第12回戦 夏の夜のお約束≪前編≫
◆第12話 強くなりたいなら肝試し
『ここが私達が泊まる旅館?』
そう言った私の前にあるのは、めっちゃ日本代表ですよ的な大きな建物。古風な雰囲気だけど新築同様に綺麗にされてる。
「あ、鈴くんのお友達さん?待っていましたよ。」
出てきたのは、こりゃまた大和撫子の美人女将。
『ああ、いけませんお客様』『女将さん!』みたいな密な関係持ってるのかな〜。
「海で泳ぎになったのですか?」
「はい。とても素敵な海ですね。あまりに綺麗で感激しましたよ」
答えたのは青海。
出たよー、営業スマイル!お前誰だって感じ!ってか、マジで誰コイツ?なにその無駄なさわやかオーラ。だいたい、私その素敵な海とやらで死ぬ思いしたんだけど!?
「ふふ、楽しんで頂いて良かったです」
あちらも負けないくらいの笑顔で返す。グハ!眩しいぜ!!
っていうかね、本当楽しんでたわよ。私が死にそうになってるのに、鈴はマッハで私を置いて逃げるしさ、友達止めようかな?
翔兄は『大丈夫か〜?』って明らかに大丈夫じゃない状況なのに言うし、青海にいたってはかなりの笑顔浮かべるし、コイツ等死ね。
幸希はそんな奴等にツッコミいれてて…いや、ツッコミはいいから助けてよ、って感じ。まったく、これだからヘタレは……。
唯一、流華が私を担いで陸まで泳ぎ、助けてくれた。姐御って呼ばせて下さい。
「でも、夜の海には気をつけて下さいね?」
「え?」
「最近おかしな噂が流れてるのですよ。なんでも、人を惑わす幽霊が出るとか…。」
『ゆ、幽霊?』
「はい。ただの噂だといいんですが」
なるほど………。これはもうアレだ、アレしかない。
『ってことで第1回戦肝試し大会ィィィィ!!』
「「「「はァァァ!?」」」」
目を丸くして、私を見るみんな。なんだよ、そんなに見つめないで♪まさかみんなして私のファンなの!?モテ娘は困る〜vV
「妄想してるとこ悪いけど、何言ってるのお前?だいたい第1回って第2回あるのかよ」
『だって幽霊と言ったら肝試ししかないでしょ?翔兄ったら、に・ぶ・い★』
「幽霊って、昼間女将さんが言ってた?」
『察してるんだったら聞くなヘタレ』
「何その態度の違い!?」
『私と翔兄のラブワールドを邪魔だてせぬな!』
「頼むから今すぐ壊してくれ」
ハイテンションな私
興味なしの青海
ツンデレ翔兄
傍観者の流華
理解してない鈴
ウザイ幸希
「なんかおかしいよね?最後ちょっとおかしいよね?」
『……じゃあ早速その海に行こう!!』
「何今の間!?なんで今回こんなに扱い酷いわけ!?」
「安心しろ幸希、今回だけじゃないさ」
「黙れ腹黒魔王」
肝試し開戦ですww
次回へ続きます★☆