第29回戦 双子従姉妹の来訪≪後編≫
●前回のあらすじ●
おかしくなりそうな程暑い今日この頃、突然従姉妹が来ました
◆第29話 ザ☆クローン
『転校?私の学校に?』
「「うん♪」」
ふたりは声を揃えそう言った。さすが一卵性の双子だわ。
「…にしても、ひどいよ瑠璃!私達の顔見た途端、ドア閉めるんだもん。」
「まぁ、鍵かけてなかったから、簡単に入れたけど。ツメが甘いねぇ。」
キャハハ!と笑う青葉と若葉。…瑠璃、窓全部閉めても、ドア鍵かけなきゃ意味ないでしょうが。そんなに慌ててたのか、珍しい。
「なに?久しぶりに会ったら美人になってて照れちゃった?」
そう言って、瑠璃の腕に抱きつく双子の姉、青葉。
「ちょっ、止めてよ青葉!」
「私は若葉です〜vV」
アレ?青葉じゃなかった若葉だった。前はポニーテールが青葉、ツインテールが若葉って見分けつけてたから、ふたりとも髪おろしてるとサッパリ。
『モテモテだね瑠璃。お姉ちゃんはちょっと寂しいよ。でも、私もそろそろ弟離れしなきゃだね。双子を恋人、両手に華。羨ましいぞシャルウィダンス?』
「意味不明なこと言ってないで助けてよ!」
「「瑠璃ったらかわいい♪」」
うーん、お邪魔しちゃ悪いかな?2年ぶりだけど、相変わらず瑠璃オモチャにされてる。昔から瑠璃、この2人にだけはタジタジだったもんね。
「うわ、どこ触ってんのさ!」
「私の名前当てたら止めてもいいよ。」
「若葉!!」
「ハズレ〜」
「わっ、ちょっ、止め…!」
会話だけ聞くと、そこはかとなくいかがわしい。でも、アレたんにくすぐってるだけだから。
『若葉、青葉。あんまいじめないであげて。』
私が助け船を出すと、瑠璃は感謝に輝いた瞳で私をみつめた。やたっ、貸し1つ作ったぜ。
「はぁい。瑠璃見ると、ついイジリたくなるんだよねー」
「ねー♪」
そう言って、瑠璃から離れる2人。
なにがねーだよ、と瑠璃は乱れた服を整え、眉間に皺をよせた。不機嫌なのが一目でわかる。
『アレ?瑠璃どこ行くの?』
「その2人がいない所!!」
怒鳴り気味に言い、ズカズカと部屋から出てく我が弟。勢いよくドアを閉めるもんだから、ビクッッと肩が震えた。そんなに怒らなくても……(汗)
「やりすぎちゃった?」
「嫌われたかなぁ?」
ニヤニヤと笑って言い合う2人からは、言葉とは裏腹に心配してる様子は感じられない。ドンマイ、瑠璃!
『…話変わるけどさぁ、転校するって話本当?』
「「ホントホント。」」
気になっていた事を聞くと、少しも間を空けず、即答された。
『やっぱり2学期から?ふたりとも同じクラスに入るの?』
「うん、夏休み終わったらね」
「っていうか、同じクラスって…自分等で選べるわけ?」
頭の上に?マークを浮かべ、2人して首をかしげる。双子の効果なのか、かなり絵になるや。舞、うっかり胸キュンvV
『ふふふ、そっか。青葉達はうちの学校の制度まだ知らないのか?』
「制度?」
「その笑い方気持ち悪い。」
ガンッ!!
『叩くよ?』
「もう叩いてるじゃん!それに今言ったの若葉だよ!?」
「ちょっと、私になすりつけないで青葉。」
言い争う青葉と若葉。チクショーややこしいんだよクローンめ!見分けつけさせろォ!!
よし、ここは仕方ない。似すぎてる2人の為に、親切な舞サマサマ(なにそれ)が一肌脱ぐか!ん?脱皮のことじゃないよ?私が本当に肌脱ぎ始めたら、さすがにみんなひくでしょ?
――数分後―――――――
『これでよし……と。』
私は息をはき、額の汗を拭うそぶりをする。実際汗かいてないし。何故なら今の時代はクーラー!地球温暖化なんてクソくらえ☆
「「至上最悪のヒロインだね。」」
キャッ!軽蔑の眼差しが痛い!でも舞はくじけないッス!!
『まぁ温暖化の事は置いといて♪ほら、私のゴッドハンドで君達を別人のようにしてあげたよ!』
私はそう言って、手鏡を2人に渡した。2人はどれどれ、と瞳をきらめかせ鏡を見つめる。
「「……………」」
アレ、リアクションがいまいち。黙りこんじゃったよ。
「「舞ちゃん、コレ…」」
ん?なんか気のせいか2人とも震えてない?舞のカリスマでビューチィーな髪型にしたから、あまりに感激して泣いちゃったか?
「なんで、なんで──」
体だけじゃなく声まで震わせ、2人一緒にゆっくりと振り返る。なんか怖い話の『その人って、こんな顔してた…?』を感じさせる。
「なんで縦ロールゥゥゥ!?」
「私なんかチョンマゲー!!」
あー、なんか2人とも鬼の形相になってますよ。ちょっと身の危険感じるので、ここにてお開き!!
え?クラスについての説明?
それはまた機会があったらね☆




