ナーシャお嬢様の疑問
この世界には魔石を持って生まれてくる魔石所持者がいる。
「私、魔石って意味分かんないのよね」
本を読みながらナーシャお嬢様が疑問を口にした。
「魔石は魔石じゃないですか?」
持って生まれたら能力を使えるけど、持って生まれてくる子どもは珍しいってだけの物だよね。
「赤ちゃんが握って生まれてくるのが不思議でしょうがないと思わない?」
深く考えた事なかったなぁ。
「何でしょう……、体から漏れだした力の塊とかですかね?」
魔石使い達の城を探し出して聞くのが一番なんだろうけど、その城は世界を巡っていて見つけるのは大変なんだとか。
「サリュ君! きっとそうなんだよ! 魔力が多いから、生まれる前に魔力が体から漏れだしちゃうんだ!」
大発見って顔してるけど、そもそも魔力ってなんですか……?
「ということは、私も大魔法使いになる器の持ち主ってことね?! リアルハ○○・○○ターができるってこと!??」
「……今なんて言いました?」
お嬢様はたまに異国の言葉を発するから、理解するのに時間がかかるのが難点だよ。
「なんでもない。それよりサリュ君! 私この魔石で水とか出してみたい!」
「いや、無理ですよ?!」
お嬢様も知っていますよね? 使える能力は一種類だけです!
あと、魔石を無闇に振り回さないでください! 持って生まれた大切な物なんですから!!
「なーんで私の能力は回復能力なんだろう。そりゃ、怪我を治せるのは便利だよ? だけど、怪我って自然に治るじゃない!」
そうだけど、そうじゃないんですよお嬢様!
「回復能力は魔石教会での聖女の証なんですよ?!」
それだけ生まれてこない、稀有な能力者なんだから!
「あまり他人に自分の能力を口走らないでください! 誘拐されたらどうするんです?」
魔石所持者ってだけで狙われるんだよ?
お嬢様の能力が大勢の人に知られたらと考えると、怖気がはしるね!
「そのときは、期待してるよサリュ君!」
親指をグッとあげて謎の仕草。
「本当に誘拐されそうなのでやめてくれません?」
僕には瞬間移動の能力しかないこと、忘れないでくださいね!?
お読みいただきありがとうございました( ..)"