第51回戦 体育祭〜全員リレー2〜
第51話 プライドと意地を天秤にかけて
みんな必死に走る走る。頑張ってるね。変わりがわりに走者にバトンがまわって面白い。
『見ろ光太。まるで人がゴミのようだ!』
「そーですねム●カ様」
『しかしなぜ我がD組は3位なのだ?』
「お前が見ていないうちに何かがあったんだよ」
だからなにがあったんだよ!
まぁでも、2位との差はたいしてないから大丈夫そうだけど。
どうせC組なんて貧相なぼっちゃんばかりだろうし、抜けるっしょ。
「舞、鈴がC組抜いて2位になったぞ」
『おお、さすが私の相棒だだ。誉めてつかわそう!』
「あ、もうすぐ俺の番だ」
『…ふっ、せいぜい頑張ってくれたまえ』
「うざいんだけど。殺意湧くんだけど」
『痛ッ!』
光太のチョップがあたしの顔面に炸裂!しかも目ェ狙いやがったコイツ!
『目が!目がぁぁぁぁ!!』
「もういい加減ウゼェよそのキャラ」
そう言って地面に膝つくあたしを、無表情で蹴る光太。
コイツやばいって! 実は隠れSだったのか!
今までそんな素ぶり見せてなかったのにィ!
「あ、俺の出番だ」
そう言って、光太はコースに入る。そして何事もなかったのようにバトンを受け取り、走っていった。
SMプレイかと思ったら、放置プレイかよこのやろー。
『くそ、覚えてろ…』
「よ、舞! 約束通り本気で走ってやったぞ」
『おお鈴♪ 後で───』
ワァッー!!
鈴の声に振り返った瞬間、いっきにざわついた。
何事だと見れば、
(あ、流華……!)
愛しの流華が、なんと転んでいた。
流華は表情を歪めながらも、直ぐに立ちあがり次の走者にバトンを渡す。
D組はいっきにビリ。鈴が『あちゃー』と呟いた。だけどそんなことより、流華の身体のほうが心配。
足とか捻ってたらどうしよう!
「ねぇ、今の見た?」
「見た見た! 絶対C組の奴わざとだよ。これだからプライド高いお嬢様は」
近くのB組の女の子の会話。いま、聞き逃せない言葉があった。
『……ねぇ、それ詳しく聞かせてくれる?』
話しかけると、その二人組はお互い顔を見合わせてから、口を開いた。
「C組の娘が、葉月さんの肩にぶつかっていったの。さりげなくだったけど、あれ絶対わざとだと思う」
ね?ともう一人の娘に聞いて、その娘も頷いた。
つまりは、なに?勝ちほしさに妨害したと。
へぇーふーん。
って、ふざけんなよ!!
『ぬぁぁぁムカつくッ』
「ケンカなら付き合うぜ?」
『NO!勝負はリレーでつける。負かしてやらぁ』
「でもビリだぜ?ちょっとキツイんじゃね?」
『そんなの問題ない。丁度楽勝すぎてつまらないと思ってたし、いいハンデだね』
打倒C組!絶対1位はもらってみせる!




