第49回戦 体育祭〜綱引き〜
◆第49回戦 当たって砕けろ
どうも、浅野舞です。どこかの誰かさんのせいで、めちゃくちゃ気分悪いです。
「ふっ、まぁいいさ。体育祭が終わったら聞き出してやる」
今は競技に集中だ!
ただ今の成績
1位…B組
2位…D組
3位…C組
ビリ…A組
となっている。
2位だぜ2位!この舞さまがいるクラスが1位以外なんてありえない!
この際、誰のせいかは置いておいて、目指すは優勝!あの体育科クラスに勝つのさ!
『鈴、午後の競技って何があったっけ?』
「いや、俺が知ってるわけねぇし」
『チッ』
「舌うち!?」
やっぱやる気なかったヤツは使えねぇな。こういう時は流華か幸希……。あり?どこ行ったんだあの二人。
ハッ!まさかあの二人、あたしに内緒で───!
『いやぁぁぁぁ!!流華は私のものよー!』
「その通りだわ舞ッ!」
『え?あ、流華』
「嬉しいわ舞。とうとう私、舞のものになれたのね。あ、でも私の心はいつだって舞のものだったわよ」
『私も流華のものよ♪』
「きゃー!嬉しすぎるvVで、でも出来れば、いつかは心だけじゃなくて身体も……!」
『いやん、恥ずかしい!』
「……幸希、早く来てツッコミしてくれ」
鈴が小さく呟いた。
さて、気をとりなおして。残りの競技は綱引きと全員リレー。そして、次の競技は綱引きだ。
わたし達D組は円陣組んで、気合い入れ中である。
『全力でいくぞォォォ!!』
「オオォォォォ!!」
『目指すは優勝ォォォォ!!』
「オオォォォォォ!!」
『一人はみんなのために、みんなは私のために頑張るんだァァァァァ!!』
「オオォォォ……ォ、オ?」
「なんか違くね?」
「みんなは一人のためにじゃね?」
『細かいことは気にするなァァァ!!』
「オオォォォォォォォォォ!!(やけ)」
叫ぶだけ叫んだとこで、あたし達は配置についた。まずは1回戦。相手はB組だ。
「初回から嫌なところと当たったなぁ」
ため息混じりに幸希が呟く。
『病は気から。弱気になったらダメだぞ!』
「うん。言いたいことはなんとなく分かるけど、使い方はおかしいと思う」
『人の揚げ足とるんじゃありません!そんなんだからいじめられるのよ!』
「お母さん!?」
ハッ、バカ言っちゃ困る。わたしはこんなヘタレ生んだ覚えはない。
わたしは将来スポーツ選手と結婚するのさ。イ●ロー的な。
「おいそこ、静かにしろ」
荒井先生に怒られた。荒井って誰?って奴に紹介しよう。体育科B組の担任で、体育教師。詳しくは39話を読もう。
『だけど綱引きか……。あたし足には自信あるけど、力はちょっとね』
ほら、か弱い乙女だからさ?
そう言ったら、幸希が小声で返す。小声なのは、また荒井に怒られるのが嫌だからだねきっと。
「いや、でも舞ちゃん力あるでしょ。ガラスわったり、ケンカで相手を入院させたりしてるじゃん」
『あれは火事場の馬鹿力―…。怒りのパワーだよ』
「怒ると怪力発揮するんだ?」
『まぁそういうこと。だから怒らせてよ』
「いや、怒らせてよって言われても…。そういうことは青海のほうが得意じゃない?」
分かってないの幸希は。アイツに言われたらマジギレして、綱引きどころじゃないっつーの。
なんて思っていたら、始まりの合図に銃声が響いた。体が持ってかれる。
『うおおおおお!引きづられてるぅ!』
不意打ちなんて卑怯だ!
「うっわ、すごい力……」
『くそ、B組にはラグビー部の賀川がいるから』
「よく知ってるね。って…ホントこれきつ……」
『前に告られた』
「マジで!?」
余程驚いたのか、幸希が綱から手を離す。
って、バカか!綱引きなのに綱離すバカがどこにいる!実はバカかこのやろー!
「そんなにバカ連発しないでよっ」
『え?すごいね幸希。心のなか読めるんだ。やっぱり普段魔王の側にいるから?感染かぁ……』
「いやいやいや、舞ちゃん声に出していたから」
マジですか。あたしって正直だな、うん。
「っていうかお前等!のんびり話してる場合じゃねぇだろ!このままじゃ負けるぞ!?」
クラスメイトの光太に怒られた。
ムカつくなチクショー。でも確かに、このままじゃまずいね。
『幸希、あたしを罵って』
怒りで力アップ作戦よ。
「の…!?いや、そういうプレイは青海と……」
『誰がSMプレイするって言ったァァァァ!さっき言ったこと忘れたの?ついでに私はSだ!』
そう叫ぶと、『あ、そっちか』と呟く。そっちも何もねぇよ。
『ほら幸希、早く!』
「え、えーと…バカ」
『もっと!そのくらい慣れてるから!』
あ、自分で言って今悲しかったんだけど。いや、でもバカぐらい飽きるほど言われてるからな。
「バ、バカドジマヌケ!」
『もっと具体的に!』
「単細胞。寸胴。色気なし。妄想魔。いっぺん死ね」
『なんだとテメェェェェ!!』
いきなり辛辣じゃね!?
「ぼ、僕じゃないよ!」
胸ぐらを掴むと、幸希は両手を顔の前で必死に振る。
「チビ。Aカップ。赤点常習」
『テメェかぁ!!っていうか、言い過ぎッ。泣くぞあたし!』
標的をいきなり現れた青海に変える。
ってか、なんでここにいるんだコイツ。なんで普通に持ち場離れてるんだ。
『ぬぁぁぁムカつく!』
「ハッ。短気だな」
「ちょ、ちょっと舞ちゃん、青海!ケンカしてる場合じゃ───」
あたしが青海に掴みかかろうとしたとき
ドンッ
終わりの合図に銃声が響いた。
…………え?終わった?
「B組の勝利!」
荒井が叫ぶ。
え?マジで?嘘。ちょ、泣きそうなんだけど。
『……ま、まぁドンマイ』
そうみんなに笑ってみせたら、D組全員にぼこられた。
『お、青海のせいなのに……』
「舞、あたしはいつだって舞の味方よッ」




