第75話久しぶりの再開
アクフがファラオとの会話を終えて、自然に帰って家に戻って料理をして食べて、寝た。
次の日。
朝、今日は御仁の仕事が休みの為、アクフが鍛錬のために起きると、知っている気配が近づいてくるのに気がついた。
(この気配…………この馬のような足音なんだけど、馬にしては速すぎるようなこの足音。これは間違いなく。)
アクフが感じ取った存在は、乗っていた一角獣から降りて立派なアクフ邸を見て、
「やあ!アクフ少年。まあ、今日も安定にいないだろうが。」
といった。
それに対して、その光景を横から見ていたアクフは挨拶する。
「お久しぶりです、コトナラさん。そして、おはようございます。こんな朝早くから俺の家に来るだなんて、しかも安定にいないだろうがってことは結構な頻度でここに来ているんですか?」
その言葉を聞いたコトナラはかなり驚いて、声のした方を見てまるで幽霊でも見たような顔になって、叫んだ。
「ついに迷惑行為をしすぎて、アクフ少年が化けて出たー!」
「いや、俺はまだ死んでいませんよ。それに化けて出るなんてなんですか。魂は死後一部分が抜けて転生するんじゃないんですか?それとも、魂塊学者であるあなたは新たな法則でも見つけたんですか?」
「いや、そういうことではない。僕に連絡1つよこさなかったのに、帰って来ていたから驚いただけだよ。気にしないでくれたまえ。」
「その件についてはすいませんでした。それで今回は一体何用なんですか?魂塊の学者であるコトナラさんが、力しかない人間のところに来てもなんの意味もないと思いますけど。」
「ふ、前まではあんな感じだったのに今では自分の力を少しだけ誇れるようになっている。これも成長だね~。」
そう言いつつ、コトナラはメガネを外してついた涙を裾で拭って、かけ直す。
「それで、要件の件にについてだがね、単純な話だよ。僕が君とナルフリック少女に会いたかったから、様子を見に来ていただけだ。ついでに、アクフ少年が旅から帰ってきたんだ。なにかおもしろい魂塊でも捕まえてきた…………いや、少年の場合は作ったといったほうが正しいかな。と思ってね。」
「そう言うんだったら見せましょうか、今ここで俺の旅で増えた仲間たちを。」
そう言って、アクフは魂塊の使い方に慣れておこうかと、持ってきていた魂塊達を一斉に具現化させる。
『キュュュ!』
『ディル!』
『ブゥウォゥ!』
「わーん。とでも鳴けばよかったでしょうか。アクフ。」
アクフの持っている魂塊全て、コトナラの興味を引き出させるようなものだったが、その中でも特段、コトナラの興味を引き出したのは、周りが鳴き声のような声しか出せない中。人語を話したエネアーゼだった。
「なんだい!?この剣は!前にも、アクフ少年が似たようなものを見たことがあるようなデザインをしているが、その実完全な別物だ!しかもこれが魂塊であれば世紀の大発見だよ!人語を介して喋る魂塊なんて聞いたことがない!」
「エネアーゼは本人曰く、魂塊らしいです。」
「はい、あなた達の文明度に合わせた場合。私の種族名という呼び名として一番適当なのは、魂塊です。」
エネアーゼが放った言葉は、アクフなら全然気にしないどころか流してしまうようなことなのだが、コトナラが食いついた。
「うぅん!?僕達の文明度での呼び名として最も適当なのは魂塊!?ということは、君たちは魂塊のことを別の呼び名で呼んでいるのかい?」
「ええ、あなた達に言っても、飼っている動物に人語で話しかけるよう無意味なものなので、言いませんが。」
「では、君は何の魂塊なのか言えたりするのかい?それと、君は明らかにアクフ少年から作られたとは思えないのだが、君は何者によって作られたのだね?」
「私達のモデルですか、まあこれは最重要事実なので濁した状態でしか言えませんが、金属ですね。それと私が何者によって作られたかは、最も秘匿すべき情報とされているので回答できませんが、私とアクフが出会ったのはガンストンの地下にある銃鉱山と今は言われている場所です。」
「銃鉱山?聞いたこのない単語だが、それは後でアクフ少年に問い詰めれば問題ないだろう。そんなことより、秘匿するべき情報を制限できるなんて、君を作った魂塊使いは相当な実力者なようだ。」
「ええ、私はそんじょそこらの魂塊とは、大きく格が違う強力な魂塊ですからね。」
「では、自分自身の個別能力が分かったりするのかい!?」
「問題なく記憶しています。ものを変形させて遠隔で動かせる能力である『遠隔操作』と、少しの怪我でしたら自動的に治癒する能力ですね。」
「して、そのものを遠隔で操るの力とは、どれくらい離れたものを操ることができるのだね?」
「それは私に注ぎ込まれている生力次第ですね。まあ、現在はだいたい戦闘で使用する距離であれば問題なく使えます。」
「生力を注ぎ込む?君は技量がなても後からの強化が可能なのかね?」
「ええ、何しろ私はあなた達とは、全く持って別の文明度から来た存在ですからね、そのようなことも容易に出来ます。何なら、私に試してもらっても構いませんよ。」
「いや、それは後でやらせてもらうよ。最近は護神教がきな臭いからね。今は生力を溜めておかないといけないんだ。」
「そう言えば、コトナラさんって、護神教に恩があるって言っていましたけど………………今回のエジプトにいるって言う王暴討伐の為の進行には参加するんですか?」
アクフがまるで威嚇でもするようにコトナラを見つめる。
「いや、そんなつもりは一切ないね。前に言ったはずだが、僕は一度君を襲ったことによって恩に報いた。だから、もう護神教に恩は一切ないね。まあ、と言ってもあっちはそう思っていない可能性があって、僕を襲っても参加せたがるかもしれないから色々と準備をしているのだが。それについては、戦場であったときにでも見せようじゃないか。」
「そうなんですか。だったら俺の指揮している軍に来ませんか?知っているかわからないんですけど、俺は今御仁って言うものになって、この国を守ることになっているんですよ。」
「ほーう、そうかい。別に僕は報酬が出るというのなら、参加するのもやぶさかでないよ。それにしても、少し見ない間に少年は青年に変わっていくものだね。ではこれからの呼び方は、アクフ青年の方が…………いや、個人的に語呂が宜しくない。ここはアクフ少年には永遠の少年であってもらう。」
「呼び方についてはどっちでも良いですけど、参加してくれるんですね!?でも、報酬って一体どんなものを出せば良いんですか?」
「そうだね。こんなに大きい家をアクフ少年は持っているんだろう?では一室を僕にくれないか?なに、そこまで怪しいことをするつもりはない。精々実験部屋として大改造するくらいだ。」
「まあ、今住んでいるのは俺とナルくらいなので別に構いませんけど。」
アクフの言葉を聞いたコトナラは一瞬耳を疑った。前にあった時は、確かに仲が良く兄弟や親友の様な仲に、見えたが、まさか同居するような距離感に見えなかった二人が同居していたのである。といっても、家が大きすぎて実体だけ見れば殆どご近所さんなようなものだが、この二人を今までをあまり知らないコトナラからしてみれば、かなりの驚きの事実だったのだ。
コトナラが驚いていると、その声に起こされたのか、ちょうどよくナルが家から出てきた。
「アクフ~。こんな朝からどうしてそんな大声――――えっ!コトナラさん!?どうしてここにいるんですか!」
「本人が家の中から登場してしまったら、もう、信じるしかないね。悪かったね二人の空間を邪魔してしまって、では私は邪魔にならない内に、祖国に帰らせてもらうよ。これまで結構楽しかったね、多分もう会うことはないと思うけど、達者で。」
そう言って、状況を察したような態度をとって、コトナラはそそくさと帰り準備を進めるが、ナルが腕を掴んで止める。
「待ってください!せっかく再開出来たんです。確かにアクフの家に住むのは少し抵抗感を覚えますけど、せっかく私達三人会えたんです。少し、料理でも食べに行って一緒に話しませんか?それで住むかどうかは、そこで決めるということで。」
「アクフ少年と同じく、ナルフリック少女も成長しているね。そして、私に対しての当たりが少し強くなっている気がする。まあ、それは年齢だから仕方ないね。良いとも、一緒に食事しよう。」
そうして、三人は魂塊を使ってカイロまで出たが、流石についた時間が早すぎた。
「お店、1つも空いてないね、アクフ。」
「仕方ないな。少しでも早くつくように魂塊を使ってしまったせいで、逆にどんな店も開店していない時間についてしまったからな。」
三人は早くつき過ぎてしまったとは言え、大都市カイロなら1つくらい朝からやっていることを取り柄にしている店がないかと探していたが、中々見つからない。
アクフが数十分程、空いている店がないかと探していると、意外な人物に出会う。
その人物とは、かつてアクフが傭兵をしていた時に美味しい料理によって、アクフの精神安定に大きく寄与していた存在、イザだった。
「アクフ、久しぶり!こんなところで何やっているの?」




