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王暴の魂塊譚〜家に隕石落ちたから旅に出る〜  作者: 大正水鷹
ウォーマリン編

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第54話扉と聖職者

 遺跡を歩いていたアクフ達の前には人の身長の2倍はあるのでないかと思うくらいの扉が立ち塞がっていた。


「ショラン、これはどうやって通るのが正解なんだ?」


「これは手の甲で37回で叩いてから、足で雑に開けるのが正解。」


「分かった。」


 アクフは高速で手の甲で37回叩き、ヤクザキックで扉を開けようとすると。


「あれ?」


 開かなかった。


「おかしいね、伝承では、そう書いてあったんだけどね。」 


「一回普通に開けてみるか。」


 アクフはドアノブに当たる箇所を掴み、奥や前に向かって引いたり押したりすると、


 普通に開いた。


「えっ?ショラン?大丈夫なんだよな?お前の一族に伝わる伝承本当に大丈夫なんだよな?」


「ごめん、普通にジョーク。まさか、本当にするとは、思わなかったから、ちょっと笑いを堪えるのに、必死で種明かしできなかった。それはごめん。」


「それならいいんだが、本当にショランが言っている伝承は信用できるのか?」


「うん、結構できると思う。今までは伝承通りじゃなかったところ、ないし。」  


「そうですよ!出どころは一切わかりませんが、信用だけはできるのがうちに伝わる伝承なんです!」


「色々気になるところはあるが、まあ良いか。」 


 アクフ達は再び歩きだす。


 壁の文字は相変わらず読めないが、絵だけは見て分かるので見ているととあることに気づく。


 (そう言えば、ここに書いてある絵って一定のペースで絵柄がガラッと変わっているな。…………あれ?前にもこんなこと考えた気がする……?もしかしてここの遺跡には記憶を混乱させるものがあるのか?)


 メソポタミアの壁画見たいな絵柄で描かれたよくわからない神話のような頭のぶっ飛んだ壁画を眺めながらアクフの脳は混乱する。

 

 (あれ?何で俺はこんなところにというかまえにあいているひとはだれああああああ。)


  このまま歩いていると完全に発狂すると感覚で察したアクフは、何も考えないことによって発狂を回避しようとした。


 その策は意外にもうまくいってアクフの精神状態は普段通りになった。


 そのまま、視線を壁画からショランやコアノ、床などを転々とさせて発狂を回避する術を手に入れた。 


 前回やナルやスドが体験したこと無い事情を体験しつつアクフは歩き続ける。

  

 扉をくぐってからは特にリザードマンが襲ってくることもなく、実に平和にことが進み結構な距離を歩いた後、遠くから光が見えてきた。


「もうすぐだな。」


「うん、でも、気を付けて、伝承では此処からヤバい奴が現れるから。」


「ああ、準備しておく。」


 アクフは『械彗狂飆(かいせいきょうひょう)』を作りそのまま『静虚双劇(せいきょそうげき)』の構えを取りつつ、二人の前に立って光まで向かった。

 

 光の元まで、アクフは少々の緊張感を持ちつつ進んでいく。


 じんわりと。


 光とアクフは近づき合って遂にはアクフは光の先に到達した。


「なかなか見つからないと思ったら、こんなところにいたんですね。神への反逆者、王暴。」


 光の先には――――――とても幼いながらもアクフを狙う護神教の高位の職を持っている少女聖職者ラミがいた。


 ラミはアクフを見つけるなり、一切の容赦もなく、ハノエルを具現化させて『罪を裁く羽根(ウィンベカート)』を使い、周りを漂わせている羽根をアクフに向かって高速で飛ばした。


 羽根は幻想的な雰囲気を纏いながらマシンガンの銃弾のように早く飛ぶ。  


 羽根を飛ばした時、景色は変わり始め雲が高速で動き日光が隙間から差すようになる。

 

 その全ての異変がラミの魂塊使いとしての格の違いを分からせるのものであるが、

 

 アクフは『静虚双劇(せいきょそうげき)』で全ての羽根を叩き飛ばしとしたが、その羽根は叩き落とした先で派手には爆破した。


 (なんだ……?あれ、伝承を警戒して『静虚双劇(せいきょそうげき)』の構えをとってなかったら死んでいたぞ。それをあんな女の子が?えっ?)


「驚きましたよ、正体も明かしていない状態で私の『罪を裁く羽根(ウィンベカート)』を避けるとは。やはり貴方は王暴ですね。」


 そういいながら、ラミは飛翔し、魂塊の通常能力の身体強化を使ったくらいでは絶対に届きようのない高さ2まで来てから再びマシンガンのように羽根を放つ。


 アクフは『静虚双劇(せいきょそうげき)』でまたも直撃を免れる。


「いや、お前もそのパターンかよ!なんなんだよ!王暴って、俺はそんなやつ微塵も知らねぇぞ!落ち着いてくれ!話をしよう!」


「人間の猿真似ですか?あなたはまごう事なく王暴であり、あなたの存在が我らが神の不利益となって、この世を悪くし人類に暗闇を与えるのです。」 

 

 (人の話を聞かないなっ。クソ、なんだよ王暴って何で俺をそんな大層なものだと思い込んでいるんだよ!それにしても、あいつ飛べるのか。でも、ただ単に俺の方向に向かって爆発羽根を撃ってくるだけ………………もしかして、あの羽根を撃つ直前は動けなくなるのか?いや、普通に俺を舐めているからそうしているのかも知れないが、だとしても、チャンスだ。即興で出来るかわからないけど、やってみよう。)


 アクフは『静虚双劇(せいきょそうげき)』の構えのまま、靴にバファイを纏わせ直し、〘赫斯御魂かくしのみたま〙にディモルを纏わせ『打音放』で飛翔する。


「一か八かのこの場が初のお披露目だ!『土鉄ノ浮刃(どてつのふじん)』」 


 ディウルを纏わせた〘赫斯御魂かくしのみたま〙にエネアーゼを混ぜわせて、一つの光り輝き宙に浮く刀を生み出す。


「具錬式魂塊術ですか、そんな小細工なんてやめて本性出したらどうですか?」


 ラミはそう言って4枚目と3枚目の羽の羽根を集めて、


 ビームを放つ。


 ビームはアクフめがけて一直線向かってきたが、咄嗟に『打音放』で横に避けた。  

 

 (あいつの能力強すぎるだろ、爆発の次はよくわからない光のレイピアみたいなのを出してきて、一体どんな能力なんだ?いや、今はこんな考察をしてもほぼ無駄だな。今するべきなのはどうやったらあいつの裏を取れるかどうかだ!)

 

 『土刀竜(どとうりゅう)』を展開した状態でアクフは空中版『暴剣』を使って、避けつつラミの下に向かう。  

 

 (そう言えば、あいつ、基本的に一直線にしか攻撃してこないよな。なら横に高速に動く『不規則演奏アチェダンド』を試してみるか。)


 アクフは生力を込めて真下に向けて『打音放』を放ち反動で飛び上がってラミよりも上のところに来た所で、


不規則演奏アチェダンド』を放つ。


 そのことにはラミは気づいていて羽根とビームを飛ばしたが、アクフの早く雑で、ある種読みにくい軌道を読みきれなかった為、当てられない。 


 そして、そのまま『土刀竜(どとうりゅう)』を纏った『土鉄ノ浮刃(どてつのふじん)』の『不規則演奏アチェダンド』が当たる。


罪を裁く羽根(ウィンベカート)』によって生み出された羽に。


 しかし、アクフは諦めず、『土鉄ノ浮刃(どてつのふじん)』をエネアーゼの固有能力『遠隔操作』で、連撃を仕掛ける。 

 ラミは巧みに羽根を操って応戦していたが、『土鉄ノ浮刃(どてつのふじん)』と『土刀竜(どとうりゅう)』によって生み出された2本の刀によって生み出される攻撃に若干押されていた。


 至近距離であるため、爆破なんてものは当然の論外であるが、ビームを撃ってしまっても、間違って自身にあたってしまうのを避けるため『罪を裁く羽根(ウィンベカート)』のほとんど能力を封じられている。

 

 そこに。


「アクフ、ディウルからあなたが認識していない個別能力が検出されました。」 

  

「その名前は?」


「『土刀竜(どとうりゅう)』で切った部分を風等を無くし、空間を縮める。私が適当なものに個別能力名を翻訳すると『空削くうさく』です。」


「よっし!今なら何でもできる気がする!いっちょここで新しい技を作るぞ!」


「そんなことはさせません!」


 ラミは至近距離ビームを放つが、銃万象(ガンバンゼン)の銃弾に比べれば、だいぶん遅いものだった為、アクフに軽く避けられる。

 

 ラミの攻撃など、どうでもいいと言わんばかりにアクフのテンションが上がる。因みにアクフはテンションが上がれば脳の回りが良くなり、普段では見せない戦い方をする。  


 それと具錬式魂塊術武器化したエネアーゼが喋ったことで一瞬だけの戸惑いが発生する。

 

 アクフはその隙を突いた。


土鉄ノ浮刃(どてつのふじん)』と土を凝固した刀二本を『遠隔操作』でか動かし、 

 

「『遊騒乱音(ゆうそうらんおん)』!」


 と、気持ちが高まるままに技名を発し、回転させ、『空削(くうさく)』をやたらめったらに様々な箇所を切りまくる。


 そのことによって、ラミはバランスが取れなくなるくらいにぐちゃぐちゃに、あっちに行ったり、こっちに行ったりと、奇妙な軌道を描く。


 アクフはその間に再びラミの上に『打音放』で移動して、


 飛び蹴りのような形で靴に『超音剣』を纏って落下し、羽根のガードにぶつかる。


 が、『打音放』版『轟放奏剣(ごうはそうけん)』を使う。


 ラミにとって『遊騒乱音(ゆうそうらんおん)』でただでさえバランスが非常に取りにくいものだったのが、『轟放奏剣(ごうはそうけん)』によって揺れが発生し、もう上下横斜めの感覚が完全に麻痺して飛行能力を正常に制御できなくなる。 


 

 アクフは続けざまにラミを吹っ飛ばし、完全に地面に落下させる。


  

 ドッ!!!!と激しい音が鳴り響き、一人の少女と天使の意識は飛んだ。


 アクフは慌てて、『鎮音放』をラミの落下地点に設置する。


 そして、ラミと共に落ちた。


 (ふぅ~、なんとかなったな。でも、確実に倒す為に派手に生力使っちゃったからもう、あまり動けない。)


 力なく倒れようとしているアクフを遠くから見ていたショランとコアノが駆けつけて支えた。

  

「アクフ、大丈夫?」 


「すまない。あいつを倒すために殆ど生力を使ってしまったから寝かせてくれないか?あと、俺と戦っていた少女も寝かせておいてくれ。」


「自分を、殺しに来た相手に、その対応は甘いんじゃない?」 


「そうですよ!目覚めたらすぐは大人しいかも知れませんけど、あんなに激しく爆破させたり、よく分からない光を撃ったりしてたんですからいつ私達に攻撃してくるか分かりませんよ!?」 


「でも、相手は俺より年が下に見える少女だ。俺の見立てが間違っていなければまだ未来がある年なのに、こんな所で未来を潰されるのは可哀想だろ。」


 その目は数年にも渡り、奴隷として囚われていた為に貴重な思春期を棒に振ってしまった少女のことを思い出してしっかりとした説得力を纏っていた。


「………………分かった。取り敢えず、1つ目の難所を越えたんだし、本当はもうちょっとくらい進みたいけど、流石にアクフを引き摺ってまで進むつもりはないし、今日は寝ようか」 


 そう言って、ショランは近くの木の木陰に天幕を張り、アクフとラミを運び込んだ。

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