僕はナーシャお嬢様の専属護衛
僕の名前はサリュシス・ロッソ。
エイリスナイト公爵家に仕える騎士、リオンの息子です。
今何をしているのかって?
公爵邸のバルコニーの近くにある樹に足だけでぶら下がって、ナーシャお嬢様を影から護衛しているんだよね。
護衛って暇なんだよ! 趣味の軽業でもしてないとやってらんない!
「サリュ君!? そんなところで何してるの?!」
バルコニーに出てきたお嬢様が唖然とした。
「お嬢様の護衛です」
「やり方おかしいよね!?」
ツッコミお上手ですね。普段の僕が移ったのかも。
「お嬢様は何をやっていたんですか?」
「見てたんじゃ無かったの?!」
見てましたけど、反応が面白くてつい。
「礼儀作法の授業に飽きて、歩きながら寝てましたよね」
器用なことしてるなって思いました。
「なんでバレるかな……。先生には秘密にしといてよ」
お嬢様が白金の髪を手で梳きながら、チラリとこちらを見る。
あざと可愛いですね?
「お嬢様の頼みであれば、聞き入れない訳にはいきません」
今日はどこに行きたいのだろう。
「さすが私のサリュ君」
僕はお嬢様の物ではありません。公爵家の家令に雇われている騎士見習いなんです! ただ、専属護衛に任命されているだけなんだよ?
「ナーシャお嬢様、今日のご希望は?」
「今日はね。世界の果てに連れて行ってほしいの!」
「それはさすがに無理です」
キラキラして晴れた空のような目は、期待に満ちあふれているけど、僕はそんなに万能じゃないですからね?!
これは僕サリュシスと彼女アナスタシアの日常と冒険を綴った物語。
お読みいただきありがとうございました( ..)"