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第25回戦 雨の日の憂鬱



◆第25話 楽しきゃいいじゃん☆




バリ、バリ、ペラ…ゴクン。


『キャハハハハ!!マジ面白ッ!ってかこのポテチうまッ』


床に寝そべり、ポテチを食べ、ジュースを飲み、漫画を読む。


ぐうたらのお手本の様なこのお方は、悲しき事に我が姉【浅野舞】。


あ、紹介遅れました。僕はこのどうしようもないお方の弟、【浅野 瑠璃るり】です。ついでに小学6年生。


さて、外は本格的に雨が降ってきて、父は仕事、母は買い物。洗濯物は、干しっぱなし。しかも大量に。


「姉さん、雨降ってきた。洗濯物取り込むの手伝って」


『ん〜?今お姉さんは忙しいからお断りぃー』


……姉さんのことは大好きですよ。時々殴りたい衝動にかられますが。


「──あの事、みんなに言ってもいいのかなぁ?」


『ギクッ』


「姉さんの秘密バラし『手伝わせて下さい!そりゃもう!是非!!』


姉さんは涙目でそう叫び、一目散に外へ出てく。普段からああなら助かるのに。


雨に濡れながら、必死に洗濯物と格闘する姉さん。なんかタオルにむかって罵声をあげてるし。あんなのと血繋がってるんだ僕。


『ちょっと瑠璃!少しは手伝ってよ!?』


「頑張れ頑張れ」


『鬼ィィ!!』


いろいろわめいてるけど、聞こえないふり。いつも僕ばっかりにやらせてるんだから、たまにはね。


『チクショー雨が冷たくて気持ちぃぜ!今なら私、空から竜呼べる気がする!!』


……聞こえないふり。馬鹿馬鹿しくて、突っ込む気もしないよ。




――――――――――――――


『ああー冷たかった!』


姉さんは濡れた髪をタオルで、ガシガシと乱暴にふく。


「いい水浴びになったんじゃない?」


フッ、と微笑むと、姉さんは顔を歪めて僕を睨んだ。


『〜〜〜もう!ふてぶてしく笑っちゃって、可愛いすぎ!!』


そう言って、ギュッ!と抱きついてくる。うわ、湿った臭いがするし。


「弟相手に欲情しないでよ」


『ウルセー!そんなに可愛い瑠璃が悪い!!小学生とは思えない落ち着きと、優しい鬼畜なんてめっちゃツボじゃん!』


ブラコンだなぁ。あんまり禁断の関係に興味ないんだけど。


「離れてよ姉さん。雨の日はただでさえ湿気が鬱陶しいのに、なんか姉さんネバネバしてて気持ち悪い」


『ネバネバ!?何それ私カタツムリ!?』


「いや、ナメクジ」


『ヒドッ!!』


なんやかんやで、姉さんは僕から離れた。そして再びぐうたらモード。


「だらしないよ。姉さんの将来が本気で不安」


『バカね〜大切なのは今じゃん?それにうちの学校エスカレーター式だから浪人の心配もないし♪』


そう言って、お菓子に手を伸ばす。ここまでマイペースだと、ある意味尊敬するよ。


「……宿題は?」


『いざとなったら流華と幸希にやってもらう』


なんかもう、姉さんの友達に同情する。僕はそう思いながらも、姉さんが口にした名前が気になった。


僕も姉さんのことは言えないくらい、シスコンかもしれない。


「流華さんは知ってるけど、ゆきって誰?」


『ん?なに、気になるの?大丈夫よー彼氏なんかじゃないから!ウフフvV』


バシッ、と僕の背中を叩き、気持ち悪く笑う姉。嫌悪感がこみあげてくる。


「………………」


『ん?急に黙ってどうしたの?』


「みんな聞いてェー!実は姉さんって『いやぁぁぁぁぁ!!ごめんなさい!お願いだからそれは言わないでーー!!』




秘密は最大の弱味だね。え?結局なんの秘密かって?話しちゃったら秘密じゃなくなっちゃうから、内緒。

★キャラクターファイル★


浅野瑠璃あさのるり

年齢:12歳

身長:150cm

体重:39kg

成績:オールファイブ

最大の汚点:不能な姉

最大の美点:有能な自分

舞の弟。駄目な姉を見て血筋の危機を感じ、必死の努力をした。策士でやや腹黒。

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