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王暴の魂塊譚〜家に隕石落ちたから旅に出る〜  作者: 大正水鷹
王暴編

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第78話王暴の資格

 翌日、アクフは武器などの点検を終えて、自分にできる最大限の準備をした後、アクフの父親が示した場所である遺跡に一人で向かった。


 地図が正確だったために、アクフは迷うこと無く、先代の王暴の魂塊がいる遺跡までつくことができた。


 アクフは遺跡の最奥まで向かっていく。


 途中ここに不用意に入る弱者には相応の報いが訪れることだろうといった主の文章が書かれた壁画が散見される。が、それは現代では失われている文字で書かれているためと、まともな学習を行われておらず、知見がないアクフには分かる由もない。


 アクフはただただ足音だけが響くような通路を歩いて、目的となる存在が待っている最奥に進んでく。


 少し歩いていると、明るい場所が見えてきたので、アクフは走った。


 その先には、目的である王暴の魂塊がただ目を閉じて座っていた。


 アクフが来たことを察知した瞬間、王暴の魂塊の口角が上がって少し気分が良さそうな顔になって顔を上げる。


『思ったよりも早く来たな、今代の王暴。俺の子孫よ。』


「貴方が先代の王暴、なんですよね?その姿は。」


『ああ、お前の目に見えているとおりだ。俺は生物として生まれたからには逃れられない寿命を迎えて、死に、自分が死んだ後の世界が心配だったから現代まで魂塊の姿となって残っていた。というわけだ。それにしても、今代のは見た目から自信のなさが溢れているな!こんなのが俺より強いって言うんだから面白いものだ。だが、そこまでの自信のなさそうな顔をされると俺の力を貸してもいいのかと思ってしまうな。』


「俺ってそんなにじしがなさそうに見えますかね。」


『嗚呼、そうとも!全く持って生物の頂点の存在である王暴とは思えない生き様だ。この体たらくでは他の生物に頂点を横取りされて危機に陥るもの納得できるな。まあ、と言っても外部の力ありだろうが。』


「だったら、どうするんですか。俺は大事な存在から貴方の力を借りれば、護神教の襲撃からエジプトを守れると聞いているんです。貴方の力を借りられるまではここから出ないつもりです。」


 そう言って、アクフは真剣な顔をして、その場に座り込んでいつまでも待つといった姿勢をする。


『そうだな。取り敢えず、その精神性をなんとかしないと話にならないが、なんとするために話でもしようではないか。』


 そう言って、王暴の魂塊はアクフと向き合うように座って、話を始める。


『まずだが、お前は自分がとある集団から追い回されている王暴だと知って、負い目を感じているな?まあ、無理もない。お前が存在したことによって護神教が調子に乗っていろんな人々を苦しめたんだからな。だが、それも結局は俺達世界を守ることに一生を費やす存在である王暴をあまつさえ全ての元凶化のように扱ったような存在が悪いんだ。お前が気にすることじゃない。』


「それについては、考えていました。俺もいっぱい考えて、結論としては昔は力がなかったから仕方がなかったけど、その記憶のお陰で強くなろうと思って今、守れるものもあるくらい強く慣れたと思っているので、当事者の人には申し訳ないんですけど、仕方なかったと思うようにしました。」


 アクフはこれが自分にとっての真実だと言わんばかりに、自身を持って言った。

 

『そうか。その根性、1つ磨き間違えてしまえば真っ黒でおぞましいものになってしまうが、今は全く持って悪性の傾向は見えていない。現在のまま進めば問題はないか。では次だ。お前は自身が守れるものがあるくらいには強くなったと思っているが、その実殆ど現状に満足できておらず、まだ赤子のように貪欲さをもって力を求めているな?』


「確かに、今の俺だったら守れるものもありますが、俺が守りたいものにはもっと力がいるんです!だから、今回、先代の王暴に会いに来たんです!」


『今のような騒がしい時期では、その心は寧ろ肯定されるものだが、そのままいけば永遠に自らを承認できず、最後には虚しい末路を迎えてしまうことになる。俺は先祖として、子孫であるお前にそうなっては欲しくはない。』

 

「そうなったとしても、かつての俺にはそこまでの力が必要で、この心がなかったら今のようには強くなっていませんでした。だから、俺にとってこの考え方はとても大事なものなんです。」


『確かに、お前の過去には王暴であることを隠すために、王暴の力を抜いて、更に王暴が持っている武芸に関する才能を著しく制限していた時期があったな。』


「なんで俺の過去を知っているんですか!?」


『いや、俺がお前の父親を名乗るものから先に聞いていただけだ。気にかけるようなことではない。まあ。確かに王暴の性質的に力を追い求めてどこまでも行こうとすると言ったものはあるが、それにしてもこれは、駄目だな。』


「俺をここまで支えて、強くしてくれた心構えはそんなにも駄目なものなんですか?」

 

『ああ、お前のものは、単にさらなる強いものを求めて前に進もうとする探究心ではなく。自分を自ら罰して後ろへは絶対、進まないようにするための自罰の心だ。これを改めなければ俺の力を貸して、この場を乗り切ったとしても後々響いてきてしまう。』


「と、言われましても今更この心を変えるのなんて出来ません。」


『これは、習うより慣れろの方が早いかもしれないな。これに関しては対護神教戦において大暴れしたら、なんとか修正できるか。しかし、この心構えを変えるには少々不十分か。なら、これからそれでも治らなかった場合は自分が欲しいものを手に入れる。お前に関しては…………』


 アクフの心を読んで求めているものを探った王暴の魂塊は『いや、所詮は死人でしかない俺がそこまで干渉してしまうのは良くないか………………』とポツリと言い、後に今言ったことは忘れろと。言った主の言葉を放って、言葉を撤回した。


『これは俺が伝えるものじゃなくお前が見つけるものだったな。すまない、余計な詮索をしてしまった。しかし、これではお前の心は今からどうか出来るものじゃないな。まあ、俺としても今代の王暴が死んでしまったら遠い未来の子孫が困ってしまうから、力を貸さないと言った選択肢は最初からなかったのだが。』


「そうだったんですか!?だったらなんで俺を試すようなことをしたんですか?」


『一つにお前。………………一応、これから共闘する子孫だしアクフと呼んでおいたほうがいいか。アクフが存在したとしても、何者かが偽ったようなものではないかを、心を覗いて見透かすためだな。2つに試した結果、よっぽどどうしようもない程の未熟であると分かれば、俺が中にはいって危機を脱させようとしてたからだな。』


「中に入るってそんなことを魂塊が出来るんですか?」


『ああ、こう見えても俺は死ぬまでは自分で使えるわけでもないが、この姿になるためにただ愚直に魂塊研究を続けていたんだ。それくらいだったら出来る。それよりも、アクフに力を貸すとなったら、ここから出ないといけないといけないが。そうなってしまっては護神教の進行を進めてすぐにここに来てしまうかもしれない。ということで俺は出ていい存在ではない訳だ。』


「だったら、貴方を使った魂塊の特訓が行えないじゃないですか!」


『まあ、そういった考え方もできるが、案ずるな。お前の王暴の力は俺が持っていたものよりもいいものだからな。』


「王暴の力?言い方から察するに、個人個人で能力が変わる魂塊の個別能力のようなものなんですか?」


『………………まあ、そうだな。この話は深堀りしてしまうと、本件からそれてしまうと同時にとても長くなってしまうし、知らなくても一切問題ないどころか知らないほうがいいことだからな。ここは簡単に行こう、王暴の力というものはアクフの言う通りだ。魂塊の個別能力と極めて酷似している。そして、アクフの能力は都合がいいことに魂塊を上手く使うことの出来るものだ。』


「俺に、そんな能力があったんですか。今まで基本的に俺以上の魂塊使いなんていっぱい見てきたのであんまり実感が湧きませんが。」

 

 『お前、自分を普通とか思いながら、他の人間がやっている所を見たことがない複数の魂塊をいっぺんに扱うってことをやっているだろう。制御しても王暴の本来の力は出てしまうもので、それが一番目立たないように発現する形がそうだったんだ。魂塊を使用することに関しての才能を、一切持っていない俺からしたら羨ましい限りだな。』


「そうなんですね。王暴の能力ってことは勿論、あなたも持っているんですよね?もしかして魂塊の個別能力として発現していたりするんですか?」


『ああ、俺のものは『超考』と言った通常の時間を超えて思考を出来るものだな。これによって俺は永遠にも近い思考時間を得て、どれほど先の未来でも予知することが出来るようになった。まあ、これを使ったところで、護神教の教皇の魂塊の個別能力は運命を決めるものだから、基本的な性能を除いて敵わないが。』


「そうなんですか、相手はそんなに強い相手なんですね。」


『ああ、本来であれば地上最強であるはずの存在の王暴の上をいく存在だから当然だと言えばそうなんだが。しかし、今のお前であれば、打倒できないといったこともないだろう。』


 そこから2人は語って、時間が過ぎた頃「あなたの力が必要になった時にまた来ます。その時はどうかよろしくお願いします。」とアクフが言って帰っていった。


「…………さて、これからの戦いはどうなってしまうことか。今の代は俺の予測以上あまり時間が取れていなかったのか実力が少々勿体なく感じる。敵側もそれを狙ってきているのだろうが。しかし、今代は1人ではないようだし気にする必要ないか。」

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