第50回戦 体育祭〜全員リレー〜
なんだかんだで50話まで来れました。読者のみなさまに感謝します!これからもよろしくお願いしますね♪
◆第50回戦 なんだかんだで全員リレー
『なにこのタイトル。手抜きしてるみたいじゃん』
あたしが独り言を呟いたら、いつからいたのか、青海が口を出す。
「してるみたいじゃなくて、実際してるだろ」
───と。
どうして?と聞くと、そいつはいつもの無表情で言った。
「綱引き短縮してるじゃん。A組とC組」
『………』
「なに目そらしてるんだよ」
いや、だってあれは、ねぇ?
ほら、たいして見せ場なかったから。あまりに呆気なく終わってさ。
『だからとばしたのさ』
「やっぱ手抜きじゃねぇか」
『………さぁ、最終競技いってみよー!』
「シカトかてめぇ」
ってことで、『全員リレー』です!
とりあえず足の速い奴は、最初と最後に集中させた。あ、もちろんあたしはアンカーね。それ以外は却下。
一番もいいと思ったけど、注目されるのはやっぱりアンカーでしょう。青海とアンカーの座を取り合ったけど、あたしの方が速いから♪
青海は次に目立つ第1走者になった。全員リレーって、みんな50メートルずつだけど、最初と最後だけは100メートル走るんだよね。
ついでにわたしの前は、わたし程じゃないけど、スポーツ万能の幸希。流華は確か前のほうだった気がする。あたしと遠い〜って、嘆いてたから。
いやぁ、愛されちゃって困るねぇvV
バァンッ!!
『うわっ、なになに?』
って、今の銃声?え、もう始まったの?不意打ちですかコノヤロー。
『うーん、やっぱりB組は早いなぁ』
それに比べ、何やってんだよ青海。最初が肝心なんだぞ? 1位以外許さないっつーの。
なんて思っていたら、どんどん間合いを詰めていく。B組と張り合えるなんて、あいつ足早くなったか?
なんか、それはそれでムカつくなぁ。
バトンが第2走者に渡された。現在あたしのクラスは2位である。
『孝也ーファイトー!』
応援は大切だよね、うん。がんばれ陸上部!その実力を見せてやれ!
「みんな本気かぁ。手ぇ抜いたら怒られるな」
不意に隣から声が。
『うわっ!──って、なんだ鈴か』
驚かすなよコノヤロー。いつからいたのさ。
「疲れんの嫌いなんだよな」
ため息まじりに言って、赤い髪をがしがしと掻く。
おーい。今聞き捨てならない言葉を聞いたぞ。
『ちょっと、本気出すって約束したじゃん。嘘ついたら針千本ならぬハリセンボンを丸ごと飲ますからな』
「それたぶんオレ死ぬ」
『大丈夫。鈴ならヘッチャラだって。たぶん』
「そんな曖昧な信じられ方困るんだけど」
「お前らバカな言い合いしてねぇで応援しろよっ」
怒られた。しかもまた光太に。チクショー、鈴のせいだ。
わたしは『チェッ』と小さく舌打ちしながら、自分のクラスを視線で追い掛けた。
今は……あり?なんか3位じゃね?
え、なんで、嘘。いつのまに抜かれたのさ。2位って金持ち学級のC組じゃん。
オイオイ、この少しの間に何があったんだ。
なんでカメラ私達に向けてたんだよ。なんでこんなくだらない言い合いを映してたんだよ。あ、くだらないって言っちゃった。
『ちょっ、気になるんだけど。かなり気になるんだけど!』
「ドンマイ舞!
あ、“まいまい”だって。おもしろくね?」
『おもしろくねーよ!もとはと言えばアンタのせいだこのヤンキー!』
「うわっ、こら。髪を引っ張るな!くずれるだろ!」
わたしの手を必死に払い除けようとする鈴。何がくずれるだっ!たかが髪のセットにわたしより時間かけちゃってさ?
むしろボーズにしろ!
『だいたいね、若い頃からそんな真っ赤っ赤に染めてると、将来ハゲるんだから!』
「ハゲねぇよ!!」
『いいやハゲるね。神に誓ってハゲるね。月に代わってお仕置きだね』
「…舞、いい加減にしないと追い出すぞ。鈴、お前の待場ここじゃないから」
そんな光太の指摘は、生憎わたし達の耳に届かなかった。
ドンマイ光太!




