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王暴の魂塊譚〜家に隕石落ちたから旅に出る〜  作者: 大正水鷹
王暴編

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第74話御仁会議

 ナルと一緒の家で暮らすことになったアクフは、それぞれの部屋の割り振りなどを決めて諸々の準備をして、ナルと少し遊んで寝た。


 次の日。アクフが加入することになった御仁で状況などを共有するための会議にアクフが招集された。


 そして、現在アクフは、御仁のメンバーが揃っている場で他の御仁と同じく座っている。


「さて、今回忙しい中招集した理由は…………多分言わなくても分かっていると思うからわざわざ言わない。この会議は私がファラオ様から意思決定権を預かって行っているため、この会議で決まったことはファラオ様の言葉にもなる。けど取り敢えず、今回から新たに参加する人間がいるから挨拶して。」


 スレトラルはここに来るまでに行っていた任務での疲れが溜まっているのか、少し気だるげな表情を浮かべてアクフに事項紹介を振った。


 アクフはスレトラルの言葉を聞いて、少し緊張しながら急いで席から立ち上がる。


「俺の名前はアクフです。前には大道芸人をして、ここにいるソルバが元所属していた騎士団で傭兵をさせてもらった後になんやかんやあって旅をしていましたが、エジプトに戻ることになって、俺の実力をファラオ様に認めてもらい、非常にありがたいことに、エジプト軍事の最高位である御仁に入らさせてもらうことになりました!持っている魂塊はバファイ、ディウル、エネアーゼ、ハンクです。もう皆さんならご存知かと思いますが、バファイとディウルとハンクは神を模した魂塊です。手先は結構器用な方だと思っています。こういった組織にはあまり入った経験がなく、先にいた先輩からしたらまだまだだと思いますが、これからよろしくお願いします。」


 とアクフがこれまでの経歴を軽く話す自己紹介を終えると、御仁のメンバー全員が拍手した。


「分かった。それで、今回は前に話して警戒していた戦力不足がだいたい解消できたので、前回話していたこと………………この中に一名聞いていなかった人間がいるので端的に話すと、ここに各国で勢力を伸ばしている宗教である護神教の連中が、ここに王暴が来るとか言って進行してくる。といった噂が入ってきたため対策を考えていた。」


 (護神教?前にも戦争をしかけてきて、一時期俺を追い回していた奴らがまた来るのか。これは一大事だな。だが、俺は前みたいな失敗をしないためにも、今日まで頑張ってきたんだ。今回は前回みたいなことにはならない。)


「わかりました。説明ありがとうございます。」


「分かったか、そして、最新の情報によって進行は噂では無く、確定した動きであると分かった。さらに連中は自分たちが持ち得る全ての軍勢を使って進行して来る。ということで、我がエジプト…………ファラオ様としては民などの平穏などを考えても、できるだけ戦争になるようなことにはなってほしくはない。しかし、強引に仕掛けてくるんだったら、無辜の民を犠牲にするわけにはいかないので、こちらとしても武器をとらざる終えない。ということで本格的に対策を考えなければいけなくなったのだ。これに対して、なにか意見のあるやつはいるか?こんな状況だから、どんなことでも、どんなに些細なことでもいいから意見してくれ。」


 (そう言えばラミは護神教だったな。ラミを通じて停戦を促せないだろうか?確か、ラミは俺に対して少し恩義…………ではないが借りがありそうな態度をとっているし、俺が頼んだらやってくれるかもしれない。それにこんなくらいの高い組織にいるんだから、少しでも貢献しなくては。)


 そう考えて、アクフは手を挙げる。


「あの、これは意見というよりかは提案なのですが、俺の知り合いに護神教の人間がいるので、彼女にいって今回の進行を止めるように言ってみるのはどうでしょうか。彼女は強かったですし、護神教内での発言権もそれなりにあると思いますが。」


 と、言い終わった後、スレトラル言葉を待たずにアクフの提案に意義を唱える人物が手を挙げる。


 今は違うが、ラミと同じ宗教に入信していたローガである。


「私は元護神教の信徒でしたが、彼の言っている人物に心当たりがあります。アクフに問いたいのですが、その人物はラミという名前をした。小さな女の子なのではないでしょうか?」


 ローガの発言にアクフが肯定する。


「では、その人物と最近話したので断言できます。彼女は今でも護神教を信仰ており、聖戦などとも言われているらしい今回の戦いを止めるように言っても、聞く耳を持たないどころか、敵に回ってしまうと思います。彼女はただの、一信徒なんかでは無くセブンエンジェルです。みすみす的に回すようなことをしてしまえば資源や兵士を無駄に割くことになります。なので、ここは彼女に進行の情報を渡すべきではないと思います。」


「確かに、ローガの言葉の方が正しいようね。では、説得するといったことはなかったことにしよう。他になにかある人はいるか。」


 そう言うと、続けてローガが発言する。


「最新の情報において、今回の進行は護神教という各地に大きな教会があり、信者が多数な宗教が全力をつくしてくるといったものがありますが、それによって前回、今回この場にいるアクフや他の神を模した魂塊使いを抱え込んで戦力拡大に勤しむと言ったことが決まったが。今回は前回よりも状況が悪化しているので、前回の少数精鋭を揃えると言った内容ではなく、国内にいる実力者全員に声をかけて全力で当たるべきかと思います。」


「ということだが、この意見に異議のあるものはいないな?」


 そう言って、スレトラルが首を右往左往して異議のあるものを探したが、その場にいる誰からも異議は出なかった。寧ろ、

 

「確かに、総動員してくるということは、あの信仰心だとかで命が尽きるまで戦って来る連中と、戦わなければいけませんからね。無駄にファラオ様の力を、使わせてしまうようなことになってはいけませんし、私もちょうど同じようなことを考えていました。少し前までは新人だったあなたもすっかり、御仁にふさわしい考えになったようですね。」


 といってシラモが肯定した。


 その光景を見て、アクフは憧れの目で見る。

 

 (凄いな、あのローガって人。なんだか会ったことがあるような気がするけど、思い出せない。なんでだろうな。それにしても、ソルバはあんまり喋っていないな。どう言ったこと考えているんだろうか?)


 そう思いながら、まだ発言しづらい空気を感じるのか腕を組んで待機しているソルバを見る。


 (あの感じ、なにか言いたいことがありそうだけど、言えてないって感じだな。これって俺が援護した方が良いのかな。いや、でもあれはまだ俺が出るときはないって顔にも見えるな。よし、ここは意をくんで触れないほうが良いか。)

 

 と、アクフが考えてソルバが発言することはなかった。

 

「ということで、ここではさらなる軍拡という方針で良いな。では他に意見のある人は手を挙げてくれ。」

 

 少し待っても、手を挙げる人間がいなかったので、スレトラルが締めの挨拶を行って会議が終了した。


 会議が終わった後、アクフはファラオに呼ばれているということで、ファラオが待つ部屋に直行した。


 ファラオが待つ場所、その部屋は壁に様々な絵が描かれており、その絵をただ一つだけ置かれている椅子に座ってファラオが眺めていた。


 そんな部屋にアクフが入ってきた。

 

「ファラオ様。御仁が一人アクフが命に従って参上しました。」

 

 その言葉を聞いてアクフが着たことに気づくと、すぐに絵を見るのをやめて、アクフの方に向き直る。


「おお、もう来ていたのか。その様子だと会議は滞り無く進んだろうな。」


「はい。会議はより勢力を強めて進行してくる護神教に対して、国内から武力のあるものを総動員させる方針です。」


「そうか、まあ、(ファラオ)以外にもあれだけ力を持った集団が作れて、本当に良かった。」


 そういうファラオの顔はまだ老け込むような年ではないのに、ソフィーナト(太陽)シャンシン(の船)の個別能力を使いすぎたせいで、老け込んでまるで今にも死にそうな容態になっている。


「あの、ファラオ様。俺みたいな人間が言うのは差し出がましいかもしれませんが、なんで今回は俺をこの部屋に招いたのでしょうか?」


 アクフの回答にファラオはまるで孫を見るような顔で朗らかに笑う。


「お主には前にも会っているが、まさかこんな人間だったとは思わなかった。悪い意味ではないがな。残り少ないとは言え我が寿命をすべてソフィーナト(太陽)シャンシン(の船)に注げど解剖できぬお主の力の謎。そんな力を持った人間がどういったようになるか。と思っていたが、こうも謙虚だとは。我らが王族以外にも、そんな精神性を持つ人間はいるものなのだな。」


「…………!それはどういうことなんですか。」


 アクフが自分に隠されている力に関して言及を聞いて、眠っていた力への渇望が目覚めた。


 そう聞くと、ファラオが意外とノリノリで答える。

 

「おや、精神性が我々に近いと思っていたが、どうやら違うようだ。力を持っている本人が努力をして得たその力がわからなかったら、そりゃ、謙虚にもなろうな。ではもう残り少ししか生きられない我が本性を見ることはなかろう。少し残念じゃ。お主の力に関し得ては魂塊の個別能力で秘匿してあるのか、相当な力を持っているとしか言えん。あ、少し我の話をしすぎたな、残りの寿命がなくなってくると、無意識に少しでも時間を噛み締めようとしてしまう。すまない、要件に入ろう。他にもあるが、まずは1つ目から、それはお主と護神教の関係性についてだ。」


「俺と護神教との関係性、ですか。」


「ああ、少しソフィーナト(太陽)シャンシン(の船)を使って大規模に調べることがあってな。それで、まだ確証ではないし、我の推測にしか過ぎないのだが、お主の動きと連動して護神教が動いているようでな。少し聞いておきたい。」


 その言葉を聞いて、アクフはこれまでのことを思い出す。


「俺としては、そこまで関係があるとは思っていないですが、どうやら俺がつい前まで王暴っていう、護神教において、とてつもない悪逆無道かつ、常人では信じられないくらいの力を持っていて神に仇なして世界に混沌を与える、最も討たねばならない存在とされている存在に勘違いされていたんですよね。それでおとぎ話に出てくるような魂塊を使って来るような信者たちと戦ったりしないといけない時期があったんです。」


「ほう、王暴か。確か、何度か調査の協力を持ちかけられたり、護神教が関わってくる時は必ず聞いた言葉だが、それで?」


「今この王宮にいるラミって言う人と戦って、その後介抱したので俺が王暴ではないって、思ってもらったんです。」


 そういった後、アクフはなにか思い出したような顔になって、考え出す。


(そう言えば、師匠は俺の『暴剣』が自分の先祖に当たる王暴の使っていた技と同じだったから、に王暴の話をしてくれたけど、あの時そこまで悪い存在とは言っていなかったよな。寧ろ…………)

 

「……なにか考え事しているような顔をしているな。そこまで気になることがあったのか、どんなことか申してみろ。」


 あまりに考えに夢中になっていたため、ファラオに感づかれた。


「すみません。ただ、俺が前信頼できる師匠に教えて貰った王暴の特徴と、護神教が言っている特徴があまりにも噛み合わなくて、考えていたんです。」


「ほう、師匠とやらに教えてもらった王暴とは一体どういった存在だったんだ?」


「それは、その師匠の先祖に当たる人物だったんですけど、どうやら、力が強い存在というのは変わらなくて、護神教の解釈では最低最悪の人類の敵と言われている王暴なんですが、師匠が言うにはその逆で、その圧倒的な力を使って村を守る存在だったって言われていたんですよ。」


 アクフの言葉を聞いたファラオが興味深そうにして、考えるようなポーズをとる。


「もしかしたら、自分たちの先祖を美化しているだけやもしれんが、それはそれとして、中々に興味深いな。しかし、その王暴が聞き間違えであった可能性があるのではないか?」


「いえ、そのようなことは決してないと思います。俺はあの時は真面目に聞いていて、聞き間違えはしていないと思います。」


「なるほど、では。その師匠と護神教のどちらかが間違っていることになるか。いや、もしくは双方真実である可能性もないことはないが。まあ、護神教との関係を聞くのはここまでにする。これ以上深ぼったところで、今使えるような情報はなさそうだ。では次の要件だが、御仁の今後に関してだ。」

 

「なんで入ったばかりの俺にそんなことを話すんですか?」


「なに、簡単だ。アクフ、お主が現在はどうであれ最終的に最も強くなる。だから、話す。我が亡き後の、これからの御仁を背負っていくのは間違いなくお主だ。だから、ファラオが一時不在になった時の反乱や、外国からの侵略の抑止力としてただ力と、忠誠心を選考基準として選んだ集団である御仁を我が亡き後、次の後継者が立派になるまで統治すること。」

 

 (なんで俺なんかにそんな、一番強くなるからっていっても、最高戦力の人間たちの統率なんて大事なことを任せるんだ?それに誰かにものを教えたことはあるが、誰を率いたことのない俺にそんなことができるのか?)

 

「力、だけですか?とても会議をしている様子からも、そうは思えませんでしたが。」


「確かに、今は個人個人が努力が実を結んでいるだけで、当初は我が直々に治世について少々教えたものじゃ。いまでもお互いの意見が合わなければ、我の介入なしでは武力で解決しようとしてしまう。それに、この部屋全体に描かれている壁画を見てみろ。」


 そう言われたアクフは壁画を見てみるが、なにかファラオらしき人物が大量に描かれているのと、アクフには読めない文字が書かれていることしかわからなかった。


「ファラオ様らしき人がいっぱい書かれていますね。」


「ああ、この人達は俺の先祖でもあり、ソフィーナト(太陽)シャンシン(の船)の中にいる偉大な先代のファラオ達だ。」


「えっ!ソフィーナト(太陽)シャンシン(の船)って、歴代のファラオ様たちの魂で出来ていたんですか!?」


「ああ、これは限られたものにしか伝えていたないのだが、事実だ。そして、これは意外と知られていることだが、ソフィーナト(太陽)シャンシン(の船)には、大きな代償とも言える機能がある。それが寿命を使っての魂塊使用。これによって、膨大な敵を一掃する。様々な事柄の真実を見抜く。などなど、様々なことができ、しかも使った寿命の凌駕一定数達するとソフィーナト(太陽)シャンシン(の船)が強化されるのだが、我は最初それが怖かった。」


 ファラオは目線をアクフから壁画に移す。


「なぜ自らの寿命を削って、早死することを分かっていながらも、その生涯を民のために捧げるのか。それに、なぜ我のような人間が後継者に選ばれたのか、死の間際に経った今なら分かるが。当時それは分からなかった。だから、毎日この部屋に入り浸ってこう思うことにした。偉大なるファラオ達から託された、この素晴らしく栄えて、民が楽しく暮らしている国を守るためだ。と思うことにした。今でもその最初の決心は消えていない。そして、エジプトの統治が出来てきたときにあの時の父上が我をファラオにしたのは間違っていなかった。と分かったわけだ。

 まあ、何を言いたいのかと言えば、傭兵とは言え騎士団に入ったんだろう?ならば、民の笑顔を守りたい気持ちがあるはずだ。ならばその気持に従って自らのできる全身全霊を出す、それでよいのだ。実際我はそうだった。それに、アクフの人柄はソルバから聞いている。だから、そう気を負うではない。我はお主を選んだ。我はこの選択を間違えたとは思わぬ。」


 ファラオは直感だったのか、アクフの心境を察してそんな言葉をかけた。


「はい、分かりました。ファラオ様から気遣った言葉をかけてもらえるなんて光栄です。俺も俺を選んでくれたファラオ様ことを信じて、自分の気持ちにしたがって頑張ってみます。」


 アクフはその後、ファラオと少し話した後、流れるよう部屋から出ていった。

 

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