第23回戦 喧嘩上等
『喰らえ!オーバー●ウル春雨!!』
「フッ、お前は既に死んでいる…!」
ガンッ ドゴッ バコンッ
◆第23話 シラフで夜露死苦は恥ずい
『ああ面白かった♪』
私は今人気の『なんだか色々混ぜてみたよ闇アイス』を舐めながら、満足気に言う。
「くそ〜また俺の負けかよ!」
隣でぶすくさ文句を言う鈴。はい、前々回で言った通り鈴とゲーセン来てます!さっきまで格闘ゲームやってたのさ☆
『ハハハ、舞様に負けなんて言葉存在しなくてよ?』
「はん、俺があそこで必殺技決めてたら間違いなく俺の勝ちだったね!」
うわ!負け惜しみだ!いるんだよねーこういう奴。
「だいたい不気味なアイス食べやがって…少しなら食べてやってもいいぞチクショー。」
『誰がやるかコノヤロー。』
「どうせ不味かったんだろチクショー。」
『素直に食べたいと言えコノヤロー。』
不毛な争いを広げる。あ、でもこのアイス意外といけるよ?ちょっとカブトムシの味するけど。
「…一口くれ。」
最初からそう言えばいいのに。天邪鬼だなぁ♪
『ハイ、どうぞ。』
「ん……。」
私が鈴が食べやすい様に、持っているアイスを鈴に向ける。鈴は瞳を輝かせながら、舌を伸ばす。
鈴は私と似てチャレンジャーだから、きっと新商品のこのアイスに興味心をそそられたんだろうな。
『お味はいかが?』
「────!!」
ペロリとちょっと舐めた瞬間、口もとを押さえる鈴。
ん?どうした?あまりの珍味に声も出ないか?
『おーい、大丈夫かぁ?鈴ー?鈴くーん?鈴サマー?』
「ま、まずゥゥゥゥゥ!!」
うわ!ビックリした!いきなり叫ぶな、心臓どっかの穴から飛び出しちゃうぞ!?
「ペッ、ペッ、なんだコレ!?未知との遭遇じゃねぇか!なんか夏の虫的な味するし!」
あ、気が合うな。やっぱウチ等以心伝心だね♪
「お前よくこんなの食べれるな!!口直し口直し!」
鈴はわめいて、持ってるアイスを豪快に口内へ運ぶ。
『うーん、鈴の食べてる【見た目チョコ、味はコーラアイス】だって、同じ様なレベルじゃない?』
私は鈴の持ってるアイスを指さして言う。後で一口もらお。
「バッカ、見た目チョコなのに実はコーラアイスなんだぞ?なんかスゲーじゃん!」
『結局はただのコーラアイスでしょ。見た目チョコって…コーラもチョコも違い分かんねえよ。』
ようは茶色いアイスじゃん。普通に売ってるじゃん。この子絶対詐欺あいやすいよ。しっかり者の嫁さんをとる事を勧めるね。
『ねぇねぇ、次どこ行く?ここのゲーセンのゲーム制覇しちゃう?』
私は今だに苦い顔してる鈴に尋ねる。この素晴らしい味を理解してくれないなんて悲しいや!
「制覇って…お前それでゲーム壊した事あるじゃん。逃げんの大変だったし。」
『世の中壊してなんぼよ。そのくらい別に、のわっ!』
ドン!!
なにかにぶつかり、一体なんだと思い上を見ると────
…見なきゃよかった
「誰にぶつかってんだよ。」
あらら、絵にかいたようなハプニング。なんか雰囲気的にだいぶお怒りの様子。不良は心狭いなぁー。
「なにやってんだよ舞。お前しょっちゅう誰かとぶつかるよな。」
『衝突事故の恋を期待してるから。今回ハズレだけど。』
とんだゴリラにぶつかっちゃたわ。こんなんじゃなるもんもならないって。
「ハズレってどういう意味だ!!」
ヤベ、聞こえたみたい。怒られちゃったよ。
相手は3人組か。うわー面倒くさい。逃げよっかな?あ、ダメだ。もう鈴がメンチきってる。ってかメンチカツ食いてぇ。
『ちょっと鈴ー?相手3人よ?年上よ?ダメだって。』
「バカ言うな舞!売られた喧嘩は買うのが男だろ?怖じけついてんじゃねぇ!!」
楽しそうに言う鈴。この子喧嘩好きだからねぇー。さすがヤンキー。
『って、ちょっと待て。なに私も男みたいな発言してんの?危うくスルーしかけちゃったよ!』
「喧嘩上等!!」
聞いちゃいねぇ。
「なんだテメェ、コイツの男か?」
3人組の1人が言う。アレ?私達カップルに見える?じゃあ今デート中ってやつ?んなバカな。
『悪いけど私には花形先輩と翔兄がいるのよ!』
「花形先輩って、お前が前にぶつかった?なに、その後なんかあった?」
『そういえば鈴に報告忘れてた!近親相関する事になったのォーエへvV』
「え、なに?新陳代謝?」
『あ、あと翔兄はSMカップルだった。』
「えすえむ?」
頭の上に?マークを浮かべる鈴。ダメだ、この子そういう知識全然無い。硬派ってわけじゃないのに。女子と結構話すしさ?(恋話になると消えるけど)
「お前等、なにぐちぐち言ってんだ。逃げる相談か?」
ニタニタと気味悪い笑みを浮かべて言う。ついコイツ等の存在忘れてたや。
「へっ!3人くらいどうって事ねぇ!!」
相手を挑発する鈴。やる気満々だね。
『程々にしなよ鈴。』
「彼女の前でヒーロー気取りか?そんなに魅力ある女に見えねぇけどな。チビだし寸胴だし。」
『ぶっ殺して鈴。』
「言われなくても!!」
鈴はそう叫んで、勇敢にも3人相手と闘う。
イヤー、実に生き生きしてるね。輝いてるよ、相棒。
「あー、楽しかった!もっとやりあいたかったぜ★」
『あ、鈴ケガしてる。無茶するからぁ〜。』
「なんだよ、舞だって途中から参戦してきたじゃん。」
もう日が沈む頃、さっきの喧嘩での事を話しながら、私達は我が家へと向かっていた。
―え、勝敗?そんなの決まってるじゃん!私達コンビに、負けは有り得ない♪
☆私達の恋人以上の絆☆




