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はきだめSS  作者: 宮明
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寝る前の戯言

やる気がなくてダメ女

「ねむいー」


 こたつに頭まで潜ってつぶやく。頭かくして足隠さず。こたつからはみ出た足がとても涼しい。

 今日も明日も明後日も、私はきっといつもの用に過ごすのだろう。つまりは、寝て起きてご飯を食べて働いて食べて働いて帰って食べて寝るのエンドレスリピート。

 恋人はいないしできる気配も予感もないし、いわゆる「干物女」というやつで。ネットを検索したら「こんなにもてなかった私にも恋人が!旦那が!」とか仰天びっくりやったねニュースがいくらでも引っかかるけれど、あほいっちゃいけない。干物の九割はもてないまま死ぬ。当者比較。

 身近にいたはずのこの間まで「恋人できないよう」とかいってた友人は気づいたら結婚していたけれど、あいつは中学時代にもててたんだから、筋金入りの私とは格が違うのだよ格が。

 しかし、前向きな奴なら「私もがんばってみよう」とか何のかなぁー、あほらしいあほらしい。後ろ向きに定評のある私からしたら、下手な期待をしてがんばって玉砕して絶望するより毎日小さな悲しみを背負っていた方がいいのだと思います作文。


「あー、このまま寝ようかなぁ」


 しかし、このまま寝たら息苦しいことこの上ない。そして、足がしもやけになってしまうかもしれない。

 全く、睡魔におそわれることがわかっているのに何で人はこたつで寝ころびたくなるのだろうね?

 さてはて。

 あのときこうしたらこんなんじゃなかったのに、ああしてたらああだったのにとか。そんな出来事すらなかった順調になにもなかった私の人生。

 ふんッと、頭を出したら、蛍光灯のつりひもが揺れていて。

 あー、うん。いいや、寝ちゃおう。

 実をいうとそんなに後悔していないのである。

 たぶんそれこそが一番の問題なのだと思いつつ。まぁいいや。

 ともかく今日はもう、寝ることにする。


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