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第26回戦 夏祭り



◆第26話 久しぶりの再会






『君がいた夏は〜遠い夢のなか〜ぁ♪って、かー!切ないよー!!』


夏休みも残り僅かな今日この頃、私と流華は浴衣に身を包んで夏祭りに来ています!


「舞かわいいー、浴衣超似合ってる♪」


頬を真っ赤にして、私を下から上まで眺めてくる。いやぁ、照れるねぇvV


でも、流華の方が綺麗だと思うなぁ。もともと肌白いから、紺の浴衣がよく映えてるし、長い髪は簪さして本当和風美人って感じ。全然中学生に見えない。


どーせ私は寸胴さ!!っていうか、流華の隣にいるとすごいチンケな娘に見えるんだけど?そんなに背低くないのにぃ!


「舞、なにしたい?」


私の気持ちも露知らず、楽しそうに尋ねてくる流華。チクショーかわいいぜ!


そのかわいさに免じて、ちんちくりんに見られてもいいわ私!いや、やっぱちんちくりんは嫌。


まぁ、そんな事はおいといて、私は流華の質問に口を開く。


『そりゃ、夏祭りといったら……』






『おらぁ!逃げんじゃねぇ真っ黒目玉親父!!ちょ、邪魔なんだよ赤い奴!お前はもう要らないの!私の家に大量発生してるの!!!』


どうも、流華です。ただ今舞は都合により視点ができないので、私、葉月流華がお送りします。


いま舞がやっているのは金魚掬い。夏祭りの定番ね。舞が必死に狙っているのは、まぁ、言わなくても分かるだろうけど、でめきん。


あーあ、袖まくって、浴衣濡らして。………キャッ!セクシー♪チラチラはだけちゃってるよ!


で、でもそんな姿を他の男に見せないでぇ!!



「──流華ちゃん?」


ひとりの世界に入りこんでいたのを、名前を呼ばれ、ハッとする。声の方向に振り向くとそこには


「藤森、と……ゲッ」


「露骨に嫌そうな顔するな」


嫌な顔もしたくなるわよ。藤森の隣にいるのは、大がかなりつく程嫌いな高梨青海。


せっかく舞を独り占めできていい気分だったのに台無しだわ!


「流華ちゃん、1人で来たの?」


「え、舞とだけど…いま金魚掬いしてて」


「──あれか」


あれ呼ばわりするな!って、ああ!高梨青海が舞のほうに!!マイハニーの危機よ!


「高梨青海!ちょっと待ちなさ──きゃっ!」


ガクン、と腕を引っ張られた。


「……なにするのよ藤森」


私を止めた目の前の男を睨む。だけど、その張本人は全然怯まず微笑みながら、


「あまり青海の邪魔しないであげて?」


と言った。

なにそれ、アイツの邪魔って。…ハッ!ま、まさか、もしかしなくても……!


「ふ、藤森ってコッチなの?」


私は片方の手を立て、口の横に当てがい聞く。すると、漫画みたいに藤森がずっこけた。


(どうしたらそっちにいくのさ!!)


という藤森の心の中のツッコミは誰にも届かず、すでに私は高梨青海となにか言い争いしてる舞に、完全に意識が向いていた。


「あのさ、流華ちゃん。」


遠慮がちに、藤森が口を開く。


「祭、一緒にまわ──」


「今舞見てるから話しかけないで!!」


「……スイマセン」


誘うことすら許されなかった、哀れなる藤森。


心なしか、藤森の周りに凄い負のオーラが漂っていたけど、舞に夢中な私は気付かなかった。






只今でめきんと格闘中の舞です


「お嬢ちゃん、もう諦めた方がいいんじゃない?」


『黙れクソ親父!!』


「え、それもしかして俺の事?ぐすっ」


話しかけてきた店のオジサンを軽くあしらい、再び標的を睨む。


ああもう!イライラするなぁ!


コイツ鈍いくせに重いんだよォ!ダイエットしろコノヤロウッ!!6時以降なにも食うな、倖田●未になれるから!


「なにやってんだよ、お前は」


イライラMAXになっていた私に、ふってきた聞き覚えのある声。見上げればやはり、想像通りの人物。


『ま、まきたさん…!』


「誰だよソレ。俺は青海だ」


『あ、なんだそっちか』


「そっちもなにも無ぇだろ」


突然現れたライバルに少し驚きながらも、私の神経はやっぱりでめきんに向いてた。


青海はしばらく悪戦苦闘してる私を見てたが、不意に隣にしゃがみこむ。


『……?なにさ?』


視線に気付き、怪訝な表情で尋ねた。だってジロジロ見てくるんだもん。青海はその質問に表情変えずに答える。


「お前でめきん狙ってるわけ?」


あら、聞き返されちゃった。


『まぁね。っていうか邪魔しないで』


「全然取れてねぇじゃん」


そう言う青海が見るのは、私の手に持たれた、水だけ入った空のおわん。


私は即座にバッ、と後ろに隠した。それをニタニタと、黒く笑う目の前の腹黒魔王。


ちょっ、ヤバイこれ。かなり恥ずいです。え?私に羞恥心なんて無いって?私だってかよわい乙女だ!


「下手だなぁ、お前。」


勝ち誇った様に上から目線。かなりウザイんだけどォ!水槽にいる金魚口に突っ込むぞ!!


「オッサン、俺にもひとつくれ」


『!!』


なに、まさか私に喧嘩売ってるのコイツ。…フッ、バカにしやがって、その喧嘩買うわ!!


『オジサン、あたいにももう1つちょうだい!』


「お嬢ちゃん、でめきんサービスであげるから止めときなって……」


『うるさい!その髪がカツラって事は調査済みなんだ!バラすぞコノヤロー!!』


「ちょっとなに言っちゃってるのォォォォ!?」


動揺するオジサンを尻目に、私は早速始めようとしてる青海に向かって、ビシ!と指さし(人を指さしてはいけません)


『制限時間は3分!でめきんをより多くとった方が勝ち!“でめきんだけかよ!”ってツッコミは受け付けないぞ文句あるかチクショー!!』


と舞流ルールを叫ぶ。青海はそれを聞き、私の方を向いた。絡む視線が火花を放ち、お互い不敵に笑う。


  さぁ、戦闘開始だ!!!












『はにゃ〜疲れたぁ』


「寄りかかんな、キモイ」


青海の背中に頬をあてたら、べりっとはがされた。優しくねぇなチクショー。コットン100を見習え。


あれからわたし達は金魚掬いで、でめきんだけを何匹も採ってたらオジサンに勘弁して、と泣かれた。


仕方なく、勝負をつけるために射的・ヨーヨー釣り・ラムネイッキ飲み・綿菓子早食いなどやったけど、全部引き分け。


ドーン!!


夏の風物詩の音がこだまする。わたし達は祭から少し離れた所にいたから、辺りの静けさが心地好い。


『おっ!花火始まったじゃん!此処見やすいや、ラッキー♪』


そう言って、私は地面に座り込む。青海もそれに合わせるように隣に座った。


『ふぃへいはへぇ』


「林檎飴口につめて喋るな」


青海に指摘され、口から飴を出す。アレ?口から飴を……ちょっとちょっと、口から飴を出………


『ふへふぁひ〜!!(出ない)』


「はぁ?何言ってるか分かんねぇよ」


ヤバイヤバイヤバイマジヤバイ笑えない程ヤバイ。


口から飴が出なくなりました。かなり苦しい!無理に口の中に突っ込むんじゃなかった!!


でもわたしは自分のやりたい事をやり、それはとてもワンダフルなことなので後悔なんてしたくありませんby舞!!


って、そんなことより


『はふへへぇ!(助けてぇ)』


「ちょ、お前の顔笑えるんだけど。写メ写メ」


ちょっとなに携帯取り出してんの!?いやぁカメラ向けるなぁ!こんなのばらまかれたらお嫁にいけない!!


『ひゃへほぉー!!』


「冗談だよ、うるせぇなあ」


んまぁ!奥さん聞きました!?最近の若い子はいったいどうなってるのかしら!!え?3時からタイムセール?んまぁ急がなきゃ!!


──なんて脳内世間話してたら


『……ぷはッ!!』


唐突に、青海に飴を引っ張られた。あら見事、簡単に抜けちゃったわよ。


『う〜ゲホゲホゲホ!』


「うるさい」


ピシャリ、と冷たく言われる。どこまで嫌な奴なんだ。こちとら窒息死するところだったんだぞ!!


『ってあぁー!!』


「次はなんだよ」


嫌そうな表情を顔一面にはりつけわたしを見る。


だってコイツ、あたいの……!


『りんご飴ェェェ!!』


私はガバッ、と青海に掴みかかる。


『なに勝手に食べてるの!なに勝手に食べてるの!?』


「2回言うな、ウザイ。コレは手数料だよ」


そう言って、カリ、と林檎をかじる腹黒魔王。チクショー、そのポーカーフェイス殴りたい。


「舞」


『あぁ!?』


「その格好だけど……」


『え?』


青海の視線をたどると、わたしの浴衣姿。いろいろやったせいか少し(だいぶ)着崩れてるけど。


あ、ヤベ。でめきん掬いのせいでビョショビョショだ。後でお母さんに怒られるかも。


『な、なにさ…?』


黙ってる青海の言葉を待つ。青海はこちらを見ずに興味無さげに一言。


「下着透けてる」


大輪の花が夜空に咲いた。

青海の言葉が一瞬私の思考回路を停止させる。


――えーと?下着が?透けてる?えーと……えぇ!?


理解した途端私は怒りに任せ、力の限り回し蹴りをかました。が、簡単に避けられた。


『よけるんじゃねぇ!!』


「無理言うな」


その後わたし達は、流華と幸希に見つけられるまで格闘したとかしなかったとか――…。




もう少しで夏休み編終わります(たぶん)!!30話とか区切りのいいあたりで…

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