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あの時、私は  作者: あき
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第2話 姉妹の青春

学校生活は姉妹にとっては友達と会えることで楽しい生活であったが、毎日勤労奉仕で肉体労働を強いられていた。武器の組み立ては同じ作業の繰り返しで体のあちこちが痛くなり、農作業や土木工事は暑い8月の中行うには、子供達にはまだ大変だった。

しかし、姉妹は決して弱音を吐かずに、日本が勝てば明るい未来が待っている。また勉強したり、友達と遊んだりした、楽しかった学校生活に戻れると信じていた。

17時になった。国民学校の生徒達は今日の作業を終え、各々が家に帰る。あみと美波は路面電車に向かっていた。

「はあ、今日も疲れた。もうずっと鉄砲の組み立てだったよ。」

「お姉ちゃんはまだ良いじゃない。私は農作業だったよ。もう体中が汗まみれだよ。早く体を洗いたいよ。」

そんな会話をしていたら三輪車に乗った男の子が目の前に現れた。美波があみに話かけた。

「ねえお姉ちゃん!あの子三輪車に乗っているよ。可愛いなあ。」

美波は子供が大好きだ。美波は男の子に駆け寄った。

「ねえ僕?三輪車に乗っているの?楽しい?」

男の子は笑顔で美波の顔を見る。

「そうなんだ。楽しいんだね。」

あみもかけ寄り声をかけた。

「ねえ?僕何歳なの?」

男の子は指を三本立てて答えた。

「3歳!!」

「きゃあ!!可愛い!!」

姉妹はそう言い男の子の頭を撫でた。もう少しここにいたかったが、帰りの路面電車に乗らないといけない。あみと美波は再び路面電車に向かって歩き出した。

「じゃあね!!気をつけるんだよ!!」

2人が男の子に向かって手を振ると、男の子も三輪車の上で体中を揺らし、元気に手を振ってお別れを言った。

広島は栄えた街だった。沢山の人達が暮らしていた。

あみも美波もこの街が大好きだった。街にいる人達がみんな家族のように支え合い、厳しい戦時中の日本を生きていた。

しかし、そんな日常は8月6日に突如壊されてしまうのであった。

たった1発の原子爆弾によって。


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