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王暴の魂塊譚〜家に隕石落ちたから旅に出る〜  作者: 大正水鷹
ウォーマリン編

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第67話旅路の間

 アクフ達はウォーマリンを去ってから様々なところによりながら、エジプトに向かっている。


 ここまでにかかった時間は二週間、移動した距離は全員が魂塊使いということもあって1000キロを超える距離を踏破している。


 辺りの景色は相変わらず、鬱蒼と植物が生えており視界を塞ぐ、ジャングルのような森の中である。


 そこで、アクフを含めた四人は道に迷っていた。


「アクフ、この景色前にも見たことある気がするんだけど、私の気の所為?」


 ナルが自分の記憶と眼の前の景色を吟味しながら言う。


 それに対してもう考える必要はないと。「いや、気の所為じゃないな。俺も前に見た記憶がはっきりある。」と言い。


 足元を一度見たスドは。

 

「……ああ、さっきから靴底で足跡を残しているが、ちょうど一周した形になっているな。」


 と言った。


 その様子を見たラミは、「道に迷ってしまったのですか?それなら私の天使魂塊で空までいって、どこに行けばいいのか確認をしてきましょうか?」と提案した。


 それに、頭を捻っていたナルが同意して、ラミは『罪を裁く羽根(ウィンベカート)』を使って、妨害してくる植物を押しのけて一気に空まで向かった。


「………………なるほど、これは良くないかもしれませんね。」


 ラルの目の前は木下にいた状態なら分からなかったが、大雪が降っており何も見えない状態だった。


(これほど雪が降っていたら、方向が一切わからないですね。どうしましょうか。『罪を裁く羽根(ウィンベカート)』を使って一時的に晴らすことは可能ですが、一時的ではほとんど意味がありませんしね。ここは一旦アクフに伝えて今後の方針を尋ねることにしましょう。)


 そう考えて、ラミはジャグルの樹の下に降りてきた。


「皆さん、残念なお知らせがあります。」


 そう言って、ラミは上の方を指さして続ける。


「この上には大雪が降っており、全く持ってここがどこなのか把握できませんでした。ということでアクフここからどうしますか?」


 アクフはラミの報告に少しばかり驚く。そして思考を始めた。

 

 (え、ここからだったら全然分からなかったが、この上には雪が降っているのか!?ラミが嘘をつくとも思えないし第一そんなことをしてラミはなんの得にもならない。ということは本当だ、信じがたいけど。さて、ここからどうやって進んでいこう。俺に残された手はこの状態で使えるかわからないが、『探知サーチ』を使って見るか、エネアーゼに頼んでどこに行けば良いのか教えてもらうことだが、エネアーゼ、多分俺が言っても『何で武力提供の契約しかしていない私がそんなことをしなくてはならないんですか。もっと自分で考えてください。』って言いそうだからな〜。でも、やってみないことには変わらないし、ダメ元で聞いてみよう。)


 と考えを終了したところでアクフは、


「大丈夫ですか?さっきから一切の動きなく黙っていましたが。」


 と少し時間をかけすぎてラミ等に心配を掛けていたということを認識して。


「大丈夫だ。少し考えていただけで俺にはなんの問題もないぞ。それより少し時間をくれないか?」


 と回答して、馬車中に置いて置いたエネアーゼを起こしてくる。


 帰ってきたアクフは、寝起きでなにか消耗しているのかプカプカと浮いているエネアーゼに話しかける。


「エネアーゼ、申し訳ないんだが迷ってしまったお前の力でなんとかできないか?」


 アクフは頭を下げて、できる限り要求が通るような態度をした。


 それに対してエネアーゼはなんだか調子が悪いのか、不機嫌そうに回答する。


「ちょっと待ってくださいよ。ただでさえここは私と相性が良くない環境なんです。このまま調査なんてとんでもないですね。」


「そこを何とか!」

 

「仕方ありません、確かに私もこんなところには長く滞在していたくありませんから、近くの人間に似た生命体を調査してそこまでナビゲート(案内します)します。それまで少々の時間がかかるので少し、休憩でもして待っていてください。」


 そう言ってスドによって剣の姿になったエネアーゼはまっすぐ上に向かった。


「ということで、エネアーゼが調査を終えるまで暇になったから、みんな休んでくれ。」


「珍しいですね。今までどんなにお願いしてもダメだったのに今回は上手くいくなんて。」


「エネアーゼ自体もここに長くは居たくないそうだからな。今回だけは特別にしてくれたんだろう。」


「そうですか。では、ありがたく今日の疲れを取るために少し休憩させてもらいましょうか。」


 そう言い、ラミは持っていた荷物を降ろして簡易的な椅子にして、ちょこんと座った。


 ラミの行動につられて全員が座り込んで休憩しだした。

 

 少し時間が経って足の痛みが少々癒えた頃、ナルが喋りだした。

 

「アクフ、疲れてる?疲れているんだったら今からベリープルの個別能力を使って、疲れた体にしみる果物作るけど。」


「ああ、そこまで疲れてはいないが、このさき何が起こるか分からないし力を蓄えるためにもらっておく。」


 アクフの回答を聞いた瞬間、ナルはベリープルでりんごを作ってアクフに投げ渡す。


 投げられたりんごを片手でキャッチしてアクフは上を見ながらかじった。


「やっぱりこれ俺が奴隷になってもらったときにも感じたが、めちゃくちゃ甘いなこれ。一体ベリープルの『果実生成』のどこにこんな美味しいものを作れるのか不思議だ。」


 とアクフが言うと、甘くて美味しいという感想にラルが食いつく。


「アクフ。それはどれくらい甘いんですか?」


「俺が食べたどんな食べ物よりも甘い。この世のものとは思えないくらい。」

 

「わかりました。ナルさん、私にも一つくださいませんか?」


「別に良いけど、これはすごく甘くて疲労が回復されるだけであって、そんなに美味しいものじゃないよ?」


 と、あまり期待させてはいけないとナルが忠告するが、それでも構わないとラミは真剣な顔で


「それでも構いません。」


 返答したので、ナルはベリープルでりんごを使ってラルの方向に投げた。


 ラルは少しジャンプしてりんごを受け取り、両手で持って少し齧る。


「甘くて、甘くて……とても美味しいですね!良ければもう一つ頂けませんか?」


 ラミは無類の甘党だった。

 

「良いよ、このくらいだったら生力も全然減らないから。」


 そう言ってナルはもう一個のりんごをラルに渡す。


 その様子を武器の点検をしていたスドが見ると、興味が湧いたのか「……ナルフリック、俺にもなんでも良いから一つくれないか?」といい、ナルからりんごをもらう。


「今日はナルの果実は大盛況だな。」


「そうだ。でも、あんまり多くは流石に戦闘のために温存しておかないといけないからね、あんまり繁盛してほしくないけど。」


 二人がそう言い合っていると、スドがナルからもらったりんごをまじまじ見ながら、ポツポツと言葉をこぼし始める。


「……ふむ、個別能力とはいえ、生力で作ったにしては大分完成度が高い、いやそれどころかもはや本物だ。戦闘で使用しているときは特に気にしなかったが、こんな能力は見たことがないな。」


「そうなんですか?私はそこまで珍しい能力とは思わなかったのですが。」


「……そもそも、動物ではなく植物の魂塊からして特異だ。植物の魂なんて滅多に見ないからな。一体どうやって作ったのか知りたいくらいだ。」


「………………その件に関してはあんまり言わないでくれますか?スドさん。」


 と、思い出したくもない過去を思い出しかけたナルにスドは、申し訳なさそうに「……すまん、この話題は今後一切出さないと誓おう。」とだけ言って余計なことはもう言わないと黙り込んでしまった。

 

 


 

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