第57話突如
ナル達がアクフに急接近しているとき、アクフ達は来た遺跡に戻っていた。
そこで来たときと真逆にして帰ろうとしていたが、一向に光が見えてこなかったので、アクフはあることを思っていた。
「なんだか、この遺跡。来る前とちょっとだけ様子が違わないか?」
「そうですね!確かに昨日来たときはこんなに曲がり角はありませんでした。」
「ショラン、伝承ではなにか無いのか?」
「うーん、帰りのことにいついては、全然書いていないから分からない。ごめん、あてに全くならんくて。」
「別にいいが、そうなるとどうしたものか」
アクフが頭を捻りながら考えていると、ラミが手を上げて発言する。
「あの、私ここの壁に書かれている文字、完璧に読めます。」
「それって、この状況を打破するのに役立ちそうか?」
「確証はあまりないんですが、私の思惑通りなら多分。」
「本当か!どうすれば良いんだ?」
「まずここに書かれている通りだったら、ここの遺跡は前方に進んだ回数と、後方に進んだ回数の比でどこに出られるのかが決まっているみたいです。その比というのは残念ながら書かれていなかったんですけど、虱潰しにやればいずれかはいけると思います。」
「そうなのか。でも、行きは1回も戻らずに行けたが、そのことについてなにか記述はないのか?」
「そのことについては、書かれていました。どうやら、行きと帰りでは行きたいところに出られる比が全然変わってくるらしいです。」
「それでか、だったら早速やるか!」
そう言って、アクフ達の虱潰しが始まった。
何度も前に行ったり、後ろに行ったりして、そもそも入口が見つからなかったり、出口を見つけて出でもそこは来たところから見当違いの場所ばかり、世界旅行並みに変わっていく景色にショランなどは気がめいりつつも、地道に試行回数を増やした。
しかし、外れてしまった出口から1回出てしまえば、比率はリセットれることに気づくのがかなり遅れてい待ったために無為な試行も少なくはなかった。
ちなみに試行を重ねている最中も、当然のごとくどこから来たかわからないクリーチャーと接敵したが、『罪を裁く羽根』によって蹴り散らされた。
そんなこんな実験を重ねること数時間。ついに来た入口から出ることに成功した。
そして、遺跡から出たアクフ達はとんでもない光景を目にすることになる。
本来であれば、浮遊海の中であり、遺跡を除けば海水に満たされ独特の水生生物が泳いでいるはずだが、それが一切ない。
代わりに下の方を見ると、浮遊海の水だったろうものが荒れ狂っていた。
「なんだ…………これ?」
前に見た景色とはわけが違いすぎる為にアクフを含めた一同が騒然となる。
「村の皆は!?」
ショランとコアノが、荒れ狂う水の上に水上住宅が浮いていないか見てみるが、いっこうに見当たらなかった。
「取り敢えず、どこかに行かれた皆さんを救うためにもここは一旦降りたほうが良さそうですね。、皆さん!私の手を繋いでください!『罪を裁く羽根』で飛びます!」
皆がラミの手を掴む。そして、複数の羽根を展開して飛翔を開始した。
「なんでこんなことに、父さんや村の皆は、無事かな…………それにこんなことになるなんて伝承にも載っていなかった。」
(それにしてもなんでこんな事になったんだ?それに、雨が降っていて視界が悪いからあんまり遠くまでは見えないがどこまで水は広がっているんだ。あと、こんな事になりそうな前兆なんて…………そういえば、ここにくる前にエネアーゼがなにか言っていたな。もしかしてそれが原因なのか?聞いてみるか。)
「エネアーゼ、この洪水か氾濫かはよく分からない状況はなんのせいなのかわかるか?」
アクフがそう問いかけると、エネアーゼがカバンから出てきて手に収まった後、回答をする。
「正直なところこの洪水は、貴方にとっての生命の危機にはなりえませんので、回答を拒否します。」
「俺は良いかもしれないがここに住んでいる人の生命は危機なんだよ。知っているなら勿体ぶらずに教えてくれ。」
「分かりました。原因はこの土地にもともとあった生力が各所に移動してしまって枯渇したことですね。そもそもこの土地自体が危険ではあったんですよ、この地域自体昔は海どころかただの砂漠に近い状態なのに、圧倒的な力を持つ何者かによってこのように海水や生物が持ち込まれて生成されたのがこの土地です。遊び本意でなければ住むのに適さないここに住んでいたのが驚きですね。」
「つまりどうすれば、その生力はもとに戻ってこの水をもう1回上に上げることができる?」
「原理から言えば、ここにもう一度膨大な生力を注げばもとに戻りますが、まあ現実的では全然ありません。なので、各地に移ってしまった生力を戻すのが一番の手ではあります。」
「どこに戻せば良いんだ?」
「先程いた遺跡の上部にある盃に注ぎ込めば、元には戻ります。」
アクフとエネアーゼの会話が気になったので、少し聞いていたショランが食いついた。
「それ、本当!?」
「はい、私は誰もが欲しがるこの文明からしたら、あまりにも過ぎた長物ですからね。間違っている確率は極めて低いです。」
「それだったら、どこに生力が流れているのかももちろん分かるよね?」
「はい。まず、あなたが素材とやらの為に行った湖に多少ながら、流れていて。大量に流れているものだったら、水が流れているところと流れていない境目ですね。ひとまず、そこを抑えさえすれば、後百年くらいは浮遊海は復帰して継続されるでしょう。」
「分かったありがとう。」
そんなこんな会話していると、先程からアクフ達が問題解決のため横で会話している中、必死になにかないか探していたコアノがなにか発見したのか「あっ!」と大きな声をあげて、アクフたちに報告する。
「お姉ちゃん!なんかあそこの奥の方に不自然に波が途切れているところがある!」
「コアノよくやった。これで後はあそこに行くだけ。ラミ!前に見える不自然に波がないとこの向こう側に向かって飛んで。できれば、今よりもスピード速くして。」
「分かりました。しっかりてに力を入れて振り落とされないようにしてくださいね?」
ラミは生力を羽根に注ぎ込んで、迅速に境目へと向かった。
数10分後、海水かそうでは無いかの間にて。
なんと、ガンストに来てから一泊した後、全力で走った為、短時間でアクフが来たところである境目にたどり着いていた者たちがいた。
ナルとスドである。
二人は落ちた浮遊海の水がせき止められているかのように外側に出ていかない光景を見て不思議がっていた。
「スドさん、このすごい滝みたいなのってなんのか分かったりする?」
「……流石にこれは俺でもわからない。本当に何なんだ?しかし、ここにはアクフのものらしい足跡がある。おそらくここの辺りになにか。」
そうやって、木をかき分けながら、横に進んでいるとアクフの手押し車を発見した。
(この形状、間違いないこんなものは魂塊使いじゃないと持ち運べない。)
スドが中を少々見ると、袋の中に剣が真っ二つに壊れた〘天翔石剣〙を発見した。
(っっっっ!?これは間違いない。アクフの〘天翔石剣〙だ。しかもこの感じだとここに置いたのはかなり最近……やっとだな。)
そう思ったスドがそれをナルに報告するために大きな声を上げようとすると、先にナルの大きな声が聞こえてきた。
「スドさん!アクフがこっちに向かって飛んできました!」
ナルの言葉を聞いたスドは直ちに手押し車のあった場所からなるのもとに駆けつけ、空を見上げた。
まるでそれはピースが揃ったときのような、あるいは大変な仕事を終わらせたような、感情がナルを襲う。
見上げた先にはアクフがおり、少々驚いている表情をしていた。
しばらくすると、 『罪を裁く羽根』によって運ばれたアクフ達が地上に降り立った。
「え!なんでこんなところにナルが!?」
アクフ自体はまるで予想だにしていなかった事態に戸惑いもあったが、ナルはそんなことなく達成感と幸福感から、勢い余って抱きつく。
「探したよ、アクフ。黙っていなくなっちゃったから、心配になってここまでスドさんと一緒で探しに来ていたの。」
少し涙ぐんでいるナルに周りのポカーンとした空気を察して、少し諌める。
「……ああ。だが、今は感動にふけっている場合では、なさそうだな。少しかもしれないが、俺達も助力させてもらう」
「私もだよ!せっかくここまで来て協力しないで見てるだけは嫌だからね。」
「ありがとう。ここは少し頼らせてもらう。って言ってもこの場で一番強いのは俺じゃないが」
そう言って、ラミの方に目配せする。
「私の魂塊天使には敵いませんが、確かな実力は持っているようです。この二人なら大丈夫でしょう。助力、お願いいたします。」
「え、あなたがこの中で一番強いの?」
「はい、間違いないと思います。」
「……では、どこで何をするのか教えてくれ。」
「ここの辺りに眼の前にある水は浮いていたんですが、元々あった生力が流れだしてしまって足りなくなってこうなっているので、生力を回収しようとしているんです。で、ここに多く流れているのでそこから回収するわけなんです。」
「……分かった。」
「じゃあ、その生力が流れて溜まっているところってどこなんだ?エネアーゼ。」
「あなたなら、私に聞く必要なんて一切ないように感じますが、ここの近くにある崖から入れる洞窟に溜まってます。」
「分かった。皆行こう!」
アクフ達は洞窟に向かった。




