第27回戦 プールにGO!
「男同士でプールって寂しいねぇ…。やっぱ舞ちゃん達も誘ったほうが良かったんじゃない?」
「あ、俺もそう思う。大勢のほうが楽しいし♪」
不満をタラタラこぼす幸希と花形先輩。今日俺達3人は、プールに来てる。
◆第27話 海がダメでもプールがある!
「……なんだよその目は」
ジィーと俺を見てくる幸希たち。男2人に見られたって、不気味以外のなにものでもない。はっきり言えば不快だ。
「だって青海が嫌がったんじゃん。あんな奴と行きたくないって言ってさ」
口を尖らせ、俺を睨む幸希。俺はそれを無表情で一瞥し、なにも言わずただ水に身を任せる。
「だいたい中学生の男3人で流れるプールってどうなのさ」
入りたいと言ったのはお前だ。あ、今のでもう8周したし。
「それに先輩、15歳にもなって浮輪は無いでしょう」
「だって楽じゃん?俺この浮遊感好きvV」
文句の多い幸希にマイペースな先輩。誘われたから来たけど、かなり後悔した。知らず知らずにため息が出る。
時々チラチラと目線を感じる。幸希も気付いてるようだが、何も言わない。
先輩は……当然気付いてない。しかも超リラックスモード。このまま寝そうだな。
「キャッ、こっち見た!」
「やっぱかっこいいー」
近くからそんな黄色い声が聞こえる。
(別に見た気は無いんだけど)
美形が3人集まってれば、目立つのも無理ないか。キャーキャー言われても嬉しくないけど。
あ、もう9周目いっちゃうじゃないか。いったい何時まで浮遊してる気だ俺達は。
何度目になるかわからないため息をこぼそうとした時
『バッシャァァーン!!!』
「「「!!?」」」
変な効果音と共に、はた迷惑な水しぶきが俺達の前に盛大にとんだ。
「な、なに?」
「んん?」
あまりの光景に戸惑いがちな声を出す幸希。先輩は目が覚めた様だ。
しばらく静まりかえる。次第にプールからブクブクと泡が浮かぶ。
かなり嫌な予感がする。自慢じゃないが、いや、やっぱ自慢にしとこう、俺の勘はわりと当たる。
『パンパカパンパンパーン!可愛さ100倍舞ちゃんマーン★』
ほら、予感的中。
――――――――――――――
『いやぁ、偶然ってすごいですねぇ。むしろ運命?先輩、わたし達はきっと赤い糸が複雑に絡み繋がってるのですよ!!』
「舞ちゃん相変わらずおもしろいね♪」
気持ち悪いこと言って、先輩に抱きつく舞。気持ち悪い。
俺は片膝を折り、プールの縁に座った。
「流華ちゃん達2人で来たの?」
「えぇ。お祭デートは前回あんた等に邪魔されたからね。…だから今回は、今回こそはと思ってたのに」
「る、流華ちゃん?」
こころなしか、えーと、あ、そうそう葉月流華の腕が震えてる。
「なのになんでまた居るのよォォォォ!!」
「うわぁ!ごめんなさい!!」
首を絞められ、涙目になりながら必死に謝罪の言葉を述べるヘタレ貴公子こと幸希。ホント駄目だなアイツは。
『ねぇねぇ!今回の水着はどう?見よ舞のビューティーくびれを!』
「すごい可愛いよ」
『!!』
いきなりバカ女が叫びだしたと思ったら、先輩は持ち前の天然で褒めてるし。かゆいんだよ、どこのバカップルだ。
『そ、そんな先輩ったら………可愛くて綺麗でセクシーで内面の美しさがそのまま外見に滲み出てるなんて褒めすぎですぅ!照れるじゃないですかvV』
そんなこと言ってねぇ。
なんで俺の周りは変人ばかりなんだ?
レズにヤンキーにやる気ナシ教師、救いようの無いバカ女ときてる。そもそもD組に入ったのが間違いだった。
――でもまぁ、とりあえず…
『青海!!25m競泳、私との決闘受けなさいッ!』
「ハイハイ女王様」
『誰が女王様よ!シンデレラとお呼び!!』
「シンデレラって、灰被りって意味だぜ?」
『んまぁ!人の揚げ足ばっかとってこの子は!!』
退屈しのぎには、丁度いいだろ。




