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王暴の魂塊譚〜家に隕石落ちたから旅に出る〜  作者: 大正水鷹
ウォーマリン編

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第63話過去に浸ってこれから

アクフとナルは久しぶりに二人でどこに行こうか、と歩きながら話していた。


「ナルはどこに行きたいんだ?最近心配かけたし、俺が行けるところならどこにでも行くが。」


「そうだな〜。ここって空中に浮かんでいる海が綺麗だから、その断面でも見に行こうよ。」


「分かった。行こう。」


 アクフは昔のようにナルを抱えて、行こうとすると。


 (今までは気づかなかったが、ナル、大きくなったな。)


 と、本人に聞かせたらなにか複雑なことを思いそうな事を考えた。


 因みに、ナルはアクフ探しに血眼になっていたとはいえ、スドの勧めによって奴隷時代よりは栄養バランス、その量に対しても、申し分ない量を摂取しているため、年もあって前にアクフとあった頃と比べると10センチも身長が伸びている。


 さらに、アクフも2センチ程度伸びている。


 そんなことをアクフが考えている時に、ナルはあまりにも自然に抱きかかえられた為、懐かしさよりも羞恥心が勝って顔を赤くする。


 「………………アクフ、降ろしてくれな――――」


 ナルが言った途中、アクフがバファイを纏わせて『打音放』を使って飛んだ為に、その声はかき消された。


「すまない!なんて言ったんだ!?」


 と言った時にはもう下ろせない位の上空にいた。

 

「……もういい、過ぎたことだから。」


 そのまま、アクフは空中海の端にある大樹に到着した。


 到着すると、アクフは『鎮音放』を使って二人を余裕で乗せられる太い枝に着地しナルを置いて、自分も座り込んだ。


「…………良い景色だな。」


 そう言うと、ナルは少し疲れたような顔で肯定する。


「まさか、アクフがこんなことしてくるとは思わなかったよ。結構、抜けてるよね。」


「あっ!?すまない。いつもこうしていたからほとんど無意識にやっていた!」


「このくらいの高さだったら、私の能力を使えば自力で生還できたから良いけど。」


「そう言ってくれるとありがたい。」


「ところで、さ。アクフ。これまで結構いろいろな人からアクフのことを聞いたからだいたいどんな事があったかはわかるんだけど。やっぱり、アクフ本人から聞きたいと思って、聞かせて?アクフのエジプトからのこれまで。」


「そうか、聞きたいなら勿論聞かせるんだが、一年以上旅してきたからな。長くなるぞ?」


「別に良いんだよ。それも含めて聞きたいんだ。」


「分かった。」


 ナルは少し自分が歩んだ道の答え合わせをするようでワクワクする。

 

「それなら、まずはよくわからない通路を通って出た先、つまり竹戸だな。そこで義刀っていうその国のファラオみたいなものになるやつを助けたことから始まったんだ。そこから義刀の信念を聞いて、頼まれたから未熟とはいえ最大限師匠を手本にしながら、武芸等を教えた。」


「義刀さんなら私もあったよ。アクフに凄く感謝している感じだった。」


「そうか、俺はあんまり技とかは教えられなかったが、役に立ったようで良かった。」


 そう言って、アクフは軽く咳払いをし、話の続きを開始する。

 

「王になるため『天下絶断斬り(てんかぜつだんぎり)』っていうのを習得させる必要がったから、鍛錬をしている途中で義刀は様々な技を覚えていったんだ。習得するたびに自分のことのように嬉しくなって、楽しい時間だった。」


 そう言いながら、アクフは青色を反射している空中海から視線を青空に移す。


「その途中で、『天下絶断斬り(てんかぜつだんぎり)』を使うために必要な刀を得るための試練があったんだが、それに俺も同行したんだ。そこで、前一緒に戦ったでかい奴みたいなやつと戦って、俺は途中で気絶してしまったからよくわからないんだけど、義刀がやってくれたみたいでな。その試練は無事に終えたんだ。」


「そうなんだ。あんな化け物みたいな存在が他にもいたんだね。」


「ああ、俺も見たときは少しびっくりしたよ。その後、何やかんやあって服を買って…………!」


 そう言いかけた瞬間に、アクフの脳内にはナルに買った服があるという記憶が巡った。


「すまない。そういえばナルに似合うかなって思って、竹戸で服を買っていたことを忘れていた。」

 

「服?もしかして義刀さんが着ていたみたいな和服?」


「ああ、着物と言うみたいなんだが、誕生日の贈り物には良いかなって。まあ、もう何年分も過ぎちゃってるから、着物一着で足りるかはわからないけど、受け取ってくれ。あっ、今ここにはないから後で渡すことになる。」


 アクフの言葉を聞いたナルは複数の表情を経由して薄っすらと笑う形に落ち着く。

 

「うん、良いよ。ありがとう。」


 そう照れ隠しにあっさり言ったものの、ナルの内心では嬉しさが暴れており、今にも小躍りでもしてしまいそうな気分になる。

 

「喜んでくれると良いんだが、一応、王家御用達の竹戸で一番いい服屋らしいから品質的には問題ないと思う。」


「うん、分かった。それで、その後どうなったの?」

 

「その後は何やかんやあって、祭りの景品として〘赫斯御魂(かくしのみたま)〙を手に入れりして、新しい技を習得していたら、農民たちが朝急に押し大勢で寄せてきてな。対処することになったんだ。」

 

「それは義刀さんから聞かなかったね。どんな事があったの?」


「ゴキブリの魂塊を使う剣士と戦った後に、城攻めをしようとしている奴らを止めて、凄い形相をしていた農民と戦っていた義刀に加勢しただけだな。」


「師匠ってだけなのに結構働いたんだね。」


「まあ、あんなことが起こっているのに何もしなかったら、力をつける意味もないしな。」


「確かに。」


「あの時の『天下絶断斬り(てんかぜつだんぎり)』はもう、目を(みは)るくらい美しくて、素晴らしかった。放たれた一撃によってすごい形相の村人はもとに戻り、謀反は沈静化したんだ。その後、義刀は無事に竹戸の王になって、俺は竹戸を後にしたんだ。」


 そう言いながら、アクフは話の途中で恍惚とした表情をした。

 

「竹戸から出たあとはすぐにガンストンに向かったの?」


「ああ、義刀から銃の噂を聞いていたからな。そりゃ、あんなに面白くて強い武器があるって聞いたから、多少寝るのも惜しんで行ったな。行く途中で竜巻と嵐に苦戦したりもしたが。そういえば、俺が言ってないのに行き先を当てられたってことは、ナルもガンストンに行ったんだよな?竜巻とかはどうしたんだ?」


「それはスドさんがすごい勢いで横断させてくれたからなんとかなったんだ。」


「なるほど、スドさんが頑張ってくれたからここまで来られたのか。」


「そうだね。スドさんがいなかったら、私がアクフと会うのはもうちょっと後になっていたと思うと、スドさんには感謝しなきゃね。」

 

「それじゃ――」

 

 その後、アクフはナルに銃を求めて鉱山に潜ったことを話した。その次に『銃音風駕(つつねふうが)』をはじめとした技を習得したことと、銃万象(ガンバンゼン)に苦渋をなめされたり、ディウルを作ったことだったり、討伐するために具錬式魂塊武器をヨヨリから教わったり、偶然見つけた箱からエネアーゼが出てきたり、ミティスのことを話して、今に至ると言う話をした。


「と、こんな感じかな。あんまり大したものではないんだが。」


「いや、凄く濃かったよ。そんな事があっあたんだ。」

 

 アクフが話し終えてスッキリして再び空を見上げると辺りは暗くなっていた。


「もう暗くなってるし、色んなとこに行くといったことはできなかったが帰ろうか。」


「うん。」


 そう言って二人は魂塊の力を使ってそれぞれの部屋に戻った。


――


 アクフ達が過去に浸っている頃、エジプトでは2つの剣がぶつかったような響いていた。


 発生源はソルバとローガである。


 ソルバの剣撃は以前より練度を増しており、ローガも魂塊を使っているが、技を忘れずに応戦できている。

 

 現在の剣撃の技のレベルは竹戸に来たばかりのアクフくらいだ。ここまで仕上げるのは相当な時間がかかったが、それを上回る程強くなっている。


 (凄い…………まるでスパルタで魂塊を使わなかったら何も役にたたない頃とは違って強くなっている。)


 ローガは自身が生み出した技『跳越軌』で跳ね上がって、ソルバの懐を狙ったがソルバが王に仕えることになった為、教わった高度な魂塊術の1つ人纏神術(じんてんしんじゅつ)を使って体をアヌビスに一旦置き換えることによって防御する。


「あっ、人纏神術ですか!いいですね。俺もやってみます!」


 見様見真似でローガはシバタを具現化させて、そのまま形を変えて自分に纏わせて、少々融合させる。


 体はどんどん元の形から離れていって、シバタの模した対象であるシヴァになっていく。


 元の形から離れていく感覚に、ローガはまるで自分が生まれ変わったような感覚になって、テンションが上がる。


 そして、テンションが上がると、シバタの固有能力でどんどん身体能力が上昇し、数本の腕が浮くようになる。


 ローガも気がつかないうちに、腕が勝手に動き出してソルバに連撃を繰り出す。


 それを見たソルバは少々厳しい顔をして、地面をえぐってしまうほどに踏み込む。

 

「ローガ、飲まれそうになっているぞ。暴走しないように少し一発、重い一撃を食らわせておくか、『常世不生(デットライフ)』。」


 その瞬間、魂塊強化の秘術で強化され尽くしたことによって、新たに発現した新たな個別能力『幾多の弓を統べる者(アロー・ア・ロット)』を使い、巨大な弓を生成して大剣を乗せて引く。


 勢いよく引かれた弦はミキミキと限界を感じそうな音を鳴らすが、それでも構わず引いて、その間にローガの懐に入って放った。

 

 放たれた大剣は二重の威力強化を行われているため、目にも留まらぬ速度でローガの腕を貫いた。


「今日の試合はこれくらいで終わりにしよう。ローガ。才能は凄いが魂塊を使うと思考が単純になって、技をあんまり使えなくなるのは相変わらずの課題だな。」


 そう言いながら、ソルバは飛んだローガの腕もを持ってきて、ワルドを十字架にしてくっつける。


「あっ、はい。俺もそうは思っているんですが、気分が高揚するとどうしてもナニカ、思考が滅茶苦茶になるんですよ。」


「そうかー。この感じだったら俺と並ぶどころか、他の戦闘に長けた御仁に並ぶのは少々無理があるな。さて、どうしたものか、よし、もう暴走してしまうなら常時生力が続く限り魂塊を纏って慣れてみろ。」


「分かりました!」


 ローガの修練はまだ続く。

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