ちょうこくとうのいた
ぼくは、木版画の板。
みんなからは、
「森川しげる」ってよばれている。
なぜ日本語をしゃべるかというと、日本語を使わないと、言葉が伝わらないからだ。
ところで、ぼくはどこにいるかというと、箱の中に入っている。
お、箱のふたが開いた。一人一枚ずつぼくたちが配られている。先生が何か説明している。
生徒が紙に絵をかいている。
絵をかき終ると、何と僕に絵を写し始めた。
「ぎゃあぁ-!鉛筆がこすれていてぇぇ!」
そして、図工の時間が終わると、僕はまた、箱に入れられた。
一週間後、また箱から出されたぼくは、またくばられた。
先生がちょうこく刀の説明をしている。そして、配られたちょくこく刀を手に持った。
「ま、まさか!」
と、僕は言った。
ガリガリガリ…「ぎゃあああああーーあああぁ!」
そして、ちょうこく刀で彫るのが終わった。
この時ぼくは手足とあばらと背骨を折られていた。
その後、版画で、ぼくを新聞紙にのせて、版画インキをつけたローラーを。
ゴロゴロ。
「ギャァァァ、重い!苦しい!」
とうとう、木版画の板、いや、森川しげるは死んだ。でも、りっぱな版画が、刷れた。