第53話浮遊海
どこまで行っても陽の光が届き輝いて、海藻やサンゴを乗せた亀、色々な種類の海の魚、浮遊海独特の魚が多く遊泳する、圧倒に幻想的な景色にアクフは息を呑みながら空気を多量に含む生物を〆て呼吸する。
アクフは潜ってから現在までずっと低出力で魂塊を纏っている。
因みに魂塊を纏わせて基本能力である筋力、五感強化を使用すると性質上、呼吸の回数が早くなり酸素が大量に必要となる。
なので、アクフは最近の鍛錬で会得した低出力で魂塊を纏わせるを使い、酸素と生物を温存しているのだ。
アクフ達はただひたすらに横に向かって泳ぐ、ショランとコアノは現地人なのでこなれた様子で移動している。
そうしていると、ホオジロザメがアクフの方に向かって突進してきた。
(あっ、きたな。取り敢えずあの感じなら『超音剣』でも大丈夫そうだな。)
アクフは冷静に〘赫斯御魂〙を構え、『超音剣』を放つ。
『超音剣』は地上とは違って少し遅い速度ではあったが、しっかりと飛んでホオジロザメの歯の部分に直撃した。
しかし、ホオジロザメは『超音剣』だけでは死ななかったので『廻音剣』使用し、渦を発生させてそこに飲み込ませた。
ホオジロザメはもがきなからも脱出を試みようとしていたが、現実は厳しくホオジロザメは完全に飲まれてしまった。
ホオジロザメは倒れた。
だが、渦に巻き込まれる時、ホオジロザメの血が海中に大量に撒き散らされた。
「ぅごぅふぅ!にえうぇ!」
結果として、大量のホオジロザメや他のサメが集まってきた。
(く、大量に来たな、それにしてもあいつを倒してから結構すぐに来たってことは、報復か?いや、それにしては遠すぎる場所から来ている気もする。もしかして、こいつら血に反応して寄ってくる性質があるのか?それなら厄介だな。『打音放』版『轟放奏剣』で対処しよう。)
アクフは『械彗狂飆』を作り、ホオジロザメの亡骸に突き刺し『轟放奏剣』をショランたちに当たらないように放った。
『轟放奏剣』の効果によって辺りの水が動き出し、ホオジロザメを蹂躙した。
(ふぅ、この程度ならまぁいけるな。あとにいるやつもこんなやつなら楽なんだが、結構強そうな気がするあの2人が敵わないなら、苦しい戦いになりそうだ。いっそ、一回戻って新しい魂塊を作るか?いや、ショラン達からしたら一刻も早く薬の材料を作って、苦しんでいる人達を治したいはずだ……………………ここは覚悟を決めよう。)
アクフは絶対今回で終わらせると意気込み、奥へと進んでいった。
しばらく進んでいると、普通の生物が少なくなくていってどんどんクジラとジンベイザメを混ぜて甲殻類の殻と格納された鎌鋏を持った巨大生物などの浮遊海固有の奇天烈生物が増えていく。
(おっ、あの生物良いな。固有生物のバディクルスオオモウルのディウルみたいに面白くて応用の効く良い能力になるかも知れない。…………そう言えば、神を模した魂塊は金を使って作るけど、金は生力を効率良く使える………………隕鉄も生力を効率良く使えるよな。つまり、もしかして隕鉄でも神を模した魂塊相当のやつが出来るのか?……いけない、いけない今はそんな事を考えている場合じゃない。後でこよう。)
そんな事を考えていると結構な距離を移動しており、ショランがまるで目的地はもう目の前だと言わんばかりの身振りでアクフに伝えている。
数分後、アクフ達の目の前にはアクフにとっても見覚えのある入り口があった。
(あの遺跡、いつか見たことがあるような…………あっ!竹戸に行く時の形象文字を書かれていた遺跡だ。まさか、あそこに行くのか?)
と思いながらアクフはショランとコアノについて行って、一直線に遺跡の中に入っていた。
遺跡の中には外部から水などが侵入しないように何やら特殊な方法を使って酸素が満ちている。
遺跡について、濡れた道具などに手入れを終えたアクフは聞きたいことがあったので、ショランの下へ向かう。
そして、アクフ同様に道具などの整理をしていたショランに話しかける。
「ショラン、本当にここに薬の材料があるのか?」
「うん、そうといえば、そうなんだけど、もう少し奥の方に、ある。」
「俺もここと似たようなところに来たことがあるんだが、その時には全く別のところにつながっている通路みたいになっていたが、ここもそうなんじゃないか?」
「確かに、伝承にはそんなことも、書かれていたような、気がする。それに数か所くらい破れちゃってる所ある。でも、多分、大丈夫。」
そうショランが言うと、コアノが近づいてきた。
「大丈夫ですよ!確かに私たちはアクフさんに比べんたら、あんまり強くないかもですけど、生まれてこのかた私とお姉ちゃんは道には迷ったことがないんです!安心して下さい。それにしても、アクフさんもここみたいなところに来たことがあるってお姉ちゃんと話しているのをちょっと小耳に挟んだんですけど、もしかして、この辺りに来るのは初めてではないんですか?」
好奇心に駆られ、コアノは後半の部分はまくし立てるように言った。
「いや、この辺に来るのは記憶に残っている限りだったら今日が人生初めてだ。実はエジプトから来ていてなその時に穴の下にあった通路を通ったら竹戸っていうところにでていたんだ。だから、まったくもって違う場所に出てしまうんじゃないかと思ったんだが、杞憂だったみたいだな。」
「そうですよ!戦闘面に関しては全然、役に立ちませんし、もしかしたら相手が相手なら足手まといになってしまうかも知れませんが、移動面だけなら頼りにしてください。一族に伝わる道具とかがあるので!」
「分かった。取り敢えず安心させてもらうことにするよ。ショラン、コアノ。俺はもう終えているが、武器や道具の手入れは済んだか?」
「はい、もうバッチリです!」
「うん、概ね大丈夫。アクフがそう言うなら、行こうか。」
アクフ達は手入れをした道具を鞄に詰め直して、立ち上がり遺跡の奥の方に進んでいく。
一本道なためただ歩みを進めるだけでアクフは少々暇になっていたため、壁の文字や絵を見ながら移動していると、とあることに気がつく。
(この文字………………よく見てみてたら、結構エジプトから竹戸で通った遺跡の文字とは違う。あっちのは結構絵ぽかったけど、こっちはただの線の集合体みたいだな。それに絵もエジプトのパピルスで見る感じじゃ全然ない。石みたいに無機質な絵だな。)
そんな事を考えながらアクフ達の歩みは進む。
しばらくすると、アクフ達以外の足音が聞こえてきた。
足音の主はアクフ達の足音にきずいたのか足音に向かって走ってきた。
走ってきたのは怒り狂っていてトカゲのような体を持ちながらも二足歩行で歩き、道具を操る人間のような怪物リザードマンだった。
「2人とも俺の後ろに隠れてくれ!」
アクフはリザードマンになにかやられる前に『PJS-DU2』を作り、遺跡を破壊してしてしまわないように溜める時間を極限まで減らした低出力『銃音風駕』を放つ。
しかし、あまりに低出力すぎたのかあまり効いていない様子でリザードマンはアクフに向かって突撃してきた。
(ち、こいつ結構硬い。本当は『静虚双劇』が最適解だが、今この状態でじゃ溜める時間がなさ過ぎる。防げるかどうかわからないがあれでいこう。)
アクフは向かってくるリザードマンに対して〘濡烏〙で『鎮音放』を放った。
結果として、リザードマンに当たり、動きを鈍くした為に少しの時間を稼げたので、〘赫斯御魂〙をぶつけて突進を跳ね返した。
そして、跳ね返したことによって生まれた隙に『械彗狂飆』で『超音剣』を放つ。
『超音剣』はリザードマンに直撃し、一刀両断した。
アクフは『械彗狂飆』を下に戻す。
ここまでの戦闘の所要時間48秒である。
竹戸にいた頃のアクフであれば、倍以上の時間が必要であっただろう。
「よし、次に行こうか。」
「おお!やっぱりアクフさん強いですね!」
「いや、こんなんじゃ友達も守れないよ。俺はまだまだ強くならないといけないんだ。だからここのトンファーっていう武器が欲しい、強い具錬式魂塊術武器の材料になるかも知れないからな。あと、単純にかっこいい武器が欲しいからだ。」
「へー、それじゃ鍛えたりしているんですか?」
「まぁ、今は亡き師匠からおそわって毎日の各種筋トレ1000回とかかな。」
(えげつない脳筋だなぁ、村じゃこんな人はすぐでていっちゃうから新鮮ー。でも、それにしては雰囲気的に理知的に考えることもありそうなんだよなー。しかも、魂塊を複数個持って使っているってことは、やれば出来る!!!だけで物事を済ませそうなタイプでもなさそう。というか、喋ってみた感じ結構旅していろんな人に会ってそうなんだよなー、言ってみたらいい人紹介してくれるかな?この件が終わったら言ってみよっと。)
「凄いですね!それじゃ、立ちはだかるものもいなくなったので行きましょう。」
「コアノ、それ、私の台詞。」
「別にいいじゃん。」
「まぁ、別にいいけど、ね。」
そういいつつも、アクフ達は遺跡の奥の方に進んでいった。




