第33回戦 学院案内
わたし達の通う私立星宵学院は、けっこう有名です。
◆第33話 転入生には優しくが基本
それはある放課後の出来事──
『案内?私が?』
「「うん♪」」
私の1つ年下の従姉妹、若葉と青葉が訪ねてきた。なんでも学校案内しろとのこと。ついでに今日は髪型違うから判別つく。ポニーテールが青葉で、ツインテールが若葉。
『やだよメンドイ。クラスの子に頼めばいいじゃん』
「だって転入仕立てで、まだ馴染んでないんだもん!」
『先生とかは?』
「なんかやだー!」
なんかやだー、ってムカつくなぁオイ。
私には、帰って遊びに言ってゲームして菓子食ってゲームして瑠璃いじめてゲームして風呂入って寝るという、ハードスケジュールがあるんじゃ!!
「ねぇいいじゃん〜先輩でしょ?」
『こんな時だけ後輩ぶるんじゃない!!』
「舞先輩ィ〜」
『うっ…ダメダメ!』
「「シェイク奢るから……」」
『さぁついてこい!!!』
食べ物と奢るに弱い浅野舞、2年D組14歳。
――――――――――――――
『ここが音楽室でぇ、そっちが科学室。あと何かあったかな……』
貴重か放課後を潰し、ひとつひとつ紹介する私。
一応これでほとんどだと思うけど……この学校無駄に広いんだもん。去年はよく迷ったものだ。
「ねぇ舞先輩……」
不意に若葉が口を開く。私は『ん?』と振り向いた。
「舞ちゃんはD組だよね。クラスによって何が違うの?」
うん、いい質問。それ聞いてくれないと一生読者様に説明できないね。っていうか、あっさり先輩なくなったね。
「それ青葉も気になる!私達詳しいこと知らないしさ」
『そうなんだ。じゃあ説明しよう!実はこの星宵学院は結構名門なのです!』
うんうん、と頷く双子。それを見て、私は満足気に話し続ける。
『だから、頭のいい人から何か才能のある人が豊富!そこで学校側はそういう人の為に、クラスを分けたのです』
「「どんな風に?」」
はい!みなさん!ここがミソですよ?ちゃんと覚えておいて下さいね!?
『それはね、A組は頭脳派、B組は体育系、C組は金持ち、はいムカつく。という感じに!』
「…じゃあ私達D組は?」
『一般クラス』
キッパリと言うと、2人して『えー』と不満の声をこぼす。まぁ、分からなくもないけど。
ついでに、私と幸希はB組、流華と青海はA組、鈴はC組に勧誘されていた。まぁ蹴ったけど。もしかしたら、青海と幸希と鈴とは赤の他人になっていたかもね。
っていうか、鈴ああ見えて金持ちだから。別荘とか持ってるし。
「一般かぁ…そのわりには、私達のクラス濃いキャラ多いよね」
『誘いを蹴る物好きがいるからねぇ〜』
2人はふーん、と頷く。
よし、さっさとシェ●ク奢ってもらって帰るか!!
「あ、ねぇ舞ちゃん!」
まだあるのかチクショー
「部活も見学したいんだけど」
『えぇ〜』
「「シェイク」」
『さぁ行こう』
私は餌につられ、…いやいや、可愛い従姉妹のためにまずは校庭に出た。
#
『左から、陸上部・テニス部・野球部・サッカー部だよ』
「なるほど〜。あ!かっこいい人発見!!」
青葉がサッカー部を指差して叫ぶ。私と若葉は一緒に『どこ!?』と言って目を向けた。
ダメだよ花形先輩は!!私の好きな人とらないでね!?
心の中でそう主張しながら、私は青葉の言うかっこいい人を探した。
「あ、もしかして今屈んだ人?」
「その隣の人!」
「えー屈んだ人の方がいいよ」
『だから誰!?』
言っておくけど、私は両目2,0だ!!特徴言え特徴を!
「えー?若葉ああいうのが好み?」
「優しそうじゃん!」
なんだか自分のタイプを言い合っている双子。
『だからどこ──あッ!!』
花形先輩はっけーーーーん!!
『花形先輩ィィィィ♪』
気付いてくれるように、私は先輩に向かってブンブンて手を振った。
うひゃー!先輩今日もかっこいい☆汗がキラキラ光っていて素敵!あ、今笑った!さわやか〜vV
『……あ、こっち向いた!』
先輩が私に手を振ってくれてる!感激だよ〜。花形先輩大好きッ。貴方の専属マネージャーやりたい!!
「「かっこいい〜」」
……だから誰の事?
「あ、そういえば舞ちゃんは部活入ってないの?」
「私も気になる!」
『あ〜最初は入ってたんだけど、色々あってね。実は…』
「「長くなりそうだからいい」」
ダブルで言われると2倍で傷つく!!ここ聞くところじゃん普通!
『……で、2人とも文化部とか体育館も見る?』
「かっこいい人見つけたからいいや」
「ねー☆」
だから誰……もういいや。
よし!今度こそシェイクだ!早くマ●ク行こうー!!
――――――――――――――
『やっぱシェイク最高〜体が冷えてくVv』
その後、双子とマク●ナルドに着いて私は至福の時を過ごしてる。
――あ、そういえば…
『結局2人は、誰の事言ってたの?』
そう聞くと、青葉と若葉は一緒にニコ、と笑う。息ぴったりだな君達。
「「名前分かったんだけどねー」」
キャッキャッ言いながら、双子は私の目を見て見つけたかっこいい人の名前を言った。
「高梨 青海先輩★」
「藤森 幸希先輩☆」
『ぶッッ!!!!』
私はシェイクを壮大に吹き出した。
一応青海と幸希も美形設定だったので……、さりげなく主張しておきました。




