第19回戦 片恋日和
純愛 or 敬愛 or 熱愛 ?
◆第19話 クライマックス
どうも、前回流華ちゃんに振り回された藤森です。っていうか、現在僕の家に先輩、舞ちゃん、青海が来てます。
『先輩って、肌きれいですね!』
「そう?俺生まれつき黒いんだよね〜。」
『そこが素敵なんです!』
舞ちゃんは先輩に彼女がいないと分かった途端、猛アピールしてる。あ、流華ちゃんは呼んでません。もうあんなのコリゴリです。
「…なんだよこのメンバー。」
青海がため息混じりに言う。呆れてると言うか、不機嫌と言うか…。
「いいじゃん。協力してあげなよ。」
「なんで嫌いな奴の恋路に、手を貸さなきゃいけないんだよ。」
「嫌いだからできるんじゃない?好きな娘の協力のほうが、できなそうだけど。」
そう言うと、軽く睨まれた。恐い恐い。なんですぐそんなおっかない顔するのさ。
「お前、何が言いたいわけ?」
「別に?」
「俺は、花形先輩のためを思って言ってんだよ。あんな奴と付き合ってたら、なんか感染するぞ?」
―ウイルス扱い?
「それに先輩は、モテるのにあの鈍さと天然で自覚してないだけなんだよ。アイツにはもったいないだろ。」
「そうかなぁ?舞ちゃん黙ってれば可愛いと思うけど。」
「─幸希………。」
なんかすごい哀れみの目で見てくるんだけど。なにその、可哀想な奴…みたいな視線は。けっこうムカつくよ?
「舞ちゃん1部の男子にモテるよ?青海だって知ってるじゃん。」
僕がそう言うと、青海は少し考え込んだ。
舞ちゃんの名誉のためにフォローすると、舞ちゃんはわりとモテる。
運動神経抜群だし、ノリいいから親しみやすいし、黙ってれば可愛いし、寝てればおとなしいし、遠目スタイルいいし、…アレ?自分で言ってなんだけど、これってフォローになってる?
『えぇ!先輩1回も告白された事ないんですか!?そんなにかっこいいのに!』
突然、舞ちゃんが大声を出した。僕と青海は同時に振り返る。
「全然モテないって言っただろう?ホント駄目なんだよね〜俺。」
あ、この人青海の言う通り激鈍だ。きっとその鈍さで、数々のアプローチを蹴ったんだね。っていうか、告白された事にも気付いてないんだろうなぁ。
『じゃ、じゃあ、私が先輩の彼女に立候h───うぐっ!』
せっかくの告白を全部言いきる前に、青海が舞ちゃんの口をふさいだ。って、あれ、鼻と口ふさいでない?
『んん〜〜ッ(苦しい!)』
「ちょっ、青海ヤバイヤバイ!舞ちゃん死ぬよ!?」
『ぷはっ!ハァ、ハァ、ハァー!!』
あ、やっとはなした。
「キモイから息切れするな。」
『テメェェェェェ!!ふざけん
「お前さ、翔の事好きだったんじゃないのか?」
舞ちゃんのもっともな怒りをさえぎり、質問する青海。相変わらずオレ様だ。
―まぁ、確かに舞ちゃんは先生ラブだけど…
『翔兄は愛してるよ♪でも、花形先輩には恋してるのvV』
「…………。」
舞ちゃんの主張に、青海は黙りこむ。愛と恋、かぁ。なんかすごい乙女化してるなぁ。
「なぁ、なに話してるの?」
先輩はそう言って、ズイッ、と僕等の間に入ってきた。
『秘密です!ゥフーvV』
キモイよ舞ちゃん。
「えぇー、教えてよ。」
『えへへ♪』
「………(殴りてぇ)。」
心なしか、青海からドス黒いオーラが滲み出てる様な…(汗
「なんか、本当に舞ちゃんいいよ。妹みたいで可愛い★」
さわやかに言う花形先輩。
『…妹?』
その瞬間、空気が凍りつきました(体験者A)。恐るべし天然さわやか激鈍好青年。
さすがに今の発言は、傷付いたんじゃ──
チラリと横目で青海を見ると、肩を震わせ、笑いを堪えてた。
…何その複雑な優しさ