第1話 プロローグと80年前の広島
プロローグ
私は萌夏。これは私が広島で体験した不思議な物語。この街はかつて多くの命が残酷に奪われた悲しい歴史がある。
私が今生きている2025年から80年前、1945年8月6日、たった一発の原子爆弾で約14万人の命が一瞬にして奪われた。
しかし、私はあの日に死んだはずの1人の少女に出会った。タイムスリップだろうか?なぜ80年後の広島にいるのだろうか?
これは私と80年前に確かに広島で生きていた少女のあみの物語。
あの日、あの雲の下で何が起きたのか。
私達は追いかけた。たった1つの真実と沢山の物語を。
この物語は80年前の8月、まだ被爆する前の広島から始まった。
2025年から80年前、1945年8月3日の広島。この街に2人の姉妹がいた。あみと妹の美波。2人は国民学校に通う女学生だ。あみは14歳、美波は12歳だ。
広島は美しく、賑わいのある街だった。空襲も少なく、この街に住む人達は比較的に平和に過ごせていた。
姉妹はそんな街を駆け回っていた。
「美波、早く行くよ。路面電車に乗り遅れたら学校に間に合わないよ。」
「もう!待ってよ、お姉ちゃん。」
「美波が準備に時間がかかったから遅れそうなっているんだよ。早くいくよ。」
「もう、お姉ちゃんのばか!」
そんな会話をしながら姉妹は路面電車に乗り国民学校へ向かった。
しばらくして、2人は学校に到着した。あみが美波に声をかけた。
「それじゃお姉ちゃんは作業に向かうからね。美波もお国のために頑張るんだよ。」
「もう、分かっているよ。それじゃまたね。」
姉妹は別れてそれぞれの作業所に向かった。勤労奉仕である。あみは武器の組み立て、美波は農作業を行なっていた。
姉妹は汗を垂らしながら今日も一日頑張って働くのであった。