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王暴の魂塊譚〜家に隕石落ちたから旅に出る〜  作者: 大正水鷹
ウォーマリン編

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第62話更に加わる魂塊と武器

 海中を数時間ほど全力で泳いだアクフは疲労感と、クジラとジンベイザメを混ぜて甲殻類の殻と格納された鎌鋏を持った巨大生物の魂の欠片を握りしめていた。


 水面に出て少しの休憩を取ったアクフは早速、魂塊を作ることにした。


 前回と同じく、貯めていた生力を使って巨大生物の魂の欠片達を固める。


 そして、作ったものが崩れないうちに残りの魂の欠片を集めて固めた。


 そこからは前回と同じく、死ぬか死なないかの程度で生力を注ぎ込んでいく。


 数分後、新しい魂塊が産声を上げた。

 

『ブゥウォゥ!』


「やった!これからよろしく。名前はクジラみたいな見た目と斑点があるから、ハンクだ!早速どんな固有能力を持っているのか見てよう!」


 アクフは高まるテンションで〘赫斯御魂(かくしのみたま)〙にハンクを纏わせる。


 あまりの興奮にアクフは、自分がハンクに大半の生力を使用していたのを忘れていた。


 (よし!次は個別能力を確認する番だ!)


 そう思いながら纏わせた〘赫斯御魂(かくしのみたま)〙に生力を送るが、ハンクを纏わせたことにより生力が尽きていた為、倒れてしまった。


 その後、運がいいことに、アクフを探していたナルに救助されてアクフは寝かされた。


 そこから一週間ほど眠り続け、ついにアクフが起きる。

 

「はっ!ハンクの個別能力は!?」


 そんなことを言いながら、飛び起きたアクフを見てナルが少しため息を吐く。


「アクフ。生力の限界を攻めて魂塊を作って早速個別能力を使いたくなる気持ちは分からないけど、これからはやめてよね?私、アクフが死んじゃったかもしれないって思っちゃったんだから。」


「すまない。少し熱くなりすぎたな。今度から自重するよ。」


 口ではそう言ってはいるが目はキラキラしていて、今回の過ちを繰り返しそうな感じがしていた。


 それを感じ取ったナルはばれないようにため息をつく。


「まあ、しばらくは魂塊作りを控えて安静にしていてね。このままポンポン魂塊を作って生力不全かなにかで死なせたくはないよ。」


「まあ、そうだな。命あっての力だよな。だが、ナル。俺は強くならないといけないんだ。今のままだったら駄目な気がする。だから俺は多分なにを言われても強くなれるなら今回みたいなことをする。」


「…………なんでアクフはそんな自殺行為じみたことをしてまで強くなりたいの?」


 その瞬間、アクフの中に迷いが生まれた。しかし、眼の前にいるナルに不誠実な真似はできないと思った為、真面目に答えようと口を開く。

 

「それは、言いづらいんだが。ナ、…………大切なものを守るためだ。」


 言葉は途中で濁って羞恥心のあまり、少しぼやけた回答をしてしまった。


 だが、そんなぼやけた回答でも濁してしまった言葉の原型を突き止めてナルはアクフの本心に気づく。


 (えっ!もしかして私のためにあんなことを!?いや、昔からそんな感じはしていたしもしかしたらって考えていなかったわけではないけど。ふーん。そうなんだ。ちょっと嬉しい。)


 そんなことを思いながら少々の幸福に浸っていると、アクフが命をかけてまでしていると言う重要なことを思い出して、諌めようとして話を始める。

 

「そうなんだ。でも、その護りたいものって、多分、ものとかじゃなくて人だよね?それだったらその人を護るために死んじゃったら、その護りたいっていって言う人が悲しむと思うんだ。だから、アクフは自分のことを最優先…………は多分できない性分だと思うから今よりも優先度を上げてよ。死に急いだって誰も嬉しくないんだから。」

 

 ナルはそういった後に、楽しそうな顔に切り替えて話を変える。


「私としてはアクフには生きていてほしいって話だよ。それよりも、一緒に復興した村を見に行かない?」


「復興した……?ちょっとまってくれナル、俺は一体どれくらいの期間寝ていたんだ?」


「まあ、大体一週間。そのうちの4日か3日くらいはスドさんが参加して、ライオンのような速度で元通りにするものだから驚いたよ。」


「…………そうか、やっぱりスドさんは凄いな。いい武器も作れるし、強いし、おまけに建築までできるのか。」


「そうだね。建築といえば、もうアクフの為に建てられた豪邸できてるんじゃないかな?」


「え!?豪邸?なにかの見間違えじゃないのか?俺は褒美にそんなものを建ててもらえるほどのものなんて献上していないぞ。」


「アクフってさ、神を模した魂塊を使える魂塊使いじゃん。だから、エジプトはアクフにとどまっててほしいから、作ったんじゃないかな。」


 神を模した魂塊使いを国が有するメリットとしてはエジプトのように強力な戦力になるほか、当然のことであるが敵国に強者がいかないことである。


 ちなみに魂塊の才能は意外と遺伝する。つまり、悪徳な国家に捕まってしまえば、地獄を見ることになるだろう。


 「そうかぁ、俺はそこまで強くないのにそんな扱いを受けることになるのかぁ。なんだか少し申し訳ないな。」


「確かに今は周りの人が結構強いから、相対的に見たら弱いほうかも知れないけど、スドさんとかラミって普通の人の何十倍もつよいんだから、それと並べられるアクフは十分強いって言えると思うよ?」


「そうだな。あの頃の力がなかった頃に比べたら強くなっているしな。ありがとう。」


 そう言ってアクフは何かを考えるように窓から見える青空と海のコントラストを感じていると、ナルが本題を思いだして話し始める。


「そういえば、アクフってこの後空いてる?あっでも、起きたばかりだから予定とかわからないかな?」


「そうだなー。復興作業が終わっているんだったらもうやることは特には…………!そういえばスドさんにエネアーゼと〘天翔石剣(カノンスド)〙を預けていたんだ。取りに行かないとな。」


「取りに行くって、多分そんなに時間はかからないよね?それならついて行っても良い?できれば、その後にどこか行きたいんだけど。」

 

「ああ良いぞ。今から行くから準備してくれ。」


 そういってアクフは身支度を開始して、数時間後にナルと共に部屋を出た。


――


 スドの工房。


 そこにはこの村に伝わる伝統的な武器を作っている男、スドと自分の天使魂塊を纏わせているアクセサリーを点検してもらいに来ていたラミの姿があった。


「スドさん、それは何を作っているんですか?」


「……これはこの村に伝わるトンファーと言う武器らしい。それを見てちょっとひらめいてな。斬撃と打撃を同時に行える、基本的に殺生はあんまりしないアクフには良いかなと思い作っている。」


 などと、スドが普段では考えられないくらい饒舌に喋っているとアクフ達が工房を訪れる。


「スドさーん。エネアーゼってもうできてますか?」


 スドはアクフが来たのを察知すると、「……少し待ってくれ、今取ってくる。」即座に立ち上がって奥の方に入って行った。


 数秒後、なにかとても不愉快そうな声で話しかけてくるエネアーゼを連れてスドが戻って来る。


「……一応、魂塊だって聞いたらから俺独自の技術ではあるが、生力を効率良く使える形状にしておいた。所謂、具錬式魂塊武器状態を常時維持する感じになっている。これでこれまでよりも長く、強く戦えるだろう。」


 そうやって、スドが見せてきたエネアーゼは〘天翔石剣(カノンスド)〙と融合したデザインとなっており、刃の根本が規則性がありそうな感じで歪曲しているが最後には普通の剣のように真っ直ぐになっている。

  

「ありがとうございます!久しぶりだな、エネアーゼ。スドさんの腕はどうだった?」


「驚いていますよ。まさかこんなところに我々でも難しかった生力を、効率よく循環できる形状をここまで突き詰めたうえで、剣と言う形を保って鍛え上げられる生命体がいたなんて。お陰でいくつかの能力使えるようになりました。」


「そうだろう。スドさんは凄いからな。それと、いくつか能力が使えるようになったって一体どんなものなんだ?」


「戦闘中など激しい運動をしているときでも発動する疲労軽減と、自然治癒ですね。さらに基本能力である筋力増強などがより高度なものになり、剣の部分のみという制約はありますが、より複雑な形を作れるようなって、最後にこの状態であれば何もしなくても私の固有能力等を使える状態、つまり常時纏わせてい形態になりました。」

 

「本当か!それだったら、今よりもっと長期的な作戦が立てやすくなるな!」


「……ああ、こいつは俺が作った武器の中でも最高傑作だ。これを持ったやつが戦場から返ってくる確率を格段に上がる。いや、魂塊を使う才能がないやつでも魂塊使いと同等の力を得ることができる。銃と同じ、いやそれ以上の最高の武器だ。」


「そうなんですか!ありがとうございます。」


 そう言ってアクフがスドの手からエネアーゼを受け取った。

 

「……名前は、やっぱり良い。そいつの武器の名前つけたら面倒くさい。エネアーゼとしておこう。」


「分かりました!試し斬りをしてもいいですか?」


「……ああ、そこにある鉄で作った的にでもやってくれ。」


 アクフはその言葉を聞いて、エネアーゼを構えてなにも纏わせないで『暴剣』を使って的に斬りかかる。


 一撃はもちろん、的に直撃しエネアーゼ単体の力で石を一刀両断にした。


「良い切れ味ですね。これは魂塊を纏わせたらどんなことになるか気になりますね。」


 そうしてワクワクが止まらなくなりそうになっていたアクフにナルが釘を刺す。

 

「アクフ、今日は安静にしたほうが良いよ。」


「おっと……そうだったな。それじゃ、用事が終わったことだし、一緒に何処か行くか?」


 そうアクフがナルに言うと、スドが話しかけてくる。

 

「……すまないが、一応聞いておきたいことがある。一言で終わらせるから、答えを聞きたい。新しい武器を作ってやりたいと思っているんだ。いるか?」

 

「はい、勿論!」


 そう言って、アクフがはナルと共に外に出ていった。


「……行ったか。よし、これで決まった。すまないがラミ、俺はここから新たな俺史上一番の武器を作る。今日はさっさとアクセサリーを点検するから、しばらくは利用を控えてくれ。」


 そう言って、スドはアクフとは逆方向の工房の奥の方に入っていった。


 (今のアクフに必要なのは万能武器だ。これから、ハンマーと剣と銃を足し合わせた武器を作る。)

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