第30回戦 8月31日
『今日で夏休みも終わりかぁ〜。長いようであっという間だったな…。』
南東の空に浮かぶ太陽をみつめ、感傷に浸りながら呟く私の手に握られたもの。学生の敵であり、人生の中でもっとも目を背けたいソレ。
そう、夏休みの宿題(白紙)
『…………。』
─15分後────
『………………。』
─30分後────
『…………………。』
─1時間後────
『……『さっきからノートと睨み合って、なにがしたいの?」
痺れをきらしたのか、固まってる私に瑠璃が尋ねる。
『いや、ずっと見てれば私の眼力で燃えるかもと…』
「一生無理だと思う。変な現実逃避してないで、早くやったほうが利口じゃない?」
悪気はないんだろうけど、瑠璃の言葉はいちいち引っ掛かる。なんでこんな嫌味な性格になっちゃったのかな(お前のせいだ)。
でもお姉ちゃんは知ってるよ。瑠璃が本当は物凄く優しい心の持ち主だって!それに私の心は宇宙だ(某食ドラマ風)。
だからどんな事言われてもヘッチャラスカル♪
「だから散々言ったのに。本当馬鹿なんだから。」
ブチッ←なにかの切れた音
『さっきからグチグチ×2うるせェェェェ!!馬鹿って漢字で言うあたりムカつくんだよォ!アンタは小姑かぁ!?嫁イビリなのかぁ!!?』
「ちょっ、ヘッチャラスカルはぁ!?」
キレた私に、少したじろぐ瑠璃。でももう遅い。こうなった私は誰も止められない。
『だいたいアンタ最近目立ちすぎなのよ!そのせいで他キャラが出ないじゃない!!もっと花形先輩と翔兄をだせぇ!!!』
「姉さん落ち着い──」
〜〜〜〜〜♪
瑠璃を救うかのように、鳴り響いた着信音。
『ったく、誰よ…』
「(助かった;)」
しぶしぶ携帯を取ると、画面には翔兄の名前が…
キター―ー(゜∀゜)ーーーー
『ハイこちら貴方のハニー!え?デートの誘い?ちゃんと帰してくれるのぉ?』
「とりあえず黙れ。」
怒られちゃった☆
『へへ、半分は冗談だよ。どうしたの?翔兄から電話くれるなんて。』
「半分って…まぁいいや、だりぃし。宿題の事なんだけど───」
『………………え?マジ!?』
◆第30話 最終日はいつだって辛い
え?タイトル出るの遅いって?
………ね☆(殴)
『…で、今にいたると』
ベコンッ!!
『痛ァ!ちょっと今ベコンって!なんか変な音した!!』
涙目で叫び、私のミラクルな頭を殴った青海、通称腹黒魔王を睨む。
「なにが、…で、だよ。ふざけんな。」
『いやいや、宿題全部やったら翔兄がデートしてくれるって…。』
そう、さっきの電話は翔兄が私に宿題やらせるために条件をだしたの。もちろん了解したさ★
「そんな理由で俺等を呼んだのかテメェは。」
青筋をピクピクと痙攣させる不機嫌王子は、今にも蹴りがきそうな程お怒りのご様子。
【俺等】
もう気付いた人もいるでしょうが、ここには私の白紙の宿題を手伝ってもらうべくいつものメンバーを呼んでいる。
「うるさいわよ青海。舞に逆らわないでちょうだい。」
流華vVなんて優しいの
「まぁまぁ。このくらいの問題楽じゃん。」
先輩頭良かったんだ。てっきり―、あ、いや別にそういう意味じゃ……!
「はぁ?なんで−と−で+になるんだよ。」
…鈴を呼んだのは間違いだったか。
「っていうか、字で僕等がやったってバレるんじゃ…?」
苦笑いしながら、言った幸希。部屋が今の一言でシーン、と静まる。
「「「確かに……」」」
ぬぁ!!声をそろえて言うな!そして哀れむような目で私を見ないで!!
『お、終わればいいの!』
そうよ、翔兄は宿題全部やったら、って言ったんだから別に大丈夫なハズッ!!
「───帰る。」
青海が不意に呟いて、立ちあがる。ヤバイ、本当に帰られたら翔兄とのラブ★デート計画がぁ!!
『ちょっ、待ってよ青海様!やってくれた暁にはラブリィガール舞(自称)の投げキッスをプレ『キモい触れんな帰る。」
ぐはッッ
ダメージ大!残りHPが……!
冷たく言い捨てた青海は、小さく舌打ちをして部屋を出ていった。バタン、とドアの閉まる音が響く。
「なにアイツ。舞、あんな奴のこと気にしちゃ…」
私を見た途端言葉を遮った流華。そりゃ声も出なくなるだろう。
私はかなりのダメージをうけ、産まれたての牛…とは程遠いダース●ーダーのように唸っているのだから。
「ま、舞ちゃん?;」
『お、うみ…シュコー、死、殺…シュコー…、シュコー、腹黒…魔王……シュコー…許すべか、らず…』
脅えている幸希を尻目に、私は走った。
私の繊細なガラスのハートを傷つけたサディストに復讐するために─────
≪後日談≫
夏休みの宿題は健気な幸希と流華がやってくれたそうです
今回で夏休み編終わりです!!次回からは2学期の始まり★2学期はイベントが多いので楽しみにしてて下さい!!