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あの時、私は  作者: あき
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第5話 出会い

しばらく歩き、あみはボロボロの建物のそばにきた。

「ふう、以外と距離あるなあ。でもなんか不思議と迷わなかったな。」

建物の周りは柵に囲まれていた。あみはとりあえず建物の周りを歩き始めた。

「なんだろ、この建物。なんか見たことある気がするのは何で。」

あみが建物の周りを半周したあたりで看板を見つけた。

「あれ?何これ。」

あみは看板に向かって走った。そこで衝撃的なものを目にする。

「世界遺産、原爆ドーム?それにこの写真って産業奨励館だよね?」

あみは看板を読み進めると、このボロボロの建物の正体を知った。

「え、これが産業奨励館なの?原爆ってものでこんな姿になったの!?」

あの大きな建物をここまで破壊した原爆とは何なのか、そしてここが広島であることも理解したあみは、膨大な情報量に頭が混乱していた。

「え、何なのこれ。私どうなっちゃったの?」

あみは呆然とし、地面に尻餅をついて座り込んだ。

訳の分からないことが、沢山目の前で起こったため疲れたのだろう。そんなあみに声をかける人がいた。

「ねえ?あなた大丈夫?」

あみが声のする方に向かって振り向くとそこには、若い女性が立っていた。年はあみと同じくらいだろうか。

「あ、ああ。」

あみは女性を呆然と見つめていた。そんなあみを見て女性は、

「私は萌夏といいます。何かあったんですか?私でよければお話を聞かせてくれませんか?」

あみは女性にさっきまで体験したことを話した。萌夏は信じられなさそうな表情をしながらも真剣にあみの話を聞いていた。

「え、眩しい光に包まれて気を失ったらここにいた?」

「そうなんです。あの建物の側の木陰で目を覚まして、いつの間にかここに。もう訳が分からなくて。」

萌夏はあみに質問した。

「ねえ?貴方がいた場所の日にちを教えて。」

「え?ええと1945年8月6日です。私が最後に元の世界にいた日です。」

それを聞いた萌夏はあみに信じられない質問をした。

「もしかして過去から来たの?よく見ると服装も昔の服だし。」

あみはそれ聞き質問する。

「え?そしたら今っていつなの?」

萌夏が答える。

「2025年8月3日。貴方のいた時代から80年経っている。」

あみはそれを聞いた瞬間大きな声で

「ええ!!そんな!!」

あみは萌夏の肩に手をおき、思いっきり揺さぶる。

「私どうなるの?家に帰れないの?ねえ!ねえ!?」

「お、落ち着いてよ。あみちゃん。一旦私の話を聞いて。」

萌夏はそう言ってあみを落ち着かせると、あみに何が起きたのか自分なりの仮説を話した。

「おそらくあみちゃんは原爆が落ちた瞬間に、何らかの原因で未来に来ちゃったんだよ。まあ聞いたことはないんだけど。」

あみはその仮説を聞いた後、萌夏に質問した。

「そう言えば、さっきから言っている原爆って何なの?あの産業奨励館をあそこまでボロボロにした物なんだよね?爆ってことは爆弾なの?」

萌夏はあみの質問に答える。

「そう、原爆って爆弾のこと。凄い強力な威力を持っていて、一個の爆弾で街を破壊できるの。私たちはそんな強力な兵器を核兵器って呼んでるの。」

あみはそれを聞くと焦った口調で萌夏に質問する。

「そんなものが広島で使われたの?どれだけの人が亡くなったの?街はどうなっちゃったの?ねえ!?」

「落ち着いてよ。あみちゃん。ちゃんと説明するから。」

萌夏はどこか指をさした。指先を目で追うと建物が目に入る。

「萌夏ちゃん。あの建物は?」

「あの建物は平和記念資料館。あそこに行けばあみちゃんが生きていたあの日に広島で何が起きたのか分かるから。」

あみは建物を見た後、萌夏の方を見る。

「ねえ、萌夏ちゃん。あの日に広島で何が起きたのか教えて欲しい。お願い!」

あみは頭を下げる。そんなあみを見て萌夏は慌てていた。

「わ、分かったから。顔を上げて!一緒に行こう。あみちゃんも気になることがいっぱいあるでしょ?私が付き合うから。」

2人は平和記念資料館に向かって歩き出した。

あみの胸には不安が渦巻いていた。

美波は無事なのか?そして大好きだった街とそこで暮らしていた人達はどうなったのか?

あみはこれから知ることになる出来事を受け止められるか不安だった。

そんなあみを見て萌夏が言った。

「大丈夫、あみちゃんには私がいるから。」

あみは萌夏の言葉に少し勇気をもらえた。


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