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あの時、私は  作者: あき
15/15

第15話 またねお姉ちゃん+エピローグ

美波が被爆後どんな人生を歩んできたのか、あみと萌夏に話し終えた。

「美波、本当によく頑張った!!私がいなくても沢山の人に支えられて幸せになってくれて本当に良かった。」

あみは泣きながら美波に言った。萌夏も泣いていた。あみは続けて質問する。

「そういえば美波が助けた玲奈ちゃんはどうなったの?」

「玲奈ちゃんは少し前にガンで亡くなったのよ。でもね。」

美波が萌夏の方を見る。

「玲奈ちゃんも幸せに生きたんだよ。こんな可愛い孫も生まれてさ。」

美波が萌夏の頭を撫でる。

「え!!萌夏ちゃんって玲奈ちゃんの孫だったの?」

「美波おばさんがおばあちゃんを助けてくれたから私が生きているの。おばあちゃんの恩返しできて嬉しいよ。」

萌夏が笑って答えた。

「いいなあ美波、私も結婚したかったなあ。」

あみがそう言った瞬間、体が段々と透けてきた。

「あ、そろそろお別れなのかも。」

あみが悲しそうな目で自分の体を見つめる。その様子を見て萌夏が泣いた。

「あみちゃん、そんな嫌だよ。」

美波は名残惜しそうな顔であみを見る。

「お姉ちゃん、会いにきてくれてありがとう。私も、もう少しでそっちに行くから。」

「まだ来たらダメだよ!!100歳超えるまでは頑張ってください。」

あみは笑いながら美波に言ったあと、萌夏の方を見る。

「萌夏ちゃん、短い間だけど本当にありがとう。おかげでやっと天国に行ける。」

「嫌だ、嫌だ。」

萌夏は泣きじゃくる。そんな萌夏の頭をあみは優しく撫でた。

「萌夏ちゃんも幸せになるんだよ。もし萌夏ちゃんを泣かせる悪い人がいたら言ってね。あの世から化けて出てあげるから。」

美波はそんなあみを見て笑っていた。

「ははは、最後までお姉ちゃんは変わらないや。」

あみは最後に美波と萌夏を見ると笑顔で別れの挨拶をした。

「じゃあね萌夏ちゃん!!またね美波!!」

そう言うとあみは消えていった。

萌夏は美波に抱きついてずっと泣いていた。美波は萌夏の頭を撫でながらあみに別れの言葉を言った。


またねお姉ちゃん


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エピローグ

あみと別れた翌日、萌夏はあみが目覚めたという木陰の下にいた。

「あみちゃん、また会いたいなあ。」

そう萌夏がつぶやくと足元に何か白いものが見えた。

「え、これって。」

萌夏がよく見ると、それは誰かの遺骨のようだった。

長い間土の中にいたのだろう。80年かけてやっと地表に出てこれたようだ。

「あみちゃん、ここにいたんだ。80年もずっと1人で眠っていたんだね。」

萌夏は小さい骨壷を持ってきて、あみを中に入れた。


萌夏は骨壷に入ったあみを泣きながら見て言った。

「もうひとりぼっちじゃないからね、あみちゃん。」

萌夏はあみを連れて平和記念公園へ向けて歩き出した。


「さあ、帰ろう!!」

萌夏は笑顔で空を見て言った。その言葉は天国のあみにもきっと届いている。


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