第76話料理と今後
「アクフ、久しぶり!こんなところで何やっているの?」
「そう言えば、騎士団は解散になったけど、また別のメンバーで再結成されたって聞いたけど、イザもあの食堂を解雇されていたんだな。」
その言葉を聞いて、イザは少しムッとしたような表情になって、 文句を言う。
「もう、ちょっと人聞きが良くないな~。これでも私は実力を証明して残してほしいって、要求したんだけどもう人数の問題で入れなかったの。だから取り敢えず、生きていくために、態々カイロに出て店を出したの!」
「すまない。というか、こんな時間に何をしに歩いていたんだ?」
「これは、私の後ろにあるものを見れば分かると思うけど、店で使う食材を買ってきていたの。」
「もしかして、イザは今は料理を作って生計を立てているのか?だったら、今から店に行ってもいいか?」
「まあ、もう少しで開店する予定だったから別に構わないけど、その代わりこの荷物を持っていってくれない?今日は食材が取れすぎちゃったって言って漁師の人がいっぱいおまけをしてくれたから、荷物が多くて困っていたのよ。アクフは傭兵をやっていたんだし、それに…………今の筋肉を見る限り、前と似たようなことをしてそうだから!」
「ああ!店を開けてくれるんだったら、それくらいお安い御用だ!」
そう言って、アクフは荷物を持ってみんなでイザの店に向かった。
ただ、ナルは自分が知らない存在の異性がアクフと結構仲が良さそうな感じで、少しムカッとした。
少し魂塊を使って急いだらつくようなところに、イザの店はあった。
外観は最近建てられたものな為綺麗で、元いた食堂から貰ってきたのか、調理道具が充実していた。そして、少ないながらも、ギリギリ団体客を押し込めそうなこともない店内に、アクフが大きな荷物置いた。
「ふー、イザ。これでいいのか?」
「ええ、良いわよ。じゃ、ちょっとまってくれる?料理は仕込みとかが始まっていないし、選べないから私が短い時間で作れるやつの中で美味しいやつを選んで作っておくから。」
そう言って、イザは店の厨房の中に材料を持って入っていった。
それを見た三人は適当なテーブル席に座って、料理が来るのを待つ。
「これはこれは、どうやら、アクフ少年には様々な女性との出会いがあるようだ。僕はびっくりしたよ。」
「そうですよね。確かに、私とスドさんが探して再開した時も、女の子に囲まれてましたし。まあ、確かにそういった関係には見えませんでしたけど。」
「そうだったのかい?そういうことは早く言ってくれないと。そうなってしまうとアクフ少年には、女難の未来が待っているやもしれないね。それはもう特大級のものが。」
「そういうコトナラさんは、アクフのことをどう思っているんですか?時と次第によっては私と敵対することになりますが。」
「ふー、やっぱりみんな怖い感じに成長しているから、変人には当たり強いね。でも大丈夫だよ。僕とアクフがそういった様な関係になってしまうことなんて、どうなことになろうともありえないから。それに僕は結局の所研究第一の人間だからね。そういった関係に向いていないことなんて、親から散々言われている。しかも、そのせいで僕は太い実家から出ないといけなかったから。だから、僕はナルフリック少女を応援するよ。」
二人の声を横耳で聞いていたアクフは頭に疑問符を浮かべて、なんのことを言っているのか分からない状態だった。
(二人は何を言っているんだ?俺とそういった関係性?もしかして、ナルはコトナラが敵になるかもしれないと思って確認したのか?だが、その場合ナルを応援するといったことの意味がわからなくなる。どういうことだ?)
そんなことを考えていると、熟練された手さばきによってとんでもない速さで作られた料理達が運ばれてきた。
「はーい、お待ちどおさま。料理としては辛いやつとか、極端に酸っぱいやつとかは除いた誰でも食べられる系のものだけを作ったから、安心して食べていいよ。あっ、私も朝ご飯食べてないから、同席するけど気にしないでね。」
最後の言葉をナルとコトナラに言ってから、イザは席に座った。
「で、何を話すんだい?取り敢えず僕は今のところ祖国に帰らせてもらう気だが。」
「その件に関してですが、確かにあの家に女の人が増えるのには少し抵抗があります。それでも、せっかくこうやって会えたんですし、何よりコトナラさんには恩がありますし、個人的な感情でも一緒にいたいと思っています。だから、私はコトナラさんと暮らしたいと思っています。」
「暮らすにしても、アクフ少年からの了承は………………もうとってあるのと殆ど同じだったね。分かった。ここは余計な言葉を使わず、アクフ少年の家が手狭になった頃にでも帰らせてもらうことにしよう。それにしても成長したね。」
コトナラは、ナルの体を下から頭まで見て言った。
「確かに、少し食べすぎて太ってしまったかもしれませんが!そんなに見ないでください…………恥ずかしいです。」
「いや、そんなつもりは一切なかったのだがね。私の成長は乏しく今の姿を見れば分かると思うが、まるで短い棒のようだとか、祖国では言われたものだよ。だから、ナルフリック少女のそれは、全然健康的範囲だとは思うよ。まあ、私は魂塊に関する学問には精通しているが、そっちの学問には精通していないから、話半分に聞いたほうが良いかもしれないがね。」
と、言ってコトナラはなんとなく感じている気恥ずかしさを紛らわすために、黙々と料理を食べる。
ナルとコトナラが話している時に同時進行で、アクフとイザは話していた。
「そう言えば、騎士団の食堂に戻りたいって言っていたが、これからどうするんだ?もしかしたら俺が言えば、なんとかなるかもしれない。」
「いや、そんなことはしなくてもいいよ。確かに再開したときに私はまた料理で疲れていく騎士団のみんなを元気づけたい、みたいなことを言ったけど、今ではここに住んでいる人達の支えになっているから。私は今に満足しているんだ、」
そう言ってイザは雰囲気を変えてナル達にバレないようにアクフにコソコソと、質問する。
「そう言えば、アクフに再開したときから思っていたけど、この人たち誰?私といた時は基本的に鍛錬一辺倒でこんな人達とは、関わりが無かったよね?」
「旅をしている最中に色々会ったり再開したりしたんだ。そう言えば、二人の名前を言っていなかったな。メガネを掛けている人が、コトナラっていう人で、魂塊に関することを研究する学者らしい。」
「へぇ~、人間は見た目にはやっぱりよらないものね。私はてっきり旅で会った言っていたから、吟遊詩人的なものか何かだと思っていたわ。」
「確かに、外見はそうかも知れないけど、中身を知ったらとてもすごい人なんだ。俺も旅した中でコトナラさん以外であんな魂塊を持っている人は見なかったし、知らない。」
「そんなすごい人なんだ。じゃあ、後で私の魂塊についても聞いてみようかしらね。それで、残りの可愛い子は?」
「ナルだ。ちゃんとした名前はナルフリックて言うんだが、俺は親しみを持ってそう言っている。甘いものが好きで魂塊の個別能力を使ったりして美味しい果物を作ったりしているんだ。」
「え!羨ましい。私もそんな魂塊がいれば、もっと甘味の種類を増やせるんだけどな。後で果物を作ってくれないか言ってみようかしら。」
そんなことをしていると、コトナラとの会話を終えたナルが会話に混ざりに来た。
「何話しているの?私も混ぜてくれない?えっと、イザさんであってる?さっきの会話で名前みたいなものが聞こえたから、これかなと思って言ったんだけど。」
「ええ、合っているわ。それよりも!」
イザはナルの手をとって、目を輝かせて言う。
「あなたの魂塊の個別能力を使って、私に果物を下ろしてくれない?」
ナルは自分が想定していなかった動きをされたことに少し戸惑いを見せながら、
「う、うん。それくらいなら別にいいけど…………あっ、果物を作る報酬と言ったら何だけど、あなたとアクフの関係について教えてくれない?」
「うん、良いわよ!」
そう言って、皆は仲を深めていった。
――
アクフ達が朝ご飯を食べている頃、とある遺跡の奥でバファイはついに探していた魂塊を見つけた。
その魂塊は世にも珍しい完全な人型で、ただ坐禅のようなものを組みながら瞑想していた。
そんな様子の魂塊を見て、バファイは感無量の感情と恐れ多い感情を持ちながら、話しかける。
『貴方様が、先代の王暴様の魂塊ですね?』
その魂塊はバファイが発する人語は通じているらしく、頷く。
『では、このような時の為に貴方様は自らは絶対に使えない力を研究して、死後、今のように魂塊になったのでしょうか?』
王暴の魂塊は頷いて、流石にこのままの会話するのはめんどくさいと思ったのか、思念をバファイに直接届ける。
『ああ、間違いない。俺は次世代の王暴を守る為、ここにいる。私のところに来たということは、そういうことなのだな?』
『はい。現在外敵と思われる護神教なる存在が、王暴を神に反逆しこの世全てを暗黒に塗り替える常世全ての害。等と騙って今代の王暴以上の力を使って、王暴を殺そうとしています。私達は今代だけで対処したかったのですが、護神教の動きが想定よりも早かったため、探させてもらい。今のように協力を求めております。』
『真か?今代の王暴は俺の何倍も強いはずだ。そこまでの相手は私がこうしている原因が関わっているのだな?』
バファイは頷く。
王暴の魂塊はバファイに偽りがないか、じっくり見てから思念を送る。
『分かった。ではお前は何者だ。以前俺の関係者でもないのに、ズケズケと俺の前に姿を現した痴れ者がいたからな。一応聞いておく。勿論、王暴を知っているということは今代と、俺の関係者なのだろう?名乗ってみろ。』
そう言われたバファイは生前の人間体に自分の姿を偽装して、王暴の魂塊に対してお辞儀をして最大の敬意を払いながら、名乗る。
『私は今代の王暴アクフの父です。名を、クフネといいます。』




