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王暴の魂塊譚〜家に隕石落ちたから旅に出る〜  作者: 大正水鷹
ウォーマリン編

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第52話疫病に溺れた村落と藻掻く者

 アクフが森の中を駆けて煙のもとに到着すると、大勢の人間が巨大キャンプファイヤーをして奇妙な踊りを踊っていた。


 体を上下に動かして今にも土下座のようなポージングをするような動きだ。


 (これは…………なんだ?なんだか必死そうな感じはするが、それにしては踊り自体にはそんなに執着してはいなさそう。つまり、信仰的なもので何かを祈っているのか?考えてもしかたないし、聞いてみるか。)


 アクフは巨大キャンプファイヤーの周りで踊っている一人の少女に話しかけた。


「良かったらで良いんだが、何をしているか教えてくれないか?」


 とアクフが話しかけた瞬間、少女は草の陰に隠れてちょこんと顔を出す。

  

「っ!旅の人ですか!?これは…………。話せば長くなるんだけど、取り敢えず、村の結構な人が病気になって、大変なことになっちゃってるから、しようがなくて祈ってる。」


「そうなのか、こんな状況で言う言葉ではないと思うが、ここの辺りに打撃の斬撃を一つで行える武器があると聞いたんだが、ここの辺りにあったりするのか?」 


「あ、あります、ね………………作っている人がその病気に、なっちゃって、この村の伝統文化が死にかけてますが。」


「それは大変だな!?」


 アクフが驚きのあまり少女に近づいて大きな声で感想を述べると、少女がびっくりした表情になり完全に体を隠す。   


「実は、この病気を治すための、薬の材料は判明しているんですよ。」


「本当か?」


 「はい、でも私たちの力じゃ、ちょっと行けない場所に材料があって。もし、もしもですけど、手伝ってくれたら、私はこう見えてそこそこの立場にあるので、トンファーを作ってくれる人に頼んで、タダで作ってもらえる様に頼みますが、どうでしょう?」


「まぁ、病気でいい武器を作れる人がいなくなるのは俺としては嫌だからな。協力しよう。」 


「……、分かりました。それじゃ、短い付き合いかも知れませんが一応、自己紹介を。私の名前はショランです。こう見えても、この近くにある村の、ハファンという村の村長の娘です。あと、このいろんな動物ぽい子が、みたいな子が父さんから受け継いだ複合魂塊、イオランです。」


 複合魂塊とはコトナラが発明した幻獣魂塊と近しい関係にあたる魂塊版キメラのようなものである。

 

「俺も一応しておくか。俺の名前はアクフ、エジプトで大道芸人をしていたが、訳あってここの近くの竹戸という所に飛ばされてガンストンというところを経由してここに来た。魂塊は神を模した魂塊のバファイと、バディクルスオオモモウルの魂塊ディウル、掘り当てたエネアーゼだ。」


「分かった。取り敢えずこれからよろしくアクフ。それじゃ、そこに向かうための道具を取るために、一旦、私の家に行きましょうか。」 


「ああ。」


 アクフとショランは巨大キャンプファイヤーの位置から歩き始めた。


 最初のうちは緑が広がっていたが、徐々に湿気が強くなり、少々潮の匂いもしてくる。しかし、潮風はなく不思議な感覚に襲われる。


 どんどん歩いていく。


 ショランはアクフと話していた時のオドオドしていた雰囲気を感じさせないような、自信に溢れている歩き方で歩みを進める。


 歩みを進めれば進めるほど、アクフはこの先に広がっている景色が予想のつかないものになる。

 

 ある程度の距離を歩くと魔法のようにあたりの景色が変わっていく。


 それは夢を見ているような感覚だった。


 下に水面は勿論のことだが、上にも水面が存在した。


 下の水面は川のように張り巡らせられており、小魚等が大量に泳いでいる。


 上の水面はまるで海のような様相でどどまっている。


「なんだ……?これ?」


「この辺でしか見られない、特別な現象なんです。何でかはよくわからないんですけど、しょっぱい水が浮いてその中で、海のようなものを作るんです。私の家はこの上にあります。アクフは、泳げたりしますか?」 


「一応、泳げはする。」


「それなら、たぶん問題ないですね。それじゃ上の方の水の中に入って、上の方に行きましょう。私が先導するので、気をひきめては、欲しいですけど、安心して下さい。」 


 ショランは水面に入って一直線に上の方に上がっていく。


 アクフも「おい、もうちょっとゆっくり行ってくれ!」と言いながらもバファイを服に纏わせて急いで上の方に向かった。

 

 ショランの後ろ姿を追いかけながらも、アクフは今ままで見たこと無いような、海と宇宙を合わせような空間に圧倒される。


 アクフがエジプトでは見たことないようなジンベイザメに刃の様な角をつけたような奇っ怪な魚たちを見つけて驚いていた。


 (うわー、なんだあの生物。同じ世界にいるとは思えないな。というかいろんな生物の魂の欠片が結構多いし一時的にここにいるじゃなくて本当にここには自然があるのか。) 

 

 そんなこんなしていると、海上に出た。


 海上に出ると巨大な蓮の葉のようなものの上に家のようなものが立っているのが目に入る。


「アクフ、ここからは普通に泳ぐだけなので、気を抜いてもいいですよ。」


「そうか、というかお前の家はどこにあるんだ?村長の娘ってことは結構な大きさの家に住んでいるんだろう?そこまでの大きな家は見当たらないんだが。」


「いや、掃除とかするのが、少々面倒くさいと、思っているので小さい家で暮らしています。」 


 そう言ってショランは手頃そうな家を指差して向かった。 


 アクフもそれについて行った。


 ショランの家。


 おおよそ片付いており、片付けをするのが面倒だと言っていた人間の部屋とは思えないほど綺麗であった。


 アクフは一旦部屋の中に入れられてお茶を出された。


 ショランはアクフが茶を飲んでいる間に使うものを全て取りたかったのか、あたふたしながら探していた。 


 数分後、アクフが茶を飲み終えた。 

 

 しかし、ショランは自分の部屋を一通り調べてから「あっ、ここにはなかった、たっけ」と言ってショランは部屋から出て行く。


 そして、家の中にある別の部屋にアクフと共に入る。


 そこはまさしく汚部屋というべきもので、圧倒的なものの多さで山を形成しているが、その中から声がした。


 声の主は薄着で何か海藻を干して味付けをしているものを食べながら丸まって寝ていた。

 

「あっ!お姉ちゃん!入ってくるときはちゃんとノックしてよ!びっくりするじゃん。」


「コアノ、ロープ、知らない?あと、そんなに散らかしていたら、誰も嫁にもらってくれなくなるよ?」  


「お姉ちゃんも、家族にまで自信なさそうに喋るのやめたほうがいいと思うよ?あと、お姉ちゃんは私のお母さんじゃないんだから、そんなに言わないでよ。私たち双子だから似たようなものじゃない。」


「取り敢えず、今日はみんなの病気を、治す薬の材料を、取ってきてくれる人を、連れてきてるから、少し大人しくしてて。」


「えっ!?お客さん来てるの!?こんな辺境に?どんな人どんな人!」  


「男の人だからあんまり、はしたないところを、見せないで」


「いや、だからそうなら早く言ってよ!すみません少し外に行ってもらっていいですかー!」 

 

 蚊帳の外にいたアクフは無言でショランの家の外に出て空を見上げた。


「空、周りになんの障害物がないから青い空がよく見えるなぁ、綺麗だなぁ……………………うん?なにか遠くに……?」


 アクフは空を見ながら何かを発見した。


『生命体認識………………空気中から小型危険生命体を検知しました。水の惑星No.155リアースの人体において極めて重篤な症状を引き起こす恐れのあるウイルスです。』


 エネアーゼがアクフのカバンから出てきて警報をする。

  

「ん?エネアーゼなんて言ったんだ?」

 

「いいえ、あなた自身に直接関係のあることではないので無視してください。」


「そうか。」


 (それにしても何だ?あの星みたいなもの。気になるが、調べたくて調べられる位置になさそうだしな、今は放置しておくか。)


「そんなことより、貴方が生力を注いだ影響で新たな能力が目覚めたのと、もとよりあった能力が強化されました。」


「お!遂にか!どんな能力なんだ!?」


「『遠隔操作』ですね。本来生力を送り込んでいる道を強固なものとして使用し、どれだけ離れていようともどちらかが欠如しない限り、いつ如何なる場合でも他の能力の使用が可能となります。あなたにでもわかりやすいようにいうと、遠くからでも色々変形できて便利だよ!…………みたいなものでしょうか。」 

 

「おお!!!それは戦略の幅が広がりそうだな!」


 (アクフの通常のIQはそこまでいいと言えるものではないですが、戦闘に関することの思考となると大なり小なり上昇が見られる。もしかして、これがあの海豚(イルカ)言っていた条件の理由に関わる可能性が高いですね。しかし、この程度ではあの魂塊が溜め込んでいた生力を私に譲渡した理由としては弱いですね。そうなると、ただの戦闘狂というもので危険に突っ込みやすい体質だからでしょうか。いや、いや。)


 エネアーゼの思考はコンマ1秒で一旦停止する。


 理由はアクフが急に『土刀竜(どとうりゅう)』を使い、土を凝固した刀を作り、そこにエネアーゼを混ぜ込ませようとしていた。 


「アクフ、やるならやると言って下さい。あと、貴方の今の実力では個別能力で作った武器に私を纏わせて具錬式魂塊術武器は作れませんよ。」


「やってみないとわからないじゃないか。」


「…………そうですか、まぁ、あなたが苦戦しようと私との契約に何も差し支えないのでまぁいいですが。」     

 

 その後、アクフは滅茶苦茶生力をゴミに変換した。


 アクフが流石に残りの生力がほとんど残っていないことに気づいてやめた頃、準備を終えたショランとコアノがアクフの下にやってきた。


 ショランの装備はトンファーを魔改造したようなものを腕と脚に2つずつ、縦に長い鞄のようなものを背負っている。


 コアノの装備は水中でも移動しやすそうな鉤爪を手足に装備していて、ショランと同じ鞄のようなものを背負っている。


「どうですか?似合っていますかね?」


 と言って、少々ヒラヒラしている衣装を軽い回転で舞い上げる。

 

「コアノ、久しぶりに見た外から、来た男の人だからって、そんなガツガツしないの、恥ずかしい。」


「似合っているかどうかは、正直なところ俺にはわからないけど、かっこいいとは思うよ。特にショランの面白いトンファーとか。」


「えー、お姉ちゃんかー、私は?」


「すまない。ちょっとよくわからない。」


「はい、今はそんなことをやっている場合じゃ、ないでしょ。こうしている間みんなは、苦しんで、困っている。それに父さんも、母さんも。」


「…………………………そうだね。ありがとうお姉ちゃん、少し好奇心で取り乱しちゃったよ。」  


「取り敢えず、収まったなら早速向かうか。」


「そうだね。それじゃ、ここに来て間もないアクフに、ここの海の移動方法を教える。普通なら息が、絶対に持たないからここの海に結構いる空気を持っているカエルみたいな生き物、いるからそれを時々〆て息を持たせて移動する。今回行く道では途中でサメとかのとんでもない奴らがやってくるから気を付けて。最後に絶対に私についてきて、目的地はここから下の海の中にある。」


「了解だ。」  


「じゃ、行くよ!」


 アクフ達は歩みを進めて、魂塊を纏わせて潜水した。

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