第11回戦 サマーバケーション
★旅行編★
◆第11話 海に浜辺に水着に
『熱い夏、輝く海、眩しい太陽……そして、舞のセクシィー水着姿ッ!今なら無料キャンペーン中よ!!』
「キャー!舞かわいいっ!かわいすぎて監禁しちゃいたい♪」
『照れるよ〜♪流華こそ黒のビキニ似合うッ!超大人っぽい』
そう言って、抱き合う流華と舞。なに?お前等デキてんの?しかもなんか過激じゃん。
「舞ちゃんの水着姿って健康的だよね」
『色気が無いって遠回しに言ってる?』
いや、ヘソ出しで色気0なのはすごいさ舞。
「あ、幸希ヤバイ。俺吐気してきた」
『テメェ!聞こえてるぞ!!』
「舞、そんな事どうでもいいから早く泳ごうぜ!!」
『どうでもいいって何だーー!!』
そんなことを叫びながら、ドタバタと走りまわる舞や鈴。元気だなぁ〜。
……待て、俺は何してるんだ?なんでコイツ等とバケーションしちゃってるの?パラソルの下寝そべっちゃって、ちゃっかり浜辺で日焼けサロン?うわ、自分で言ってて意味分からねぇ。
「何後悔してんだよ」
暑さにやられた俺に、上からふりかかる低い声。
「……青海」
あ〜あ、出たよ。さわやか王子の名をもつ魔王が。コイツ俺に敵意むきだしなんだよなぁ。
今だって、どこか不機嫌そう。ポーカーフェイスは健全だけどね。
「教師にその口調は無いだろ」
「生憎俺はお前を教師として、認めてないんで」
「いやぁ、それ程でも」
「褒めてねぇよ。照れるな、キモイ」
へらず口をたたく。いつからこんなに嫌われたんだっけ?去年の2学期頃からだったかな?アレ?でも確か……
──止めた。考えるだけでかったりぃ。
視線を海のほうへと向けると、舞と鈴が仲良く競泳を……仲良く?
あ、いま舞鈴の足蹴った。うわ、鈴は舞が息継ぎした時顔に水かけたよ。全然フェアな勝負してないじゃん。
流華は…、何悶えてるんだ?舞か?もう女捨ててる顔した舞に悶えてるのか?アイツどれだけ変態なんだ。普段のキャラはどうした。
よし、これからアイツを舞特性豹変症候群と呼ぼう。あ、でもなげぇ。めんどいから前言撤回。
そんな事を考えてると、隣に青海が腰掛けた。
「あれ?青海くんは海入らないの?」
「気分じゃない」
ん〜?何ムスッとしてんだ?
「青海。やけに不機嫌じゃん」
あ、優等生藤森くん登場。
「幸希。今まで何処にいたんだよ」
「ずっと隣にいたけど……」
「「え、マジ?」」
「なにそれヒドッッ!!」
「すげぇな幸希は、気配を消せるのか。言葉ではそう言ったけど、単に地味なだけだと僕は思いました」
「先生全部くちにしてます」
「おーい舞〜!」
「話そらすな!」
(無視)俺が叫ぶと、舞は海から出てこっちへ走ってきた。
流華が少し睨んでたけど、ドンマイだ俺。
『なぁに翔兄?私の水着姿に我慢できなくなった?』
「そんなの流華ぐらいだ、安心しろ。──お前忘れてそうだから言っとくけど、夏休み数学の補習来いよ?」
『もう1回泳いでくるね〜★』
そう言って舞は海へと戻っていった。
「あれ?聞こえなかったのか?まぁ、いいや」
「いや、良く無いでしょ!仮にも教師なんだし」
「聞こえなかったんだから仕方ないじゃん」
「だったらもう1回くらい言おうよ!それとアレ聞こえなかったんじゃなくて、無視したんだよ!?」
「幸希、お前は小さい事をぐちぐちと……。いいか?男は気にしたら負けだ」
「──もういいです」
なんか軽蔑の目で見られてない?やだね〜最近の中学生は。へんに反抗的になっちゃってさ?
「お前の所為だろ」
「わ、すげぇな青海。人の考え読めんだ」
「顔に出てんだよ」
「マジかよ。それよりお前、海入らないわけ?見ろよアイツ達を。あんなバカみたいでさ、青春じゃん?」
「バカはなるより、見るほうが楽しいんだ。嘲笑がこぼれるぜ」
どれだけ黒いんだコイツ。笑みうかべてるし。幸希よくつるんでられるな。
また海のほうを見ると、──何アレ。なんか沖のほうに三角の物体あるんだけど。
あれってもしかして、イルカに似てるけど魚類の……
『ぎゃァァァァァァァ!!』
舞の叫び声が聞こえたのと遊泳注意の看板が見えたのは、ほぼ同時だった。