするだけの機械になるんじゃないだろうか?


だがその分効果は強力なのでぜひとも欲しい。




「よし、コイツを貰うよ。カレン幾らだ?」


「タダです!」


「どうせそうだろうと思ってたよ!普通の客なら幾らだ?」


「この店の物は殆どお兄ちゃん用だから値段ないですよ?」


「…」


「…えへへ」




なんだよこの店既に何か俺の為にあるような店になってるじゃねぇか…どんだけ信仰心凄いんだよ。


ここで無理に金貨を置いていったとしても後から何か言われそうなので諦めて貰っていく。


とりあえず着けてみたが…うん、ふつうにカッコいい!


そのままメルを背負って店を後にすることにした。




「じゃあまた来るから。お母さんによろしく言っておいてね」


「はいです!またですよお兄ちゃん」




バイバイと手を振ってきたので手を振り返して外に出る。


あぁ…何と言うか無邪気だなぁ…綺麗な子に育って欲しいよ。


そんなことを思いつつ用も済んだため宿に戻ることにした。


日も暮れつある中、裏通りから表通りへと抜けて宿までの道を歩いていたら後ろからあくびが聞こえてきた。




「ん…ふぁーっ…あれ?」


「おはようメル。もう夕方だけどね」


「あっ…おはようソーマ。ごめんなさい」


「いいよこのくらい。よく寝れた?」


「うん…すごく気持ちよく寝れた」


「そっか…良かった。もう降りる?」


「…もう少しこのままがいいな」


「はいはい。宿までこのまま行くよお姫様」




そんな会話をしながら宿までの道をのんびりと歩いていく。


メルは俺の首に手を回し身体を密着させて顔をすぐ横に出してきて微笑んでいる。


こうしていると仲の良いカップルとかに見えるのかな?


どうなんだろうね?とメルに聞いてみたがそうにきまっているわよ!と返って来た。


じゃあそうなんだろうなぁ…実際そうなんだしいいか。


少しでも長くこの温もりを感じていたかった俺は更にペースを落としながら宿までの道のりを歩いて行った。







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